更新日: 2020.02.19 iDeCo(確定拠出年金)
個人型確定拠出年金(iDeCo)加入中に亡くなったら、積み立てたお金はどうなるの?
長生きすることが前提での準備ですが、何が起こるかわからないのが人生です。もしもの場合に、積み立てたお金がどうなるのか、についても知っておきたいものです。
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執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)
CFP🄬認定者・相続診断士
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/
目次
iDeCo(個人型確定拠出年金)って?
iDeCo(個人型確定拠出年金)とは、老後資金の資産形成を目的として、自分で資金を拠出し、自分で運用し、60歳以降に受け取ることのできる「自分で作る年金」です。
「長期」「分散」「つみたて」の最も有効な手法による資産形成であり、かつ、それぞれの場面において税制面で優遇されています。
(1) 拠出時…「所得控除」の対象となり、所得税や住民税が抑えられる
(2) 運用時…利息や運用益は、非課税となる
(3) 受取時…「公的年金控除」「退職所得控除」の対象となる
デメリットとして考えられるのは、運用リスクがあること、60歳まで引き出すことができないことです。
少子高齢化等により、将来の公的年金制度を現状のまま維持することは難しいと言われています。受給開始年齢の引き上げ、受給額の引き下げ等を考慮すると、何かしらの準備をしていく必要性があります。
国としても、そういった現状をふまえて、税制面でのメリットを前面に出して国民の資産形成を推奨してきました。低金利により、銀行に預金しているだけでは増やせない時代です。きちんと理解したうえで、「運用」に目を向けることが大切です。
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途中で死亡してしまったら、掛け金はどうなるの?
死亡時の受取人を指定することができるのは、iDeCoの特徴のひとつと言えます。加入中に亡くなった場合、死亡一時金として、死亡時の「個人別管理資産額」が指定した受取人に対して支払われます。
年金として受け取っていた場合も、残りの金額が一括で支給されます(いずれも、給付時手数料が差し引かれた後の金額)。
また、預貯金と違う点は、「みなし相続財産」として、非課税枠があることです。死亡一時金非課税枠=500万円×法定相続人の数(生命保険の非課税枠とは別枠です)。
受取人の指定がない場合は、法令(確定拠出年金法)により順位が定められています。民法の相続順位(配偶者→子→親などの直系尊属→兄弟姉妹)と異なる点に注意が必要です。
第1順位 配偶者(内縁を含む)
第2順位 死亡者の収入で生計を維持していた子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹
第3順位 2以外の死亡者の収入で生計を維持していた親族
第4順位 2に該当しない子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹
いつ請求するの? 請求の時期によって税金が変わる?
気を付けたいのが、請求する時期によって税金の取り扱いが異なる点です。
■死亡から3年以内…みなし相続財産として相続税が課税(非課税枠あり)
■3年超から5年以内…受取人の一時所得として課税
■5年超…本来の相続財産として相続税が課税(非課税枠なし)
請求しないと受け取れない
死亡一時金は、受取人が「裁定請求」という申請をすることで、受け取ることができます。言い換えると、裁定請求しないと死亡一時金を受け取ることができません。
請求権は5年で消滅してしまいますので、上記の通り税負担も考慮して早めに請求しましょう。そのためにも、家族にiDeCoの存在を伝えておきたいですね。亡くなった方の遺品から、運用報告書や支払い明細が見つかることがあるかもしれません。
死亡一時金の請求先は、記録関連運営管理機関(レコードキーパー)ですが、口座のある金融機関(銀行や証券会社など)に問い合わせ、案内に従って手続きを進めるとスムーズでしょう。
書類の受理から、預かり残高を売却、清算、事務処理という流れになるため、現実的には裁定から1ヶ月以上かかるようです。なお、前述の死亡一時金の受け取り順位が同じ人が複数いた場合でも、代表者1人が請求し、支給後に当人間で分ける形になります。
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長生きリスクとともに、もしもにも備えておきたい。
人生の三大資金として、住宅資金、教育資金とともに考えたい「老後資金」。枯渇させないために、そしてより豊かにすごすために、早めの準備が大切です。選択肢として積極的に取り組みたいひとつですが、日々の生活に追われ手が回らない現実も理解できます。
人生はトータルで考えたいものです。もしもの場合にも、きちんと残せる、非課税枠もあることふまえて、ぜひ検討してみてください。
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士