更新日: 2019.08.27 その他年金

通勤手当が多いと将来受け取る年金の給付額が増える?通勤交通費と社会保険の不思議な関係とは

通勤手当が多いと将来受け取る年金の給付額が増える?通勤交通費と社会保険の不思議な関係とは
通勤手当は金額や手段など一定の条件を満たすことで所得税の課税対象とならず、非課税となります。
 
そのため、社会保険料の計算においても、通勤手当は除外されると考えてしまいがちです。ところが、通勤手当と社会保険の間には深い関係があるのです。
 
通勤手当と社会保険との間にどのような関係があるのでしょうか。
 
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

通勤手当は標準報酬月額の算定において含まれます

通勤手当は所得税の計算においては基本的に除外され、非課税として扱われています。
 
その反面、毎月の社会保険料を算定する際の基礎となる「標準報酬月額」においては、通勤手当も含まれます。
 
なぜなら、標準報酬月額は基本給や残業代だけでなく、役職手当や通勤手当などの各種手当を含んだ一カ月間の総支給額(ただし、一部例外規定あり)によって計算されるからです。
 
また、通勤手当が現金でなく、定期券や回数券などによって支給されている場合も同様です。
 

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通勤手当がまとめて支給されている場合は?

標準報酬月額は4月から6月までの支給額によって決定されています。
 
では、通勤手当が数カ月分に一度、まとめて支給されている場合はどうなるのでしょうか。
 
例えば、毎年4月に半年分の交通費がまとめて支給されているような場合にも、一律して4月から6月までの支給額を基に計算されてしまうのは不公平です。
 
しかし、心配はいりません。通勤手当が数カ月分まとめて支給されている場合においては、そのまま計算されるのでなく、月割りで計算されます。
 
例えば、4月に半年分の交通費が6万円支給されている場合には、毎月1万円分の通勤手当の支給があったものとして計算されます。
 

標準報酬月額が高くなると将来給付される社会保障が手厚くなります

当然ですが、標準報酬月額が高くなってしまうと、毎月発生する社会保険料も比例して高くなってしまいます。
 
通勤手当の存在により毎月の社会保険料が高くなってしまうと、なんだか少し損をした気分になってしまうことでしょう。
 
しかし、将来受け取ることのできる年金や、病気やケガの際に受け取ることのできる傷病手当金などの金額は、標準報酬月額や収めてきた金額に比例します。
 
つまり、支払った社会保険料に応じて、将来受けることのできる社会保障が手厚くなるということになります。
 

通勤手当と社会保険の関係性のまとめ

通勤手当と社会保険についてまとめると次のようになります。
 
(1)社会保険料の算定において基礎となる標準報酬月額は、通勤手当を含んで計算される。
(2)そのため、基本給やその他手当が同条件であるならば、通勤手当の金額によって毎月の社会保険料の負担が重くなることがある。
(3)しかし、社会保険は支払う社会保険料に応じて手厚いものとなるため、そういった観点からは通勤手当が多いほうが有利とも考えられる。
 
通勤手当は基本的に所得税が非課税とされるため、社会保険料の算定においても対象外と思われがちですが、実際にはそうではありません。
 
支払う社会保険料の額が増えると負担も大きくなりますが、将来受け取ることのできる社会保障が手厚くなるのも事実です。
 
転居や転職の際には、社会保険料の額が通勤手当を含めて算定されることについて、頭の片隅に置いておくとよいかもしれません。
 
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー


 

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