更新日: 2019.12.25 国民年金
国民年金が免除に? 基準の年収はいくらなのか解説
収入の減少や失業などが原因で保険料を納められないときは、免除されたり、納付が猶予されたりする制度があります。一緒に見ていきましょう。
執筆者:国枝ゆたか(くにえだ ゆたか)
保険や投資信託等の金融商品を売らないファイナンシャルプランナー
住宅など大きな買い物の際のセカンドオピニオンとしても選ばれている。
講師としては、ライフプランやお金の知識が学べるセミナーだけでなく、人生を充実させ収入も増やすことにつながるお得なスキルを楽しく身につけるスキルアップ研修も手掛けており、行政や企業、各種団体など幅広く登壇している。
目次
国民年金保険料の免除? 納付猶予?
・国民年金が免除にできる人はどんな人?
国民年金の免除や納付猶予の対象となるのは、厚生年金に加入していない方(学生、フリーター、自営業、フリーランスなど第1号被保険者)で、なおかつ、納付が難しい経済状態にある方です。保険料免除制度、納付猶予制度、学生納付特例制度など、状況に合わせていろいろな制度があります。
・保険料免除制度とは?
所得が基準額以下の場合、申請することで保険料の納付が免除されます。免除される額は、全額、4分の3、半額、4分の1の4種類があり、前年所得額によりいくら免除されるかが異なります。所得は本人だけでなく、世帯主や配偶者のものも含め計算されます。
・保険料納付猶予制度とは?
保険料納付猶予制度とは、所得が基準額以下の場合、納付すべき保険料を後払いにできる制度です。平成28年7月以降は、50歳未満の方が対象となっています。
・学生納付特例制度とは?
学生の方で、所得が定められた基準以下の方は、申請することで保険料の納付が猶予されます。家族の収入は関係なく、本人の所得のみが対象となります。
・その他、生活に困った場合の特例
前年の所得で判断される免除や猶予制度ですが、会社の倒産やリストラ等で失業したり、事情により退職した方は、前年の所得が高くても特例免除の申請ができ、保険料が全額免除されたり猶予される可能性があります。
妻子等扶養家族がいる場合、退職後再就職するまでの間免除となることもあります。配偶者と離別をして独身となった場合も、申請により免除等が認められる可能性があります。
また、地震や台風、火災等の被災者は、所得に関係なく該当する場合があります。生活に困る状態になった場合、未納にするのではなく、免除や猶予が使えないかまずは調べてみてください。
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国民年金保険料の免除・納付猶予されたら年金額は減らない?
免除や納付猶予の申請をすると、年金の受給額がどうなるのか、気になるところです。
結論から言うと、免除をすると受給額は減額になりますが、半分は保証されます。それは、われわれが納める保険料と同額を国も納めてくれているからです。以下、図で説明します。
(※1)をもとに筆者作成
なお、納付猶予は免除とは違い、納付時期を後ろにずらすのを認めるだけなので、後払いしないと国からの納付もありません。
・年金受給額は具体的にいくらになる?
国民年金保険料を納め続けた場合、65歳以降に老齢基礎年金を受け取ることが可能になりますが、受給年度により、また納付状況により、いくらもらえるかが異なります。2019年度だとどうなるのか、見ていきましょう。
ケース1:自営業で、国民年金加入および納付期間9年の方の場合
老齢基礎年金の受給額は 78万100円×保険料納付月数/480ヶ月の計算式で求められます。
20歳から60歳までの40年間が国民年金の加入期間となり、毎月納付し続けた人が満額の78万100円を65歳以降毎年もらえるのです。納付月数が足りなければ、その分受給額も減ります。
ただし、注意が必要です。年金受給対象となるのは加入期間が10年以上の方です。つまり、加入期間が9年のこの自営業の方は年金は1円も受け取れません。
ケース2:保険料納付が7年、全額免除3年の自営業の方の場合
この場合、先ほどのケース1の方より保険料納付期間が短いのですが、免除期間は加入期間とみなされますので、合計で10年を超え、受給条件を満たします。
ただし、全額免除の3年間は受給額が2分の1になりますので、計算すると年間16万5771円(小数点以下四捨五入)受け取れることになります。
国民年金が免除になるか、ならないかの所得ライン
日本年金機構のホームページでは、免除や納付猶予になる所得ラインが書かれています(※1)。
国民年金が免除に? 基準の年収はいくらなのか解説
免除や納付猶予を希望する場合は、住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口へ申請書を提出する必要があります。申請書は、こちらの日本年金機構のHP(※2)よりダウンロードできます。
申請時には、年金手帳または基礎年金番号通知書が必ず必要になり、前年所得を証明する書類等が必要になる場合があります。不明点等はお近くの年金事務所にお問い合わせください。
まとめ
保険料の納付が苦しいとき、未納にせずに免除にすることができれば、国が納付してくれている保険料の恩恵を受けることができます。そもそも、年金受給対象となると、老齢基礎年金だけでなく、障害基礎年金や遺族基礎年金も受給する権利が生まれます。
不慮の事故等で障害を負ったときに、年金がもらえたり、万一亡くなってしまった場合は遺族に遺せるお金になるのです。国民年金保険料の負担がつらい場合は、まずは免除や猶予ができないか調べてみてくださいね。
【出典】
(※1)日本年金機構 国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度
(※2)日本年金機構 国民年金保険料に関する手続き
執筆者:国枝ゆたか
保険や投資信託等の金融商品を売らないファイナンシャルプランナー