更新日: 2019.07.17 その他税金
フリーランスの勘違い 「所得」=「年間売上」 ではない 扶養の範囲と注意点
この時期は、日常とは違う質問も多いのですが、「あれ? あなた、本当は扶養対象者なのに」という事例がいくつかありました。もしかしたら『扶養対象者』について勘違いしていませんか!
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー、相続診断士
公的保険アドバイザー/確定拠出年金相談ねっと認定FP
岡野あつこ師事®上級プロ夫婦問題カウンセラー
大手流通業界系のファッションビジネスを12年経験。ビジネスの面白さを体感するが、結婚を機に退職。その後夫の仕事(整体)で、主にマネージメント・経営等、裏方を担当。マスコミでも話題となり、忙しい日々過ごす。しかし、20年後に離婚。長い間従事した「からだ系ビジネス」では資格を有しておらず『資格の大切さ』を実感し『人生のやり直し』を決意。自らの経験を活かした夫婦問題カウンセラーの資格を目指す中「離婚後の女性が自立する難しさ」を目のあたりにする。また自らの財産分与の運用の未熟さの反省もあり研究する中に、FPの仕事と出会う。『からだと心とお金』の幸せは三つ巴。からだと心の癒しや健康法は巷に情報が充実し身近なのに、なぜお金や資産の事はこんなに解りづらいのだろう?特に女性には敷居が高い現実。「もっとやさしく、わかりやすくお金や資産の提案がしたい」という想いから、FPの資格を取得。第二の成人式、40歳を迎えたことを機に女性が資産運用について学び直す提案業務を行っている。
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『扶養対象者』になるには申告が必要
結婚後、共働きが当たり前になりつつある現代ですが、共働きの人全員が配偶者控除から外れるわけではありません。収入がある一定の基準以下の人は『扶養対象者』となり、様々な優遇制度があります。今一度、自分の収入をよく確認してみてください。
この時に注意が必要なのが「扶養というのは申告制」ということ。結婚した後、配偶者の方の扶養に加入したい場合は、配偶者(被保険者)の方が事業主へ申告(「給与所得者の配偶者控除等申告書」(税金・年末調整時)/「被扶養者届」(社会保険・発生時)を提出)をしなければなりません。案外、この手続きをしていない方が多いまま、パートやフリーランスとして活動をしている方が多い様です。
扶養は2WAY! 税法上と社会保険上の扶養がある
扶養対象者となると様々な優遇があります。税金面では控除範囲内であれば、被扶養者の所得税・住民税は発生せず、夫の課税所得も引き下げられます。ここはご存知かと思いますが、社会保険上のメリットを知らない方が多いのです。
社会保険とは「健康保険」と「年金」です。社会保険の扶養になった場合は、個人で保険料(「健康保険」「国民年金」ともに)を納める必要がなくなります。世帯主の「健康保険組合」(協会けんぽ)が代わりに支払ってくれるのです。また、年金の区分は「第三号被保険者」となります。
収入と所得の違いに注意!
この勘違いがどうして発生するのかというと、「収入」と「所得」の違いをご存じない方が非常に多いからでしょう。特にフリーランス、個人事業主の方は注意が必要です。フリーランスの方が勘違いしている多くは「所得」=「年間売上」と思っていることです。
年間所得 ≠ 年間売上
年間所得 = 年間売上 – 年間経費
そうなのです。「所得」とは売上から経費を抜かしたものです。
扶養対象者になる所得
まず、2018年1月施行で、税制改革がありました。まず配偶者控除には2種類あります。「配偶者控除」と「配偶者特別控除」です。
<配偶者控除>
給与所得年収103万円以下
(年間所得38万円以下)
<配偶者特別控除>
配偶者に38万円を超える所得があり「配偶者控除」を受けられなくても、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。それが「配偶者特別控除」です。
給与年収103万超201万6千円以下
(年間所得が38万円超、123万円未満)
※下記の表の様に段階的に控除額が変わります。
<社会保険料の控除>
「収入‐最低限の経費」が130万円未満
(60歳以上や障碍者は180万円)
※「最低限の経費」とは、日本年金機構・全国健康保険協会・健康保険組合などが決めた基準で認められた必要経費です。
世帯主が高所得者の場合は扶養から外される
平成29年の税制改革がありました。平成30年より施行されている一番のポイントと言われているのが、所得の上限が組み込まれたことです。扶養する側が合計所得金額1,000万円(給与所得のみの場合は、年収1,220万円)超えになると、配偶者控除・配偶者特別控除は対象外となります。ただし、社会保険料の扶養には入ることは可能です。
自営業者(フリーランス)の方も、扶養範囲以上に、思いっきり稼ぐことは素敵なことです。しかし、起業したばかりでまだ仕事が軌道に乗っていない方、お子さんが小さかったり、介護をしていたり仕事時間に制限がある方は、この制度を利用してみてください。
執筆者:寺門美和子(てらかど みわこ)
ファイナンシャルプランナー