転職・退職後の落とし穴。住民税が家計を圧迫?後から苦しまないために知っておきたいこと

配信日: 2019.10.28

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転職・退職後の落とし穴。住民税が家計を圧迫?後から苦しまないために知っておきたいこと
給与明細で見るのは、“振込金額のみ”ではありませんか。払っているという認識はあるものの、意識していない場合が多い「住民税」ですが、退職時もしくは退職後の徴収時に慌てる方が多くいらっしゃいます。
 
転職を考えている方、働き方の見直しを考えている方は、「住民税」についても整理しておきましょう。
 
大竹麻佐子

執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)

CFP®認定者・相続診断士

 
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
 
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
 
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
 
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/

住民税って?

住民税とは、地方自治体が行政サービスを行うために徴収している税金です。都道府県に納付する都道府県民税と市町村に納付する市町村民税(東京23区は特別区民税)をあわせて、1月1日時点でお住まいの自治体に納税します。
 
原則の普通徴収では、納付書を受け取った納税者は、1年分を6月、8月、10月、翌年1月の4回に分割して支払いますが、会社員の場合は、事業主が毎月の給与から差し引いて納税してくれます。普通徴収に対し特別徴収といいます。
 

住民税の決定と納付期間

1年間の収入から控除等を考慮して課税される国の税金「所得税」は、年末調整や確定申告で税額が確定します。「住民税」はその後に各市区町村にて税額計算され、通知されます(賦課課税制度といいます)。
 
そのため、時期のずれが生じ、前年の所得に対して、6月から翌年5月に支払うことになります。毎年5月後半頃に「住民税決定通知書」を受け取っている覚えはありませんか。
 

退職(転職)時の住民税の徴収方法

住民税の支払いについて、会社の在籍が継続している場合は、年ごとに若干の金額の差異はあるものの、それほど気に留めることはないかもしれません。ただし、退職(転職)する場合は注意が必要です。また、退職時期によって支払い方が異なることを知っておきたいものです。
 
前述の通り、前年度の収入に対して給与天引きで徴収される「住民税」は、退職により、予定していた特別徴収ができなくなります。そのために、以下のいずれかの方法で支払うことになります。
 
(1) 退職が1月1日から4月30日の場合 …5月分までの未徴収分を一括徴収
(2) 退職が5月1日から5月30日の場合 …5月分を給与もしくは退職金から徴収
(3) 退職が6月1日から12月31日の場合 ・
…退職月分は給与もしくは退職金から徴収、翌月以降分は希望により(a)~(c)から選択可能
(a) 転職先が決まっている場合、「異動届出書」提出により転職先で特別徴収
(b) 給与もしくは退職金から一括徴収
(c) 自宅に郵送される納付書により普通徴収
 

慌てないための注意点は?

退職金が多い場合や転職先での給与アップが見込める場合は、一括徴収でも問題ないかもしれません。転職先が決まっていない、収入が下がるといった場合は、住民税の支払いが負担となり、生活に影響を及ぼすかもしれません。
 
退職して起業する場合など、事業開始当初は設備投資などに何かとお金がかかるでしょう。退職時の一括徴収に続き、翌年6月からは会社員時代の所得に対して課税されますので、まだ売り上げが不安定な時期には、苦しい懐事情に悩むかもしれません。納税を見込んだ資金繰りを心がけたいものです。
 
いずれにしても、納付書が届いて慌てないよう、退職する際には心とお金の準備をしておきましょう。
 
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士


 

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