【年収別】所得税は何パーセント? 手取り額を解説
配信日: 2020.04.20
今回は、所得税と手取り金額の関係について、FPが分かりやすく解説していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
所得税の算出方法
所得税の税額は、1年間の所得から各種控除を差し引いた残りの金額(課税所得)に税率を適用して計算します。(※1)
所得税の算出方法を順を追って確認していきましょう。なお、ここでは給与所得者の特定支出控除の特例は考慮しないものとします。
(1)給与所得控除を差し引いて「給与所得の金額」を算出
まず、給与から給与所得控除を差し引いて「給与所得の金額」を算出します。給与所得控除額は、下記の表のように収入金額に応じて定められています。
出典:国税庁「No.1410 給与所得控除」(※2)
ここでいう給与所得とは、基本的には勤務先から受け取る給料のことです。具体的には、基本給や残業代、役職手当などを指すほか、現物で受け取るものも給与と見なされることがあります。なお、交通費や出張旅費など一定範囲の手当などは給与所得にはなりません。(※3)
(2)「給与所得の金額」から課税所得金額を算出
次に、(1)で算出した「給与所得の金額」から所得控除を差し引いて、課税所得金額を算出します。所得控除には次のものがあります。
1 雑損控除
2 医療費控除
3 社会保険料控除
4 小規模企業共済等掛金控除
5 生命保険料控除
6 地震保険料控除
7 寄附金控除
8 障害者控除
9 寡婦控除・寡夫控除
10 勤労学生控除
11 配偶者控除(※4)
12 配偶者特別控除(※5)
13 扶養控除
14 基礎控除
(3)課税所得金額に所得税の税率をかけて控除額を差し引く
「給与所得の金額」から上記のような所得控除を差し引いて、課税所得金額を算出したら、それに所得税の税率をかけ、控除額を差し引くと所得税が算出されます。
所得税の税率や控除額は、「所得税の速算表」の通り、課税所得金額に応じて段階的に引き上げられていきます。
出典:国税庁「No.2260 所得税の税率」(※6)
忘れてはいけない配偶者控除
先に述べた通り、所得控除の一つに配偶者控除があります。納税者本人の合計所得金額が1000万円以下で、かつ次のすべての条件に該当する配偶者がいる場合には、配偶者控除によって最大48万円の控除を受けることができます。(※4)
・民法上の配偶者であること
・納税者と生計を一にしていること
・配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下であること(給与所得のみ場合は給与収入が103万円以下)(※7)
・青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
配偶者がいる場合は、配偶者控除の適用が受けられるかどうか、確認を怠らないようにしましょう。
いくらになるの?年収別の手取り金額
これまでに見てきた通り、所得税の計算は非常に複雑です。仮に計算式だけ知っていても、正確な税額を算出することは難しいでしょう。
それだけでなく、手取り金額を実際に算出するには、住民税や社会保険料などの金額まで正確に算出しなければなりません。そうなると、当年の年収だけでなく前年の年収も使って計算しなければなりません。
さすがにそこまでするのは面倒という方は、一つの目安として、おおよそ年収の2割が税金になり、残りの8割が実際の手取り金額になると考えてください。
したがって、例えば年収400万円程度であれば、手取り金額はおおよそ320万円程度になります。所得税の税率は年収に応じて段階的に高くなりますので、年収1000万円程度になると税金の割合は年収の3割近くになります。
ただし、これはあくまでも一つの目安です。基本的には、年収が高くなればなるほど税金の割合が高くなり、低くなればなるほど税金の割合も低くなると覚えておいてください。
まとめ
給与所得者の所得税は、所得から給与所得控除やさまざまな所得控除を差し引いた金額に応じた税率によって算出されます。所得税の計算は複雑ですので、正確な所得税額を知りたい場合は、税理士やFPなどに相談するとよいでしょう。
【出典】
※1 国税庁「所得税のしくみ」
※2 国税庁「No.1410 給与所得控除」
※3 国税庁「No.2508 給与所得となるもの」
※4 国税庁「No.1191 配偶者控除」
※5 国税庁「No.1195 配偶者特別控除」
※6 国税庁「No.2260 所得税の税率」
※7 国税庁「No.1190 配偶者の所得がいくらまでなら配偶者控除が受けられるか」
執筆者:柘植輝
行政書士