更新日: 2020.12.28 控除

年収1000万は逆に家計が苦しくなる…?もらえなくなる手当や控除とは

執筆者 : 馬場愛梨

年収1000万は逆に家計が苦しくなる…?もらえなくなる手当や控除とは
「年収が上がったから生活が楽になる!」と思っていたら、以前より税金が高くなったり手当が受け取れなくなったりして、逆に家計が厳しくなった……。これは、実はよくある話です。
 
年収1000万円をクリアすることで増える負担について解説します。
馬場愛梨

執筆者:馬場愛梨(ばばえり)

ばばえりFP事務所 代表

自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。

過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。

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年収1000万円前後で支援の対象から外れる制度

年収1000万円前後で受けられなくなる支援や控除には、例えば次のようなものがあります。
 
■配偶者控除・配偶者特別控除
配偶者控除と配偶者特別控除は、ともに配偶者(夫もしくは妻)の所得が一定以下の場合に受けられる控除です。控除を受けられる金額が多いほど、課税所得の圧縮ができるため税金の計算上納める税額が少なくて済みます。
 
ただ、年間所得が900万円を超えたところから控除額が減り、1000万円を超えると控除を受けられなくなります。
 
「所得」は「収入」から「必要経費」を差し引いたものです。給与所得者の場合は「給与所得控除」が必要経費として認められています(※1)。給与所得控除の金額は下表のとおり決まっています。収入が給与所得だけの方の場合、「所得900万円」は年収でいうと1095万円程度が目安です。


 

 

■高額療養費制度
入院や手術などで、支払った医療費が高額になった場合、一定の基準額を超えた分については「高額療養費」として国が支給してくれるという制度があります。この基準となる金額は、年齢や所得によって次のように決まっています。

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子どもがいる年収1000万円世帯はさらに要注意

■児童手当
児童手当は、中学生以下の児童がいる家庭に支給される手当です。受け取ることができる金額は通常、次のとおりです。

ただ、児童を養育している方の所得が所得制限限度額以上の場合は、一律月額5000円になります。

たとえば妻と子供2人を扶養している会社員(収入は給与所得のみ)の場合、年収1000万円だとこの所得制限の対象になります。最近はこの月額5000円の給付の廃止や、所得の計算を「夫婦のうち高い方」から「夫婦合算」に変更することが検討されているという報道もありました(※2)。お子さんのいるご家庭は今後の動向も注視したいところです。
 
■高等学校等就学支援金の対象外になるかも
年収1000万円の子育て世帯がもう1つ注意しておきたいのが、「高等学校等就学支援金」です。これは私立高校に通う学生がいる家庭に支援金を支給する制度で、授業料負担を軽減できるため「実質高校無償化」といわれています。しかし、親の収入に応じて受けられる支援に差があります。


 

年収が低い世帯への支援は手厚くなります。でも、世帯年収1000万円前後だと支援金をまったく受け取れない可能性もあります。共働きかどうか、子どもの年齢や人数に応じて対象になる年収が違いますので、よく確認しておきましょう。
 

ちなみに、所得税は……

以下の表のとおり、所得が高くなれば所得税の税率も高くなっていきます。

所得税は上記のように計算されているため、同じ「世帯年収1000万円」でも「1人で1000万円稼ぐ人+専業主婦(主夫)」より「500万円ずつ稼ぐ共働き」のほうが税額を抑えられ、手取りが多くなります。
 

まとめ:「年収1000万円=生活安泰」とはいかない

残念ながら、年収1000万円を超えたからといって生活が急に楽になるわけではありません。一般的に「高所得者」にあたると考えられているぶん、税の負担は大きく、受けられる支援は少なくなりやすいです。年収が上がっても油断せず、日々の家計管理や将来を見据えた貯金など堅実にお金と向き合っていきましょう。
 
(※1)北区「「収入」と「所得」の違いは何ですか?」
(※2)朝日新聞DIGITAL「児童手当の縮小を政府が検討 「特例給付」廃止も視野」(※こちらは会員記事です)2020年11月25日付
 
(出典)
国税庁
「No.1410 給与所得控除」
「No.1191 配偶者控除」
「No.1195 配偶者特別控除」
「No.2260 所得税の税率」
厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」
文部科学省「令和2年4月から私立高校授業料実質無償化がスタート!」
内閣府「児童手当制度のご案内」
 
執筆者:馬場愛梨
ばばえりFP事務所 代表