更新日: 2023.09.24 その他税金
10種類の所得を全部言えますか? 簡単な覚え方と所得税について伝授します
そして所得税(国税)は、所得に対して課税される税金です。
執筆者:北山茂治(きたやま しげはる)
高度年金・将来設計コンサルタント
1級ファイナンシャルプランニング技能士、特定社会保険労務士、健康マスターエキスパート
大学卒業後、大手生命保険会社に入社し、全国各地を転々としてきました。2000年に1級ファイナンシャルプランニング技能士資格取得後は、FP知識を活用した営業手法を教育指導してきました。そして勤続40年を区切りに、「北山FP社会保険労務士事務所」を開業しました。
人生100年時代に、「気力・体力・財力3拍子揃った、元気シニアをたくさん輩出する」
そのお手伝いをすることが私のライフワークです。
ライフプランセミナーをはじめ年金・医療・介護そして相続に関するセミナー講師をしてきました。
そして元気シニア輩出のためにはその基盤となる企業が元気であることが何より大切だと考え、従業員がはつらつと働ける会社を作っていくために、労働関係の相談、就業規則や賃金退職金制度の構築、助成金の申請など、企業がますます繁栄するお手伝いをさせていただいています。
10種類の所得の覚え方
10種類の所得は、次のように覚えると覚えやすいと思います。
「利休はいざ富士山上に退く」
利:利子所得
休:給与所得
は:配当所得
い:一時所得
ざ:雑所得
富:不動産所得
士:事業所得
山:山林所得
上:譲渡所得
に退く:退職所得
所得税の課税方法
10種類の所得の課税方法は、原則「総合課税」ですが、一部は「分離課税」となります。
総合課税とは、各所得を合計してから課税する方法です。分離課税とは、所得ごとに課税する方法です。分離課税は申告分離課税(確定申告が必要)と源泉分離課税(支払いを受けるときに所得税が天引きされて課税が完結する)の2つがあります。
総合課税の所得は、利子所得(国外にある銀行から受けた銀行預金の利子等の場合)、配当所得(原則、申告分離課税の選択も可)、不動産所得、譲渡所得、給与所得、土地建物・株式以外の譲渡所得、一時所得、雑所得です。
分離課税の所得は、利子所得、退職所得、山林所得、土地建物の譲渡所得、株式の譲渡所得です。所得税は、超過累進課税率(所得が多くなるにつれて段階的に税率が高くなる税率)なので、合算するほど税率は高くなります。
損益通算
10種類の所得を計算するときに、損失が発生してマイナスになっている所得がある場合、他のプラスの所得とマイナスの所得を通算ことができます。これを「損益通算」といいます。
しかし、すべての所得の損失が損益通算できるわけではありません。次の4つの所得に限定されています。
・不動産所得の損失
・事業所得の損失
・山林所得の損失
・譲渡所得の損失
これの覚え方は、先ほどの「利休はいざ富士山上に退く」のうちの「富士山上(不事山譲)」です。この4つの所得でも、例外的に損益通算できないものもありますので注意してください。
総合課税する所得を合計して損益通算した後のものを「総所得金額」といいます。
課税総所得金額から納付税額まで
総所得金額から「所得控除」を引きます。所得控除は現在、医療費控除や配偶者控除など15種類あります。所得控除を引いたものを「課税総所得金額」といいます。これに所得税率をかけると「算出税額」が出ます。
さらにこれから住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)等の「税額控除」を引きます。税額控除は現在6種類あります。これで「納付税額」が出ます。
さらに2013年からは、これに「復興特別所得税」が課されています。所得税額の2.1%です。
青色申告制度
一定水準以上の帳簿記帳をして正しい申告をしている人には、所得税の計算上、有利な取り扱いが受けられる制度があります。それが、「青色申告制度」です。
ただし、青色申告ができる人は、不動産所得、譲渡所得、山林所得がある人に限定されます。覚え方は、先ほどの「利休はいざ富士山上に退く」のうちの「富士山(不事山)」です。先ほどの損益通算と間違えやすいので、「富士山は青い」と覚えましょう。
青色申告制度の有利な取り扱いとは、
(1) 青色申告特別控除:所得金額から最高55万円(e-Taxを行う場合は65万円)または10万円を控除できます。
(2) 青色事業専従者給与:青色申告者の事業にもっぱら従事し、生計を一にしている配偶者やその他の親族に支払った給与は、必要経費に算入できます(ただしこの場合、配偶者控除や扶養控除の対象から外れます)。
(3) 純損失の繰越控除:事業所得等に損失が生じて、損益通算しても損失が残った純損失は、翌年以降3年間にわたって繰り越して、各年度の所得金額から控除できます。
(4) 純損失の繰戻還付:事業所得等に損失が生じて、損益通算しても損失が残った純損失を前年に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることができます。
いかがでしょうか。給与所得だけではなく、事業所得や不動産所得となる副業をすれば、所得税の有利な制度が使えます。
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執筆者:北山茂治
高度年金・将来設計コンサルタント