競馬好きの父が「100万円」当たったそうです。そのまま”タンス預金”にしようとしていましたが、税務署への申告は必要ですか?

配信日: 2024.07.15

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競馬好きの父が「100万円」当たったそうです。そのまま”タンス預金”にしようとしていましたが、税務署への申告は必要ですか?
競馬好きな方のなかには、あたり馬券で高額の払戻金を受けた経験のある方もいるでしょう。競馬や競輪などで獲得した払戻金は、金額によっては課税対象となるため確定申告が必要です。
 
また、一時所得の所得税は給与所得といったほかの所得と合計してから計算します。計算時に合計額を間違えないよう、払戻金額はメモしておきましょう。今回は、払戻金の所得の種類や計算方法などについてご紹介します。
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競馬の払戻金は金額によって課税対象になる

競馬で獲得した払戻金も所得として扱われるため、金額によっては課税対象です。払戻金は基本的に一時所得として扱われます。国税庁によると、競馬の払戻金も含めた一時所得の例は以下の通りです。


・福引や懸賞で得た賞金品
・競馬や競輪、ボートレースなどの払戻金
・生命保険の一時金
・損害保険の満期返戻金
・会社から贈られた金品
・落とし物を拾ったり埋蔵物を発見したりしたときに受け取れる報労金など
・資産の移転などのために支給された交付金のうち、支給された目的のために使わなかった交付金額

一時所得の控除額は50万円のため、50万円超の払い戻しがあれば、課税対象になります。なお、いずれの場合も、営利目的や労務・役務の対価として受け取った金品は一時所得にはなりません。一時所得は営利目的でない一時の所得とされているためです。
 

はずれ馬券は経費にならない

一時所得では、その収入を得るために直接必要となった金額と特別控除額のみ総収入金額から引いて計算できます。はずれ馬券は払戻金の購入に直接必要となったお金ではないため、経費には含められません。
 
はずれ馬券を経費として計算するのであれば、払戻金が一時所得ではなく雑所得として認められる必要があります。
 
国税庁によると、雑所得とは「利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得および一時所得のいずれにも当たらない所得」です。一時所得は営利目的でない所得が該当するため、競馬の払戻金が営利目的の行為による所得と認められれば雑所得として扱われます。
 
国税庁によれば競馬の払戻金が雑所得として認められる例としては「購入する際にソフトウエアや自身で算出した購入パターンなどを基に年間を通じてほぼすべてのレースで馬券を購入しており、年間を通じて多額の利益を発生させ回収率が100%を超えるように購入していることが客観的に分かる状態」です。
 
競馬を趣味としている場合、すべての馬券を購入している方はあまりいないでしょう。国税庁で示されているような客観的に見ても営利目的と分かる場合でなければ、競馬の払戻金は基本的に一時所得扱いになります。
 

税務署へどうやって申告する?

競馬で当たった払戻金の一時所得は、確定申告の際に申告します。確定申告は翌年の2月16日~3月15日の間に申告が必要です。国税庁が運営するオンラインの「確定申告書等作成コーナー」を使うと手書きで申告書を作成するよりもスムーズに作成できるでしょう。
 
確定申告書等作成コーナーはパソコンもしくはスマートフォンから作業が可能です。また、マイナンバーカードを持っていると、マイナポータルと連携することで控除証明書などのデータを自動入力してくれます。
 
準備ができたら、表示されている手順に従って必要事項を記載し、e-Taxで提出すれば完了です。e-Taxが利用できない場合は、確定申告書を印刷して直接郵送する方法もあります。
 

一時所得の計算方法

一時所得の課税金額の求め方は「(総収入金額-収入を得るために直接必要となった金額-最大50万円の特別控除額)×2分の1」です。例えば、20万円の馬券で100万円の払戻金を得たとします。計算式は「(100万円-20万円-50万円)×2分の1」となり、15万円が課税対象です。
 
また、実際の所得税額は給与所得などほかの所得と合計した金額を基に計算します。もし課税される一時所得が15万円、給与所得が200万円だとすると、215万円が所得税の課税対象です。
 
国税庁の「所得税の速算表」によると、課税される所得金額が215万円だと所得税率は10%、控除額は9万7500円のため、所得税として11万7500円を納付する必要があります。
 
ただし、今回の計算では基礎控除などは考慮していません。実際の金額とは異なる可能性もあるので注意しましょう。なお、計算を間違えないために、払戻金を獲得したときはメモなどで日付や受け取った金額、支払った金額をまとめておくとよいでしょう。
 

競馬で高額当選をしたら確定申告を忘れない

競馬で100万円といった高額当選をすると、所得税が課税されます。趣味の競馬で得た払戻金は営利目的にならないため一時所得です。はずれ馬券は経費として計上できないため、計算する際に間違えないようにしましょう。
 
また、一時所得はほかの所得と合計して税額を計算するため、ほかの所得に応じて所得税額は変動します。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1490 一時所得
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1500 雑所得
国税庁 その他のお知らせ 競馬の馬券の払戻金に係る課税について
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2260 所得税の税率
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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