友人はフランス旅行で高価な「ブランド品の財布」を買ったそうです。「高かったでしょ?」と聞いたところ「VATが戻ってきたからお得だったよ」との回答。「VAT」とは何ですか?
配信日: 2025.02.06

そのように旅行者に還付される税金として、EU圏各国やアジア諸国などで導入している「VAT」という制度があります。本記事では、「VAT」とはどのような制度で、どのような手続きで還付されるのか、お得に海外でのショッピングを楽しむための知識を解説します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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「VAT(付加価値税)」とは?
「VAT」とは、日本語では「付加価値税」と訳され、英語での「Value Added Tax」の頭文字の略です。日本での消費税のような間接税の一種で、物やサービスの購買時に課されます。
EU加盟国では必ず課税され、標準税率の下限は15%となっているものの、上限は定められていないため品物を購入する国によって税率は異なります。また、軽減税率が適用される商品もあり、食品類はおおむね税率が低い傾向にあります。
日本からの旅行者は、一定の基準を超えた購入額に対するVATが返還されます。
ヨーロッパ諸国の付加価値税率は? いくらくらい返還される?
次に、一般社団法人日本新聞協会の資料を基に、ヨーロッパ諸国の付加価値税率を表1にて確認してみましょう。付加価値税率の上限の定めはないと前述しましたが、国によって大きく税率が異なることが分かります。
表1
国名 | 標準税率(パーセント) |
---|---|
オーストリア | 20 |
ベルギー | 21 |
クロアチア | 25 |
チェコ | 21 |
デンマーク | 25 |
フィンランド | 24 |
フランス | 20 |
ドイツ | 19 |
ギリシャ | 24 |
ハンガリー | 27 |
イタリア | 22 |
スウェーデン | 25 |
出典:一般社団法人日本新聞協会「欧州諸国付加価値税一覧」を基に筆者作成(2024年1月時点)
2024年1月時点で見ると、ハンガリーの27%がもっとも高く、スウェーデン、クロアチア、デンマークなどの25%が続きます。上限が低い国では、ルクセンブルクが17%、マルタが18%で、ドイツ、キプロスなどの19%が続きます。多くの国々では、20%前後に設定されています。
VAT還付の条件と手続き方法
VAT還付を受けるためにはおおよそ以下のような条件があります。
・国外居住者であること(現地に住んでいないこと)
・購入した商品がVAT課税対象であること
・購入額がそれぞれの国の定める一定金額以上であること
・購入後の商品を国外に持ち出すこと
・購入した商品が未開封・未使用であること
・購入した商品が国外で消費されること
以上の条件を踏まえて、実際にVATを還付する手続き方法は以下の通りです。
まず、商品購入時に店舗でVAT還付の申請用紙を受け取ります。申請用紙に必要事項を記入し、出国時に空港で、領収書やパスポートなどと一緒に提出します。還付金の受け取り方法は現金、小切手、クレジットカードが一般的です。
ただし、払戻額が高額の場合は現金で払い戻しを受けられない可能性があるため、小切手やクレジットカード受け取りの方が便利かもしれません。なお、実際に還付金が支払われるまでは、1ヶ月程度かかるようです。
まとめ
海外旅行でのショッピングでは、日本で買うと高価なハイブランド品に手が伸びることもあるでしょう。EU諸国をはじめとするヨーロッパ各国やアジアでは、多くの場合VATが導入されていますが、VAT還付制度を利用することで、還付金を受け取れることもあります。
EU諸国でショッピングを楽しむ予定の方は、事前にVATについて確認してみるとよいでしょう。
出典
一般社団法人日本新聞協会 欧州諸国付加価値税一覧
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー