もうすぐ学資保険の満期保険金「400万円」を受け取るのですが、税金はかかりますか? それと、確定申告は必要ですか?
配信日: 2025.02.10


執筆者:前田菜緒(まえだ なお)
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士
保険代理店勤務を経て独立。高齢出産夫婦が2人目を産み、マイホームを購入しても子どもが健全な環境で育ち、人生が黒字になるようライフプラン設計を行っている。子どもが寝てからでも相談できるよう、夜も相談業務を行っている。著書に「書けばわかる!わが家の家計にピッタリな子育て&教育費のかけ方」(翔泳社)
Aさんのケースでは税金はかからない
結論からいうと、Aさんの場合は、満期保険金には税金はかかりません。
学資保険での保険金の受け取り方には、保険金を一括で受け取る方法と数年にわたって祝い金を受け取る年金形式の方法の2種類あるのが一般的です。これら受け取り方によって所得の種類が異なるため、税金のかかり方も変わります。
まず、前者は一時所得になり、50万円超の利益がある場合に税金がかかります。Aさんの場合、支払った保険料は370万円、受け取る保険金が400万円ということですから利益は30万円(400万円-370万円)です。50万円に満たないため一時所得はゼロ、よって税金はかかりません。
なお、年金形式の場合は雑所得となり、受け取った保険金からその保険金に相当する保険料を差し引いた金額が雑所得です。雑所得は課税対象ですが、給与所得者の場合、所得税は20万円以下であれば確定申告は不要です。ただし、住民税の申告は必要です。
税金がかかる場合
では、税金がかかる場合はどのようなケースでしょうか。先に述べたように、雑所得を得た場合、一時所得の場合は利益が50万円超の場合に所得税や住民税がかかります。しかし、これらは契約者自身が保険金を受け取った場合にかかる税金です。契約者以外が保険金を受け取った場合は、別の税金の課税対象です。
例えば、契約者が父、保険金受取人が母や子など受取人と契約者が異なるケースです。この場合、母や子が保険金を受け取ると、父から保険金が贈与されたことになり、贈与税の課税対象となります。
贈与税は110万円までなら非課税ですが、贈与者と贈与を受けた人との関係により税率は変わり、夫婦間の贈与より親から成人した子への贈与のほうが税率は低くなります。
また、契約者が死亡した場合は、死亡時点の解約返戻金相当額が相続財産として相続税の課税対象です。
例えば、契約者である父が死亡し、母に契約が引き継がれた場合、父の死亡時に学資保険を解約したとする場合の返戻金の金額が母の相続財産となり、相続税の課税対象となります。その後、母が学資保険を継続し、保険金を受け取った場合は、先述した一時所得や雑所得の課税対象です。
学資保険で税金を心配する必要があるのはレアケース
学資保険で税金が心配になるケースは、相続が発生して新契約者が保険金を受け取るようなケース、贈与税が発生するケースではないでしょうか。
学資保険は契約者自身が保険金受取人であることが一般的で、この場合は所得税や住民税の課税対象です。所得税や住民税は利益が大きくなればなるほど、高くなりますが、低金利の現在では学資保険で大きな利益を得ることは考えづらいでしょう。
自分自身が契約している学資保険について、税金がどの程度かかるのか心配ということであれば、契約者と受取人は誰か、税金の種類は何かを確認するとよいでしょう。
出典
国税庁 No.1500 雑所得
国税庁 No.1490 一時所得
国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士