ドラッグストアで購入した医薬品分を「医療費控除」として申請する予定です。ポイントで支払った金額は控除対象外になるのでしょうか?
配信日: 2025.02.14

ポイント利用分の処理を忘れると、確定申告の再提出や修正も必要になるでしょう。今回は、医薬品購入にポイントを使用したときの対処方法についてご紹介します。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
医療費控除制度の概要
医療費控除制度は、1年間に病院やドラッグストアなどで支払った医療費が基準を超えていた場合、同年の所得から差し引いて税金を計算できる所得控除のひとつです。自身だけでなく、生計を一にする配偶者やその他の親族などのために支払った医療費も控除額に加算できます。
また、控除額は、全体の医療費合計額から保険金などにより補てんされた金額と、10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%の金額)を差し引いた金額です。
医療費控除の対象となる項目の例には、以下が挙げられます。
●病院での治療や診療に対する支払い
●治療や療養に必要な医薬品の購入費
●病院や介護施設への入院費用
●介護保険などの制度による居宅サービスの自己負担額 など
国税庁によれば、医薬品は、病院で受け取ったり処方箋を基に薬局で渡されたりするものだけでなく、医師の処方箋や指示なしで購入するドラッグストアの風邪薬なども該当します。ただし、ビタミン剤を始めとする健康増進目的や病気、けが予防の目的で購入する薬は、医療費とはみなされません。
ポイントを利用して医薬品を購入すると医療費控除はどうなる?
医薬品を購入する際にドラッグストアのポイントを利用した場合、医療費からポイントを除いて計算する必要があります。国税庁によると、ポイントを使用したときの医療費控除の計算方法は以下の2通りです。
●ポイント分を引いたあとの医療費を基に計算する
●ポイントを使用する前の医療費を基に計算し、ポイント分は一時所得として総収入金額に加算する
どちらの方法で計算しても問題はありません。しかし、方法によって税額が変わる可能性があるため、一度計算してみるとよいでしょう。
特に、一時所得は該当する項目の総収入金額から特別控除の50万円を引いた金額です。所得税の計算時には、一時所得の2分の1に相当する金額を給与所得などほかの所得と合計してから求めます。
ポイントの使用金額が50万円を超えないのであれば、医療費控除の金額はポイントを引く前のままで所得は増えずにすむため、税額を安くおさえられるでしょう。
もし医療費控除の申請額を間違えたときはどうすればよい?
もし医療費控除を利用して確定申告をした際に、ポイント分に対する処理を忘れていた場合は、気づいたタイミングが申告期限内か期限後かで対応が異なります。
まず、申告期限内に間違いに気づいた場合は、ポイント分を処理しなおした確定申告書をもう一度提出すれば問題ありません。国税庁によると、期限内に2枚以上の確定申告書が提出されたときは、本人から申し出がない限りは最後に提出されたものをその人の申告書とすると示しています。
一方、期限後に気づいたときには手続きが必要です。税金を多く申告していた場合は「更正の請求」、少なく申告していた場合は「修正申告」を行います。ポイント分を処理せず全額を医療費控除として計上した場合は、控除額が増えたことで税額が少なくなっているため、「修正申告」が必要になるでしょう。
なお、税金を少なく申告していたことに期限を過ぎてから気づいたときは、追加で延滞税や過少申告加算税が課される可能性があります。
医療費控除を申請する際はポイント分を除くか一時所得として加算してから計算する
医療費控除は、病院での治療や処方箋による薬の購入のほかにも、ドラッグストアで治療のために医師の処方箋や指示なしで購入する医薬品も含まれます。もしポイントも利用して医薬品を購入したときは、ポイント分を医療費から除くか一時所得としての計上が必要です。
医療費控除を利用して確定申告をし、あとからポイントの処理を忘れていたことに気づいたときは、申告期限内か期限後かで対応が異なります。期限後に気づいた場合は、追加で税金が課されるケースもあるため、よく確認してから確定申告を行いましょう。
出典
国税庁 かぜ薬の購入費用
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2026 確定申告を間違えたとき
国税庁 確定申告期に多いお問合せ事項Q&A 【申告が間違っていた場合】
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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