社宅として1台分の「駐車場代」を負担してもらっています。負担してもらっている金額は「課税対象」なのでしょうか?
しかし、従業員の駐車場代を会社が負担した場合、その分が課税対象になるのかどうか、気になる人もいるかもしれません。
本記事では、駐車場代が「現物給与となるケース」と「通勤手当として支給されるケース」に分けてご紹介します。
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駐車場代が課税対象になる場合
マイカー通勤者に対する駐車場代の取り扱いについては、状況によって異なります。
例えば、会社の敷地内に駐車場がなく、近隣の駐車場を契約して利用しなければならない場合として考えてみましょう。
法人名義で駐車場を契約し、従業員に利用させた場合は「地代家賃」や「賃借料」などの勘定科目で処理できるため、従業員に課税されることはないと考えられます。
しかし、特定の従業員が専属的に利用するのであれば「現物給与」として課税対象になるでしょう。
国税庁によると「給与所得となるもの」には給料や賃金・賞与などのほか手当や現物給与も含まれるとされており、駐車場の専属利用は「土地、家屋、金銭その他の資産を無償または低い対価により貸し付けたことによる経済的利益」に該当すると考えられます。
駐車場代が非課税になる場合
近隣の月極駐車場を会社ではなく個人名義で契約し、その料金を立て替えている従業員に対して、通勤手当という形で支給している会社もあるでしょう。
この場合、非課税限度額の範囲内であれば給与課税が生じることはありません。国税庁によると、マイカー・自転車通勤者の通勤手当における非課税限度額は片道の通勤距離に応じて表1のようになっています。
表1
| 片道の通勤距離 | 1ヶ月あたりの限度額 |
|---|---|
| 2キロメートル未満 | 全額課税 |
| 2キロメートル以上10キロメートル未満 | 4200円 |
| 10キロメートル以上15キロメートル未満 | 7100円 |
| 15キロメートル以上25キロメートル未満 | 1万2900円 |
| 25キロメートル以上35キロメートル未満 | 1万8700円 |
| 35キロメートル以上45キロメートル未満 | 2万4400円 |
| 45キロメートル以上55キロメートル未満 | 2万8000円 |
| 55キロメートル以上 | 3万1600円 |
※国税庁「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」を基に筆者作成
上記の1ヶ月あたりの限度額を超える場合は、超過した金額分が課税対象になります。
会社から駐車場代を負担してもらう際の注意点
労働基準法では、通勤手当に関する事項は定められていません。つまり、通勤手当を支給するかどうかは会社の判断によると考えられます。
詳細についても会社が自由に決められるため、駐車場に対して支給する場合のルールについても、就業規則などでどのように定められているか事前に確認しておきましょう。
会社から負担してもらう駐車場代が課税対象になるか非課税になるかによって受け取る給与額も変わってくるため、細かくチェックしておくことをおすすめします。
使用状況や通勤距離などによって課税対象になるか非課税になるかが決まる場合もある
マイカー通勤が可能な会社では、敷地内に駐車場がない場合などに、近隣の駐車場を契約してそのお金を会社が負担してくれることもあるでしょう。
法人名義で契約して特定の従業員が専属利用する場合などはその従業員に対する「現物給与」となり、課税対象になると考えられます。
個人名義で契約して会社がその料金を立て替えている従業員に「通勤手当」として支給する場合は、通勤距離によって非課税限度額が決められています。限度額の範囲内であれば給与課税が生じることはないため、チェックしておくとよいでしょう。
出典
国税庁 No.2508 給与所得となるもの
国税庁 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
