築20年のわが家。「リフォーム」をすると減税できると聞いたのですが、どのくらいでしょうか?

配信日: 2025.07.13
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築20年のわが家。「リフォーム」をすると減税できると聞いたのですが、どのくらいでしょうか?
所有している自宅に安全な状態で長く住むためには、定期的なリフォームが必要ということを多くの人が理解しているところです。
 
住宅をリフォームするに際しては、補助金や減税の制度がありますが、ここでは所得税と固定資産税の軽減について学んでみましょう。
植田英三郎

ファイナンシャルプランナー CFP

家電メーカーに37年間勤務後、MBA・CFPファイナンシャルプランナー・福祉住環境コーディネーター等の資格を取得。大阪府立職業訓練校で非常勤講師(2018/3まで)、2014年ウエダFPオフィスを設立し、事業継続中。NPO法人の事務局長として介護施設でのボランティア活動のコーディネートを担当。日本FP協会兵庫支部幹事として活動中。

住宅リフォーム(リフォーム)の意識と実態

最初に、リフォームの意識と実態について、(一社)住宅リフォーム推進協議会の調査データなどから、減税に関わる項目について見てみましょう(※1)。
 

【リフォームの回数】

リフォームの実施回数は、20~40代では1~2回(59.8%)、50代以上では2~3回程度(43.6%)が最も多いという結果でした(※1)。一般的に、10~15年に1回程度のリフォームを実施するといわれています。
 

【リフォームの内容】

住宅リフォームを実施した場合の所得税の税制優遇の対象工事は、次の6つに分類されています(※2)。
 
・耐震工事 ・バリアフリー・省エネ ・三世代同居 ・長期優良化 ・子育て
 

【リフォーム工事費用の金額】

世代によりリフォーム工事の内容が異なることもあり、年代別に20~40代は465万円、50代以上は268万3000円ですが、全体では356万4000円となっています(※1)。
 

リフォームの補助金と減税

個人の住宅のリフォームには、内容に応じて補助金と減税制度が適用されます。
 
今回のテーマであるリフォームの税制優遇制度(減税)の認知度は、50%程度とあまり高くありません(※1)。同調査にはありませんが、補助金についても同等と思われます。
 
前述のとおり、リフォームに支出している金額は平均で約356万円になっており(※1)、決して少ない額ではありません。そこで、工事費用に対してどのような税金控除の制度があるのか見てみましょう。
 
制度上、補助金を控除した後の工事額に税金控除が適用されますので、ここでは、最初にリフォームに適用される補助金から見てみます。
 

リフォームの補助金

2025年6月時点のリフォームに関する国の補助制度は、国土交通省以外からも制度化されており、以下のとおりです(※3)。
 

・2025年住宅省エネキャンペーン(国土交通省、経済産業省、環境省)
・子育てグリーン住宅支援事業(国土交通省、環境省)
・長期優良住宅化リフォーム推進事業(国土交通省)
・住宅 建築物安全ストック形成事業(国土交通省)
:耐震工事が含まれます
・既存住宅における断熱リフォーム支援事業(環境省):省エネ工事が含まれます
・介護保険法にもとづく住宅改修費の支給(厚生労働省):バリアフリー工事が含まれます

補助金については、列記に留めます。
 

リフォームの減税

リフォーム工事の減税は、所得税と固定資産税が軽減されます。控除される税額はリフォームの種類によって工事限度額と最大控除額が決められています。工事限度額は、各種の補助金額を控除した後の金額になります。
 
工事限度額=実支出工事額-補助金
 
所得税については、住宅ローン控除のリフォーム分もあります。所得税の工事限度額と控除額は、図表1のとおりです。
 
【図表1】

図表1

(※2)(※4)に基づき筆者が作成
 

固定資産税の軽減

固定資産税については、図表2の4種類に工事に対して固定資産税のうち、家屋部分の課税標準額に対しての税率(1.4%)が、工事内容に応じて3分の1、2分の1、3分の2に軽減されます。ただし、減額期間は1年間です。
 
【図表2】

図表2

(※2)に基づき筆者が作成
 

終わりに

リフォーム工事を始めるに際して、工事事業者から見積りを取得して、工事を始めることになりますが、予算として想定した工事予算を超えることが多いようです(※1)。理由はさまざまありますが、リフォーム箇所が増える場合やグレードアップした結果などが挙げられています。
 
また、減税(所得税の軽減)は、工事内容が複数項目に重なることが一般的なので、正確な減税額の把握はリフォーム発注者には難しいと思われます。過大な軽減を期待せず、補助制度の適用可否を含めて施工業者に確認しながら全体の予算を計上してはいかがでしょうか。
 

出典

(※1)一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 2020年度住宅リフォームに関する消費者実態調査
(※2)国土交通省 住宅をリフォームした場合に使える減税制度について
(※3)国土交通省 住宅リフォームの支援制度 ※令和7年6月2日時点 ※減税の概要へのリンク有
(※4)一般社団法人住宅リフォーム推進協議会 リフォーム促進税制 [所得税・固定資産税]
国土交通省 リフォーム減税制度についてのWEB説明会資料
国土交通省 リフォーム促進税制(所得税・固定資産税)について
 
執筆者 : 植田英三郎
ファイナンシャルプランナー CFP

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