独身税って本当に導入されるの?今でも手取りが少ないのに、さらに引かれたら手取り額はどうなるの?

配信日: 2025.08.10
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独身税って本当に導入されるの?今でも手取りが少ないのに、さらに引かれたら手取り額はどうなるの?
「独身税」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。聞いたことがない方でも、「税」と聞くと、家計への負担が心配されることでしょう。
 
そこで本記事では、「独身税とは何か?」「どれくらい負担が増えるのか?」について解説します。公的医療保険に加入している全ての方が関係する内容ですので、ぜひ最後までお読みください。
中村将士

新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

私がFP相談を行うとき、一番優先していることは「あなたが前向きになれるかどうか」です。セミナーを行うときに、大事にしていることは「楽しいかどうか」です。
 
ファイナンシャル・プランニングは、数字遊びであってはなりません。そこに「幸せ」や「前向きな気持ち」があって初めて価値があるものです。私は、そういった気持ちを何よりも大切に思っています。

独身税とは何か?

「独身税」と聞くと、「独身の方のみに課される税金」という印象を持ちますが、実際は税金ではありません。「独身税」は俗称で、正式には「(子ども・子育て)支援納付金」といいます。
 
支援納付金は、令和8年度以降、「子ども・子育て支援金制度」の財源として、医療保険料(国民健康保険料・健康保険料・後期高齢者医療保険料)・介護保険料と併せて徴収される予定のお金です。
 
徴収された支援納付金は、以下の費用に充てられる予定です。
 

・児童手当(令和6年10月分より拡充)
・妊婦支援給付金(令和7年4月に制度化)
・出生後休業支援給付金・育児時短就業給付金(令和7年4月に創設)
・こども誰でも通園制度(乳児等支援給付)(令和8年4月に給付化)
・国民年金第1号被保険者の育児期間中保険料免除(令和8年10月に創設)
・子ども・子育て支援特例公債の償還金など

 
子ども・子育て支援金制度の趣旨は、「子育て世帯を全世代・全経済主体が連帯して支える」というものです。したがって、給付を直接受ける子育て中(またはこれから結婚・子育てを考える)の方だけでなく、給付を直接受けない方(子育てを終えた方・高齢者など)も含めた全ての医療保険加入者が、支援納付金を納付する義務を負います。
 
制度としては社会保険の枠組みに入っているものの、給付を受けない(受ける可能性がない)方からすれば、その性質は税金と変わりません。支援納付金が「独身税」といわれるのは、このためでしょう(給付を受けない方の代表として、「独身」という言葉が使われていると考えられます)。
 

どれくらい負担が増えるのか?

先述のとおり、支援納付金は令和8年度から、医療保険料・介護保険料と併せて徴収される予定です。保険料・支援納付金のイメージは、図表1のとおりです。
 
図表1


出典:こども家庭庁 「子ども・子育て支援制度の概要について」
 
なお、本記事の執筆時点(令和7年7月時点)では、「子ども・子育て支援金率」は未定です。現在公表されているのは、医療保険加入者1人当たりの支援金額(平均月額)の試算です(図表2参照)。
 
図表2

出典:こども家庭庁 「子ども・子育て支援制度の概要について」
 
図表2から、支援納付金率は令和8年度から令和10年度にかけて段階的に構築されること、加入者1人当たりの支援金額は月額約200~600円前後となる見込みであることが分かります。
 
ただし、子ども家庭庁は子ども・子育て支援制度に係る資料のなかで、「歳出改革と賃上げによって実質的な社会保険負担軽減の効果を生じさせ、その範囲内で支援金制度を構築することにより、実質的な負担が生じないこととする」としています。
 
私たちの視点から見れば、これは「賃金上昇の範囲内で支援納付金を徴収する」と読み取れ、表面(額面)的には手取り収入は減らないと解釈したいところです。この点を踏まえ、今後の動向に注視していきましょう。
 

まとめ

本記事では、「独身税とは何か?」「どれくらい負担が増えるのか?」について解説しました。まとめると、以下のとおりです。
 

・独身税とは「(子ども・子育て)支援納付金」のことであり、「子ども・子育て支援金制度」の財源として令和8年度から徴収予定のお金のことである
 
・支援納付金として月額約200~600円の負担が見込まれるが、こども家庭庁が「歳出改革と賃上げ効果の範囲内で支援納付金を徴収」し、「実質的な負担が生じないこととする」としているため、額面的には手取り収入が減らないことを期待したい

 
この背景には「少子化に歯止めをかける」という目的があり、支援納付金はそのための手段(子育て世帯を全世代・全経済主体が連帯して支える)です。この制度は、まだ具体的に決まっていない部分もありますので、今後の動向を注視していきたいものです。
 

出典

こども家庭庁 子ども・子育て支援制度について
こども家庭庁 子ども・子育て支援制度の概要について
 
執筆者 : 中村将士
新東綜合開発株式会社代表取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 CFP(R)(日本FP協会認定) 宅地建物取引士 公認不動産コンサルティングマスター 上級心理カウンセラー

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