友人は私の倍の額の「住民税」を払っているそうです。年収も私の2倍あるってことですか?

配信日: 2025.10.30
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友人は私の倍の額の「住民税」を払っているそうです。年収も私の2倍あるってことですか?
「友人が自分の倍の額の住民税を支払っている」という話を聞くと、「つまり年収も自分の2倍あるのか?」と考えてしまいがちです。
 
ですが、実際には、住民税は単純に年収だけで決まるわけではありません。控除の状況や前年度の所得、扶養親族の有無などが影響し、同じ年収でも税額が大きく変わることもあります。
 
本記事では、住民税の仕組みを整理しながら、「友人が倍の税額だから年収も倍」という推定が果たして妥当かどうかを、一緒に確認していきましょう。
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なぜ住民税が違う? 税金額は年収だけでは決まらない

住民税の額は、その人の「前年の所得」をもとに計算されます。つまり、2025年度の住民税は、2024年1月1日から12月31日の所得を基準にして課税される仕組みです。
 
年収から、給与所得控除や基礎控除、社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除など、さまざまな控除が差し引かれ、最終的に「課税所得」が算出されます。
 
住民税はこの課税所得に一定の税率をかけて算出される「所得割」と、定額の「均等割」の合計で決まります。そのため、年収が同じでも、控除が多ければ課税所得は少なくなり、住民税も安くなるのです。
 

年収が2倍なら税額も2倍? 実際の関係と控除の影響

今回のケースにおける「住民税が倍だから年収も倍」という考え方は、あながち間違いではないものの、やや単純化されすぎています。なぜなら、住民税に影響を与えるのは年収だけではないからです。
 
例えば、同じ年収でも控除の内容によって課税所得が異なります。控除には、前述の給与所得控除のほか、基礎控除や社会保険料控除、配偶者控除、扶養控除などがあり、それぞれの状況によって控除額が変わります。
 
独身で扶養がなく、配偶者控除も使っていない人は、控除が少ない分、課税所得が多くなり、住民税も高くなる傾向があります。
 
さらに、副業や一時的な収入があった場合も、その年の課税所得が増えるため、翌年の住民税が大きくなる要因となります。逆に言えば、年収が高くても控除を十分に受けていたり、退職による収入減があったりした場合などは、思ったより住民税が少なくなることもあるのです。
 
また、住んでいる自治体によっても、均等割の金額や非課税となる基準が異なるため、同じ年収でも住民税が異なるケースがあります。このように、住民税の額は単に「年収がいくらか」だけで判断できるものではなく、さまざまな条件が複雑に絡み合って決まるのです。
 

まとめ:友人が自分の倍の住民税=年収2倍とは限らない

ここまで見てきたように、住民税の金額だけを見て、「友人のほうが年収も2倍ある」と結論づけるのは早計です。
 
たしかに、控除などさまざまな条件が同じであれば、年収が2倍になれば住民税もおおむね2倍近くになる可能性はあります。しかし、現実には多くの人が異なる控除や収入条件を抱えているため、「住民税の差=年収の差」とは言い切れないのが実情です。
 
実際に確認したい場合は、自身の「住民税決定通知書」を見てみるのがよいでしょう。通知書には、前年の所得金額や控除の内容、課税所得などが記載されているため、自分がなぜその金額の住民税を課されているのかが分かります。
 
また、自身の住民税が適正かどうかを把握するためには、年収だけでなく、扶養の有無や副収入の状況などを整理し、簡単なシミュレーションを行うのもおすすめです。市区町村のホームページなどで提供されている住民税の試算ツールを活用すれば、おおよその金額が見えてくるでしょう。
 
最後に大切なのは、住民税の金額に一喜一憂するのではなく、その仕組みを理解し、収入や生活の変化に応じた対応ができるようにしておくことです。
 
税金は誰にとっても避けられないものですが、きちんと知識を持って臨めば、無駄な不安や誤解を減らすことができます。「住民税が倍だから年収も倍」という考えにとらわれすぎず、まずは事実を正しく知ることから始めてみましょう。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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