ガソリンの「暫定税率」が“年内廃止”! 1リットル当たり「25.1円」も安くなるそうですが、わが家は「月300km」しか乗りません。実際“月500円”ほどの恩恵しかないって本当ですか?

配信日: 2025.11.12
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ガソリンの「暫定税率」が“年内廃止”! 1リットル当たり「25.1円」も安くなるそうですが、わが家は「月300km」しか乗りません。実際“月500円”ほどの恩恵しかないって本当ですか?
ガソリン価格は年々上昇しているため、以前よりガソリン税の暫定税率の廃止を訴える声は少なくありませんでした。
 
そのような中、2025年10月に自民党総裁に就任した高市早苗氏が暫定税率の廃止を掲げたことで、ガソリンが安くなると期待する人が増えていました。そして、2025年12月31日に廃止することで与野党6党が合意し、廃止が確実になりました。
 
暫定税率の廃止は、車に乗る人ほど恩恵を受けられる一方で、乗る機会が少ないとそこまで影響はないと感じる人もいるでしょう。本記事では、ガソリン税の暫定税率が廃止された場合に、1ヶ月間で300キロメートルしか乗らない人の家計にどれだけの影響があるのか解説します。
土田崇央

FP2級、AFP、簿記3級、クレジットカードアドバイザー3級、住宅ローンアドバイザー

ガソリン税の暫定税率とは

ガソリン税の暫定税率とは、道路整備などの財源を確保することを目的に、1974年に導入された上乗せ税率のことです。ガソリン1リットルあたり53.8円がガソリン税となっており、そのうち暫定税率にあたる金額は25.1円です。
 
2010年3月には「トリガー条項」と言う形で、「レギュラーガソリン1リットルあたりの金額が3ヶ月連続で160円を超えた場合に暫定税率の部分を廃止する」と、法律で制定されました。
 
そのような中で、資源エネルギー庁の調査による「給油所小売価格調査」では、2021年10月4日に全国平均で160.0円を記録して以降、2025年10月現在まで1リットルあたり160円超えの状態が続いています。
 
4年間にわたり160円超えが続いているにもかかわらず、トリガー条項は発動されていません。トリガー条項は2011年に東日本大震災の復興財源確保などの観点から凍結されたままで、政府は税収の確保を目的に暫定税率を継続していました。
 
図表1

図表1

資源エネルギー庁 石油製品価格調査 調査の結果 より筆者作成
 
しかし、自民党総裁の高市氏がガソリン税の暫定税率の廃止を打ち出し、与野党合意により年内での廃止が確実になり、ガソリンが安くなることに期待が高まっています。
 

走行距離が月300キロメートルの場合、安くなるのは牛丼1杯分だけ?

ガソリン税の暫定税率が廃止されることでガソリンが安くなるため、家計の負担が軽くなる家庭は多いでしょう。一方、恩恵を受けられるのは自家用車に乗る機会が多い人が中心になるため、走行距離が短い人は無関係の話に感じるかもしれません。
 
ここで、1ヶ月間の走行距離が300キロメートルの場合、暫定税率が廃止されることで節約できる金額を計算してみました。なお、自家用車の燃費は1リットルあたり16キロメートルとします。また、実際には暫定税率の廃止に伴いガソリンの補助金が廃止されますが、ここでは暫定税率の25.1円のみで計算します。
 

・1ヶ月間のガソリン消費量:300キロメートル÷16キロメートル/リットル=18.75リットル
・暫定税率により安くなる金額:18.75リットル×25.1円=471円/月(年額で約5640円)

 
1ヶ月あたりで節約できる金額は500円に満たない牛丼1杯程度のため、負担が軽くなったと感じられる人は少ないかもしれません。
 

多くの人は暫定税率の廃止により、どれだけ恩恵を受けられる?

ガソリン税の暫定税率が廃止された場合、一般的な家庭だとどれくらいの恩恵を受けられるのか、気になる人もいるでしょう。
 
総務省が2024年に調査した「自動車燃料消費量調査」によると、1日1車あたりの走行距離は自家用普通車の場合で21.85キロメートルです。1ヶ月間の走行距離が656キロメートル(=21.85キロメートル×30日)と仮定すると、暫定税率の廃止により節約できる金額は1029円(=656キロメートル÷16キロメートル/リットル×25.1円)です。
 
月1000円程度であれば、家計の負担が軽くなったと感じられるかもしれません。
 

まとめ

ガソリン税の暫定税率は1リットルあたり25.1円で、廃止されればその分ガソリンが安くなり、家計の負担が軽くなることに期待を寄せる人は多いでしょう。暫定税率の廃止は、走行距離が大きい人ほど恩恵を受けられます。
 
しかし、自家用車に乗る機会が少ない場合、期待するほどの節約効果は見込めないかもしれません。
 
家計のことを考えると、ガソリンが安くなることの恩恵は確かにあります。しかし、今の生活が苦しいのであれば、自家用車に乗る頻度次第ではほかの項目を見直したほうが建設的と言えるかもしれません。
 

出典

国土交通省 自動車燃料消費量調査 2024年度 第1表 燃料別・車種別 総括表
資源エネルギー庁 石油製品価格調査 調査の結果
 
執筆者 : 土田崇央
FP2級、AFP、簿記3級、クレジットカードアドバイザー3級、住宅ローンアドバイザー

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