固定資産税が去年より「3万円アップ」。家を何も変えていないのになぜ?
本記事では、固定資産税の仕組みを生活者の視点で整理しながら、増税につながる主な要因とその対策を解説します。
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固定資産税の仕組みを理解しよう
固定資産税は、土地や家屋を所有する人が毎年支払う地方税で、1月1日時点の所有状況を基に市町村が課税します。税額は「課税標準額×税率」で算出され、一般的に税率は1.4%ですが、自治体によって異なる場合があります。加えて、都市計画区域内に所在する物件には、都市計画税が上乗せされる場合があります。
課税標準額の基になるのが、「評価額」です。土地は地価や路線価、建物は再建築にかかる費用などを基に算出され、3年ごとに見直されます。この「評価替え」が行われると、所有者が何もしていなくても税額が変動する可能性があるのです。
家を変えていないのに税額が上がる理由
「何もしていないのに3万円アップ」という場合、背景にはいくつかの要因が考えられます。
まず、土地の地価や路線価が上昇している地域では、評価額が自動的に引き上げられます。都市部や再開発地域などは特に影響を受けやすく、評価替えの年には税額が上昇するケースが多く見られます。
次に、建物の評価額です。築年数が経過すれば原則として評価額は下がりますが、近年は建築資材の高騰が続き、再建築費の上昇によって評価額があまり下がらない、あるいは上がるケースも見られます。
また、住宅用地などに適用される軽減特例が終了した場合も、税額が大きく上がることがあります。例えば新築住宅への減額措置は3~5年で終了することが多く、特例が外れた翌年に数万円単位で増えるケースも見られます。
さらに、土地の用途を駐車場や事業用地に変更した場合も軽減がなくなり、課税額が一気に上がることがあります。
最後に、自治体の税率変更や「負担調整措置」の影響も無視できません。評価額が急上昇した際には、税負担をなだらかに上げるための仕組みがありますが、それが段階的に終了することで税額が実質的に上がることもあります。
固定資産税の上昇に備えるには
まず大切なのは、毎年送られてくる納税通知書や課税明細書をよく確認することです。前年と比べて評価額や課税標準額がどう変わっているか、軽減特例が適用されているかをチェックし、不明点があれば自治体の担当窓口に問い合わせましょう。
また、地価の上昇や評価替えによる税額アップは避けられない部分もあります。したがって、数年先を見越して家計計画に固定資産税の増加分を組み込んでおくことが重要です。住宅ローンの支払いや修繕費に加え、税金という保有コストを見える化しておくことで、将来の負担を冷静に判断できます。
さらに、特例や減税措置を維持するためには、土地や建物の用途をむやみに変更しないことも重要です。空き家や未利用地は特例の対象外になることがあるため、早めの活用や売却も検討するとよいでしょう。
家計を守るために、固定資産税の増額に備えよう
固定資産税は、「何もしていないのに増える」可能性を制度的に内包しています。地価の上昇、建築資材の高騰、軽減措置の終了、自治体の判断による税率改定や負担調整措置など、それぞれは小さな変化でも重なると税額は大きく動きます。
だからこそ、毎年の通知書を丁寧に確認し、自分の不動産がどの要因で影響を受けやすいのかを把握することが重要です。
そして、増税リスクを織り込んだ資金計画を立て、必要に応じて専門家に相談するなど、早めの対応を心掛けましょう。固定資産税は、家や土地を持つうえで避けられない維持費です。税金の仕組みを理解し、計画的に備えることが家計の安定につながるでしょう。
出典
総務省 固定資産税
国土交通省 新築住宅に係る税額の減額措置
横浜市 令和7年度固定資産税(土地)の税額計算の仕組み
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
