友人が「年末調整で3万円払った」と言っていました。私はいつも「税金が戻ってくる」のですが、なぜ“追加で払う”必要が出てくるのでしょうか?
本記事では、追加徴収が発生する具体的なケースと、年末調整で損をしないために11月に確認すべきポイントを解説します。
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年末調整で「追加徴収」が発生する仕組み
年末調整は、会社が毎月の給与から概算で天引きしている所得税(源泉徴収税)と、年間の正確な収入と控除に基づいて計算された本来の年税額を精算する手続きです。
・還付(税金が戻る):源泉徴収額 > 本来の年税額
・徴収(追加で払う):源泉徴収額 < 本来の年税額
税金を追加で3万円払うことになったのは、年の途中で発生した要因により、本来納めるべき税金に対して毎月の給与で納めていた税金が「3万円不足していた」という状況を意味します。
追加徴収が発生する主なケース3例
追加徴収が発生するのは、年の途中で「控除対象者が減った」、または「給与水準が上がり源泉徴収が追いつかなかった」といった場合が多く見られます。
ケース1:扶養親族や配偶者が途中で扶養から外れた
年末調整の計算の基礎となる毎月の源泉徴収額は、その時点で提出されている「扶養控除等(異動)申告書」に基づいて計算されています。そのため、年の途中で以下のような変化があった場合には注意が必要です。
・子どもが就職した、またはアルバイト収入が増えて扶養親族から外れた
・配偶者の年収が増え、配偶者控除の対象外となった
会社への申告が遅れると、源泉徴収額が少ないまま計算されます。結果として、控除額が減った分だけ年間の税額が増え、年末に不足分の追加徴収が発生してしまうのです。
ケース2:給与が大幅に変動したが再計算されなかった
年の途中で大幅な昇給や高額なボーナスを受け取った場合、毎月の源泉徴収額が年間の正しい税額を計算するうえで不足することがあります。
特に、転職して前職の給与と合算で年末調整を行うケースや、前職の源泉徴収額が少なかった場合には、不足分を追加で支払う原因になりやすいでしょう。
ケース3:申告すべき控除証明書の提出を忘れる・誤る
本来受けられる控除を申告し忘れた場合も、結果的に還付がなくなり「追加徴収に近い」状態となります。例えば、年の途中で生命保険などに加入し、その年の保険料控除証明書を提出しなかった場合、控除が適用されません。
その結果、本来戻るはずだった税金が戻らず、追加徴収のような結果につながります。また、iDeCo(個人型確定拠出年金)の掛け金も、年末調整で申告しなければ控除が受けられない点に注意が必要です。
年末調整で「損をしない」ためのポイント
年末調整で追加徴収を避けるためには、次の3点を確実に確認しておきましょう。
1. 保険料控除証明書をすべて集めたか
11月ごろをめどに、届いた生命保険や地震保険、iDeCoなどの控除証明書がすべてそろっているか確認してください。証明書を添付しない限り、控除は適用されません。控除額が多いほど、還付される税金も増えます。
2. 配偶者や扶養親族の「年収見込み」を再確認したか
配偶者や扶養親族の今年の年収が、「扶養の壁」を超えていないかを確認しましょう。超えている場合は、まずは会社に報告し、「扶養控除等(異動)申告書」の修正が必要です。
3. 住宅ローン控除の書類を提出したか
住宅ローン控除(2年目以降)を受けている人は、税務署から送付される「住宅借入金等特別控除申告書」と、金融機関からの「残高証明書」を忘れずに添付し、提出してください。
この控除は税額から直接差し引かれるため、還付額に大きな影響を与えます。
追加徴収は「前払い不足」の精算
年末調整で税金が追加徴収されるのは、年間の正しい税額に対して、毎月の源泉徴収という「前払い」が不足しているためです。不足が生じる主な理由には、年の途中で扶養家族が変動することや、控除の申告漏れなどがあります。
「3万円」といった追加徴収を防ぐためには、保険料控除の証明書の漏れがないか、家族の収入状況に異動がないかを、11月のうちにしっかりと確認しておくようにしましょう。
出典
国税庁 No.2675 年末調整の過不足額の精算
国税庁 No.2671 年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき
国税庁 No.2672 年末調整で配偶者控除または配偶者特別控除の適用を受けるとき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
