【2025年】「今年の年末調整やばい…」と経理の友人がポツリ。特に“大学生世代の子ども”がいる家庭は要注意!? 知っておくべき「4つの変更点」とは

配信日: 2025.11.23
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【2025年】「今年の年末調整やばい…」と経理の友人がポツリ。特に“大学生世代の子ども”がいる家庭は要注意!? 知っておくべき「4つの変更点」とは
2025年12月に所得税の基礎控除などの見直しが行われます。そのため、今年の年末調整の内容がこれまでと変わった人も増えるでしょう。しかし年末調整の細かな内容は、あまり気にしていない人も多いのではないでしょうか。
 
そこで本記事では、今回の改正について、経理担当以外の人も知っておいたほうが良い点や、注意点などを解説します。
山根厚介

2級ファイナンシャルプランニング技能士

年末調整とは

年末調整とは、1年間に納めなければならない所得税額と、源泉徴収された所得税額を一致させるための調整手続きです。年末調整で不足した分は追加で納付し、すでに多く納めていた場合は還付されます。
 
会社員や公務員は、給与が支払われる際に所得税が源泉徴収されますが、その段階では正確な税額が分からないため、年末に計算し直して調整する必要があるのです。
 
年末調整で正確な所得税額を計算するには、基礎控除や扶養控除などの控除項目の計算が欠かせません。これらの各種控除のいくつかが、今回改正されました。
 

2025年の変更点

2025年の主な変更点は4つあります。それぞれを解説します。
 

特定親族特別控除の創設

特定親族特別控除が創設されました。同一生計の19歳以上23歳未満の大学生世代の子どもが対象になります。
 
改正前に扶養控除を受けるには、所得が48万円(給与収入のみなら103万円)以下に制限されていました。しかし、特定親族特別控除により、所得85万円(給与収入のみなら150万円)以下までは63万円の控除が受けられます。
 
また、85万円を超える場合でも、123万円(給与収入のみなら188万円)以下までは段階的に控除額が減らされるものの、ある程度控除を受けることが可能です。具体的な所得と控除額の関係は、図表1を参考にしてください。
 
図表1

図表1

国税庁 「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」より引用
 

扶養親族の所得要件の改正

大学生年代の子どもだけでなく、その他の扶養親族も所得要件が緩和されています。扶養親族の所得要件はこれまで48万円以下(給与収入のみなら103万円以下)でしたが、改正で58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)になっています。詳細は図表2のとおりです。
 
図表2

図表2

国税庁 「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」より引用
 

基礎控除額の引き上げ

合計所得金額が2350万円以下の場合、基礎控除額はこれまで一律で48万円でしたが、今回の変更で所得金額に応じて控除額が変わります。所得が少ないほど控除額も大きくなったため、所得が少ない人ほど恩恵が大きいでしょう。具体的には図表3のとおりです。
 
図表3

図表3

国税庁 「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」より筆者作成
 

給与所得控除額の一部引き上げ

給与所得控除が一部で引き上げになりました。具体的には、図表4のように給与収入が190万円以下の場合で控除額が65万円になっています。
 
図表4

図表4

国税庁 「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」より引用
 

2025年の変更で気をつけるべき点

今回の改正で気をつけるべき点をいくつか紹介します。まず、大学生年代の子どもをもつ世帯では、これまで扶養控除を受けるためにアルバイトなどの収入を一定以下に抑えるよう伝えていたケースもあったのではないでしょうか。
 
しかし、特定親族特別控除によって所得要件が緩和されたため、これまでよりも柔軟に働けるようになります。特定親族特別控除を受けるには、年末調整の際に「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を提出しなければなりません。
 
また、その他の扶養親族も所得要件が緩和されており、特定親族のように働き方が変わる可能性があります。今回の改正で新たに扶養親族になる親族がいれば、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出が必要です。
 
一方で、社会保険の特定扶養親族になる条件や、所得税・住民税がかかってくる条件は、特定親族特別控除などの条件とは異なります。そのため、所得金額によっては、手取りが少なくなるケースもあるでしょう。実際に働いた場合に得られる金額をあらかじめシミュレーションしておくことが大切です。
 

まとめ

2025年12月に行われる基礎控除などの見直しで、特定親族特別控除の創設や基礎控除の見直しなどが行われます。多くの世帯では税負担が軽くなるでしょう。
 
これらの恩恵を最大限に受けるには、改正された内容を正しく理解しておくことが必要です。これを機会に控除などの仕組みを復習してみてはいかがでしょうか。
 

出典

国税庁 「令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について(源泉所得税関係)」
 
執筆者 : 山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士

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