年金生活の親を私の扶養に入れることってできるのでしょうか? 条件やメリット・デメリットを教えてください。

配信日: 2025.11.27
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年金生活の親を私の扶養に入れることってできるのでしょうか? 条件やメリット・デメリットを教えてください。
年金生活の親を自分の扶養に入れられるのか…… これは税金・社会保険・医療や介護費用に直結する重要なテーマです。
 
扶養に入れることで税負担の軽減や社会保険料の削減といったメリットが期待できる一方、制度上の要件を満たさなければ適用できず、さらに将来の介護費用が増える可能性もあります。節税だけで判断するのではなく、親の収入・生活状況、家族の支援体制を踏まえた冷静な比較が不可欠です。
 
本記事では扶養の条件やメリット・デメリット、判断の流れを解説します。
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扶養に入れるための条件を整理

親を扶養に入れる場合、税法上の扶養と健康保険の扶養は別の制度であり、必要要件も異なります。
 
税法上の扶養では親と子が生計を一にしていることが前提で、別居であっても仕送りなどで生計を共にしていると認められます。また、親の年間合計所得金額が58万円以下であることも重要です。
 
年金受給者の場合、年金収入を所得に換算すると合計所得金額が低く収まる場合があり、扶養控除の対象となるケースがあります。さらに70歳以上の親は、「老人扶養親族」として控除額が上乗せされる仕組みもあります。
 
一方、社会保険の扶養では、親の収入が一定額未満(一般に年収130万円未満、60歳以上は約180万円未満)であることや、主に子の支援で生活していることが求められます。
 
ただし、75歳以上で後期高齢者医療制度に加入している親は、そもそも子の健康保険の扶養には入れられません。そのため、税法上は扶養にできても健康保険では対象外になることが多く、両制度をそれぞれ確認する必要があります。
 

親を扶養に入れるメリット

扶養に入れることで得られる最大のメリットは、税負担の軽減です。扶養控除が適用されると子の課税所得が減り、年間で数万円規模の節税効果が期待できます。70歳以上の老人扶養親族の場合は、控除額が高めに設定されており、より大きな節税効果が見込まれます。
 
また、社会保険の扶養に入れられる場合、親の医療保険料が不要となることが多く、年金生活の親にとっては、家計の安定につながる重要なメリットです。
 
さらに、扶養を検討するためには、親の収入や支出、生活費の内訳、仕送り額、医療・介護費用といった項目を整理する必要があります。この過程は家計全体を見直すきっかけとなり、将来の備えを考えるうえでも有効です。
 

親を扶養に入れるデメリット

一方で、見落としやすいリスクも存在します。代表的なのが、介護・医療費負担の変化です。
 
子の世帯に親が含まれると、介護施設の食費や居住費軽減措置が受けられなくなる可能性があり、将来的な介護費用が増える場合があります。高額療養費制度の自己負担限度額は世帯単位で決まるため、子の世帯所得が高い場合は親の医療費負担が増加することもあります。
 
また、扶養に入るためには親の収入が一定基準以下である必要があるため、パート収入などがある親の場合は働き方に制限が生じる可能性があります。働いて収入を得たいという親の意向がある場合は、この点がマイナスとなることもあります。
 
さらに、扶養控除は基本的に扶養家族一人につき一つが原則のため、兄弟が複数いる家庭では誰が扶養に入れるかをめぐって、不公平感が生じることもあります。扶養にともなう仕送りや支援体制については、事前に話し合うことが欠かせません。
 

判断すべきポイントと実務の流れ

親を扶養に入れるかどうかを判断する際には、税負担の減少効果と介護・医療費の将来負担の変化を総合的に比較検討することが重要です。まず、親の年金収入や所得金額を確認し、扶養控除を適用した場合にどれくらい節税できるかを試算します。あわせて、医療費や介護費の軽減措置が利用できなくなる可能性についても具体的に把握します。
 
手続きは、税法上の扶養控除は年末調整や確定申告で申告し、社会保険の扶養申請は勤務先を通じて書類を提出します。親が年金受給者の場合は、年金の源泉徴収票等の書類提出も必要です。
 

親の扶養は制度理解と家族の合意をもって進めよう

親を扶養に入れるかどうかは節税だけではなく、介護費用や医療費負担の将来変化、そして家族間の役割分担も考慮した多角的な判断が欠かせません。
 
親の収入や生活状況、将来の支出を整理し、家計にとって最適な選択を行うことが安心につながります。扶養を検討する際には家族で十分に話し合い、制度の仕組みを理解したうえで、無理のない支援体制を整えていきましょう。
 

出典

国税庁 No.1180 扶養控除
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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