年末調整でまさかの「追加徴収」! 会社で処理されているはずなのに、なぜお金を払うことに?

配信日: 2025.11.28
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年末調整でまさかの「追加徴収」! 会社で処理されているはずなのに、なぜお金を払うことに?
会社員の場合、勤め先で年末調整を行うことがほとんどですが、年末調整をすることで「追加徴収」が発生する場合があることをご存じでしょうか? では、どのような場合に発生するのか、FPである筆者が解説します。
田久保誠

田久保誠行政書士事務所代表

CFP®、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、特定行政書士、認定経営革新等支援機関、宅地建物取引士、2級知的財産管理技能士、著作権相談員

行政書士生活相談センター等の相談員として、相続などの相談業務や会社設立、許認可・補助金申請業務を中心に活動している。「クライアントと同じ目線で一歩先を行く提案」をモットーにしている。

年末調整の追加徴収とは

年末調整は、会社員等で1月1日~12月31日までの給与・賞与等を合計し、個々人のその時点で控除できる額を控除して本来の所得税額を計算し、その年に納付した源泉徴収税額との差額を精算します。
 
多くの場合は、毎月の源泉徴収で払い過ぎていた税金の還付となりますが、源泉所得税額よりも本来納めるべき所得税額が多くなった場合、当然差額分を納める必要があり、それを「追加徴収」といいます。
 
一般的に会社員等の場合、毎月の給与の増減はそれほどない場合が多いので、毎月ほぼ一定額の所得税を源泉徴収されていますが、何らかの事情で税額が上がってしまう場合、毎月の源泉徴収額の合計よりも最終的に支払うべき税額が多くなり、年末調整で追加徴収が発生します。
 

どのような場合に追加徴収されるの?

追加徴収される主な原因としては、次の3つが挙げられます。
 

(1)給与・賞与が増えたため
(2)扶養家族が減ったため
(3)受けられる控除が減ったため

 
まず(1)ですが、源泉徴収は、年間に受け取る給与・賞与の概算額によって所得税額の仮の計算をしていますので、年の途中で昇進や昇給、企業業績の影響で賞与増額、あるいは転職によって収入が増えた場合に追加徴収の要因となります。
 
次に(2)ですが、扶養家族が減ると、その分扶養控除が適用されなくなり、追加徴収の要因となります。具体例としては、大学生の子が就職し扶養から外れる場合や、配偶者の収入が増え、配偶者控除、あるいは配偶者特別控除が変わる場合、扶養している親族が死亡した場合が考えられます。
 
最後に(3)ですが、具体的には、iDeCoの掛金の減額、地震保険の解約や減額、生命保険料控除に当たる生命保険、個人年金保険、介護保険等の解約あるいは減額です。
 

追加徴収に該当した場合は?

基本的には12月の給与から追加徴収分がいつもの源泉徴収と一緒に天引きされますので、特に何もする必要はありません。ただ、追加徴収額が多過ぎて大幅に手取りが減る場合等には、徴収の繰り延べも可能です。
 
具体的には、それまでの給与に比べて額が70%未満になる場合は、翌年の1月・2月に繰り延べることができます。
 

追加徴収があっても確定申告が必要な場合もあり

年末調整は、あくまでの給与所得を対象としたものです。追加徴収であっても還付であっても、別途確定申告を行わなければならない場合が発生します。
 
具体的には、2ヶ所以上から給与を受け取っている場合や、他の所得(事業所得・雑所得・不動産所得等)がある場合です。
 

大学生がいる家庭は注意!

大学生がアルバイトに精を出しすぎて控除から外れる場合がありますので、親子でよくコミュニケーションをとる必要があります。
 
また、給与収入のみの場合、「123万円超188万円以下」の「19歳以上23歳未満」の子どもがいる場合には、特定親族特別控除も適用されるようになり、控除額は最大63万円です。
 

基本的にはご自身で何かすることはない

あくまで年末調整の一環ですので、ご自身が何かするということはありません。しかし、上記のような追加徴収があるケースに当たることが分かっているのであれば、ご自身でどのくらい12月の給料が少なくなるのかを計算しておくことで、実際に少なくても慌てることはなくなるでしょう。
 

出典

国税庁 No.2675 年末調整の過不足額の精算
国税庁 No.1177 特定親族特別控除
 
執筆者 : 田久保誠
田久保誠行政書士事務所代表

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