【ふるさと納税】「年収800万円だから」と、妻が“1万円×10自治体”に寄附!「上限額は超えてない」けど、手続きが面倒になりますよね? 還付金額が変わったりしますか?
しかし、同じ10万円の寄附でも、「2万円ずつ5自治体に寄附」なのか、「1万円ずつ10自治体」なのかで手続きが大きく変わってくるため注意が必要です。
本記事では、ふるさと納税の寄附先が5自治体を超えた場合にどうなるのか、手続きの手間や控除額への影響について、分かりやすく解説します。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
なぜ5自治体以内に抑えるの?
「ふるさと納税は5自治体までにしておけ」という話を聞いたことがある人もいるでしょう。理由は簡単で、寄附先が5自治体を超えると確定申告を行う必要があるからです。
ふるさと納税には、確定申告なしで寄附金控除を受けられるワンストップ特例という制度がありますが、この制度を使えるのは寄附先が5自治体以内の場合に限られます。1万円の寄附を10自治体といった具合に5自治体を超えてしまうと、ワンストップ特例の対象外となってしまうのです。
確定申告になるとかかる手間はどれくらい?
ふるさと納税の寄附先が5自治体を超えて確定申告が必要となった場合、当然ですがワンストップ特例に比べて手間は増えます。
確定申告のためにまず必要なのは、確定申告書類の作成です。国税庁が公開しているWebサイト「確定申告書等作成コーナー」を使えば自宅で作成できますが、初めての場合はなかなかスムーズに進まないでしょう。
ふるさと納税の寄附を行った際に発行される「寄附金の受領証」などを基に、ふるさと納税の寄附内容を入力することに加えて、会社からもらった源泉徴収票を使って、1年間の収入や各種控除の概要も入力する必要があります。
ここで作った確定申告書を、e-Taxを使って電子送信するか、郵送、直接持参などで税務署に提出するわけです。この確定申告をしなければならないという負担は、決して小さくないでしょう。
あえて確定申告するメリットもある?
確定申告には意外なメリットもあります。それは、控除の一部が早く現金で戻ってくることです。
まず、ワンストップ特例の場合、控除額の全額が翌年6月以降に支払うべき住民税から引かれる形で控除が行われます。したがって、ふるさと納税の恩恵を受けられるのは、寄附をした翌年6月以降です。
一方、確定申告の場合は、還付金のうちの一部が所得税から控除、残りがワンストップ特例と同様に住民税から控除されます。
具体的には、年収800万円で所得税率が20%の人がふるさと納税で10万円を寄附(控除額は9万8000円)した場合、2万円が所得税から、残りの7万8000円が住民税からそれぞれ控除を受けることになるのです。
所得税の控除を受けた分は、確定申告から3週間~1ヶ月半程度で還付という形で返ってきます(住民税分の扱いはワンストップ特例制度と同様)。早ければ3月中に一部でも恩恵を受けられるというのは1つのメリットとなるでしょう。
なお、どちらを使った場合でも合計の控除額に違いはありません。
確定申告を気にしなくて良い人とは?
この5自治体までというルールを気にする必要があるのは、あくまでワンストップ特例制度を利用したい人、つまり普段、確定申告をしていない会社員です。
逆に言えば、もともと確定申告が必要な人は、寄附先が5自治体を超えても何らデメリットはありません。
・医療費控除や、住宅ローン控除の1年目を受ける人
・副業などで給与所得以外に20万円を超える所得がある人
・自営業者やフリーランスなど給与所得、年金以外で生活している人
これらの人は、どちらにせよ確定申告の手間が発生するため、寄附先の自治体数を気にする必要はないと言えるでしょう。
なお、寄附先を5自治体以内に抑えても、確定申告をしてしまうとワンストップ特例制度は無効となります。確定申告の際に5自治体を超えた場合と同様に、寄附の内容を確定申告書に書く必要があることに注意しましょう。
まとめ
ふるさと納税は、寄附先が5自治体を超えるとワンストップ特例制度が利用できず、確定申告が必須となります。控除される金額の総額は変わりませんが、手続きの手間は増えてしまうのです。
確定申告には、所得税の還付分が早く現金で戻ってくるというメリットがありますし、6自治体以上に寄附をすることで返礼品のバリエーションを増やせるのも魅力となるでしょう。手間とメリットのバランスを考えながら、寄附する自治体数を考えたいところです。
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
