4年前、事故で骨折して入院した父。当時の「入院費用」が“70万円”だったようなのですが、今から申請しても「医療費控除」の対象になりますか?

配信日: 2025.12.05
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4年前、事故で骨折して入院した父。当時の「入院費用」が“70万円”だったようなのですが、今から申請しても「医療費控除」の対象になりますか?
「医療費が高額になったのに医療費控除を申告し忘れた」というケースもあるでしょう。医療費控除は所得控除の1つで、適用すると所得が低くなるため税金負担が軽くなります。医療費控除を適用するためには、申告期限を知っておくことが大切です。
 
今回は、医療費控除の申告期限や、申告手順などについてご紹介します。
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医療費控除はいつまでに申告が必要?

医療費控除は最大5年前までさかのぼって申告が可能です。
 
会社員など給料を受け取っている人は、毎月の給料から源泉徴収で税金が引かれ、年末調整でその年の納税額を精算します。しかし、年末調整では医療費控除は扱われません。そのため、医療費控除を反映した正しい税額を精算し、支払いすぎた税金を受け取るには、別途「還付申告」が必要です。
 
国税庁によると、この還付申告は該当年の翌年1月1日から5年間行えます。例えば、令和3年の医療費控除を適用して還付申告をする場合、令和4年1月1日~令和8年12月31日までが申告期間です。
 
そのため、4年前の医療費控除であれば、医療費控除を適用した還付申告はできます。
 

医療費控除をあとから申告する方法

還付申告は、手続き自体は確定申告と同様です。確定申告書に医療費控除を始めとする必要事項をすべて記入し、医療費控除の明細書とともに税務署へ提出しましょう。確定申告は確定申告書への手書きで記載したあとに直接提出や郵送でもできますが、オンラインでの申告も可能です。
 
オンラインでの申告は、必要な書類を手元に用意していれば、パソコンやスマートフォンで行えます。確定申告書等作成コーナーにアクセスし、項目に沿って入力していきましょう。その後、マイナンバーカードを持っていればe-Taxを活用してオンラインで提出できます。
 
もしマイナンバーカードがなければ、確定申告書等作成コーナーで作成した確定申告書を印刷して、郵送や持ち込みで提出しましょう。
 
なお、申告期間は確定申告と関係ありません。確定申告は原則として該当年の翌年2月16日〜3月15日までに申告が必要ですが、還付申告は翌年1月1日〜5年後の12月31日までであれば申告できます。
 
そのため、還付申告の対象になると分かった時点で、翌年の1月1日以降で都合のよいタイミングで申告するとよいでしょう。手続きは確定申告と同じため、確定申告自体が必要な人の場合は、確定申告をすると同時に還付申告もできます。
 

医療費控除を適用するといくらくらい還付される?

医療費控除の金額は「医療費の1年間の実負担分合計-保険金などによる補填-10万円(該当年度の総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額等×5%)」で求められます。今回は、以下の条件で医療費控除を適用して還付申告をするといくら戻ってくるのか計算しましょう。
 

・年間の医療費実負担分は70万円
・保険金などによる補填はない
・総所得金額等は200万円を超えている
・総所得から医療費控除と基礎控除以外の必要な所得控除を差し引いた金額が230万円(年収-給与所得控除-ほかの所得控除の金額)
・基礎控除は令和7年分を使用
・住民税は所得割10%+均等割5000円(森林環境税を含む)とする

 
まず、医療費控除を適用しなかった場合、230万円から基礎控除のみを差し引いて税額を計算します。今回の場合だと所得税は基礎控除が88万円になるため、課税所得は142万円です。
 
所得税率は5%のため、税額は7万1000円になります。住民税は基礎控除が43万円のため、課税所得は187万円です。条件を基に計算すると、住民税額は19万2000円になります。
 
一方、医療費控除を今回の条件で適用する場合、医療費控除額は60万円です。所得税の課税所得は82万円となり、税率は同じため所得税額は4万1000円になります。住民税の場合、課税所得は127万円になるため、支払う税額は13万2000円です。
 
医療費控除の適用前後で比較すると、還付申告をした場合は9万円が戻ってくる可能性があります。
 

5年経過していなければ対象になる

医療費控除を適用して払いすぎた税金を精算する場合、還付申告をする必要があります。還付申告には5年間の申告期限が設けられているため、4年目に気づいた場合は期限内につき申告が可能です。
 
申告手順は確定申告と同じです。もし分からない場合は、近くの税務署に相談したり確定申告書等作成コーナーなどを参考にしたりするとよいでしょう。還付申告は払いすぎた税金を受け取るための手続きなので、あとからでも申告することをおすすめします。
 

出典

国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2030 還付申告
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2020 確定申告
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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