定額減税なのに手取りが減った? 給与明細では“減税されていないように見える”理由と年末調整での扱い

配信日: 2025.12.07
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定額減税なのに手取りが減った? 給与明細では“減税されていないように見える”理由と年末調整での扱い
2024年に始まった定額減税制度は、所得税と住民税を合わせて1人あたり4万円(所得税3万円・住民税1万円)減税するというものです。世帯人数分が適用されるため、家族構成によっては数万円単位の負担軽減が期待されました。
 
しかし実際には、「手取りが増えると思ったのに減っている」「給与明細を見ても減税されているように見えない」と戸惑う声が多く聞かれています。
 
今回は、この“違和感”の理由と、年末調整でどのように扱われるのかをわかりやすく解説します。
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理由1 控除方式のため「手取りが必ず増える」とは限らない

定額減税は、給与明細に直接プラスされる“給付”ではなく、その月に発生した税額から控除する仕組みになっています。特に所得税は、毎月の源泉徴収額が数千円〜1万円台の人が多いため、3万円分の減税が一度に控除されるケースはほとんどありません。
 
たとえば毎月の源泉所得税が5000円の人の場合、その月に控除できるのは5000円までで、残りは翌月以降に繰り越されます。したがって、給与明細には「所得税−3万円」と大きく表示されず、少しずつ控除されていくため実感がないのです。
 

理由2 社会保険料や住民税の増加で“相殺されて見える”

多くの人が「手取りが減っている」と感じるもう一つの理由は、6月以降の住民税の新年度更新や、社会保険料の改定が同じ時期に起こるためです。
 
毎年6月は、前年の所得に基づく住民税が変更され、増額となる人も少なくありません。また、4月〜7月にかけては健康保険料や厚生年金保険料の見直しが反映されることもあります。
 
そのため、定額減税で所得税が減っていても、住民税や社会保険料が増えることで、結果として手取りが前年より減って見えるという状況が起こります。
 

理由3 給与明細の表示方法が会社によって異なる

定額減税は、会社が給与計算の中で控除するものですが、表示方法は企業によってさまざまです。


・「所得税額」の欄に減額された金額のみ表示される
・「定額減税額」として別項目をつくって表記する
・控除額の詳細を備考欄に記載する

上記のように統一ルールがないため、給与明細を見ただけでは「どこが減税されているのかわからない」というケースも少なくありません。控除が適切に行われているか気になる場合は、会社の総務・人事に確認すると安心です。
 

年末調整ではどう扱われる?

引き切れなかった減税額は「年末調整で最終調整されます。所得税の3万円は、毎月の源泉徴収で控除しきれない場合、年末調整で残額が清算されます。もし年末時点でも引ききれなかった場合は、最終的に所得税が0円になり、それでも余る場合は翌年の住民税から控除される仕組みです。
 
一方、住民税の1万円は6月からの特別徴収(給与天引き)で調整されますが、こちらも控除しきれない場合は、自治体が翌年度に調整します。
 

減税なのに手取りが減るのは“仕組み上よくあること”

定額減税はメリットの大きい制度ですが、


・控除方式であること
・他の税や社会保険料の増額タイミングと重なること
・明細の表記が分かりづらいこと

といった理由により、「減税されていないように見える」状況が生まれやすくなっています。
 
実際には、毎月の源泉所得税が軽減され、年末調整で最終的に調整される仕組みです。手取りの増減が気になる場合は、数ヶ月分の明細を見比べたり、総務担当へ確認したりするとより確実です。
 

出典

国税庁 定額減税について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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