対象となる場合、年末調整の記入漏れで最大「63万円」の控除が受けられなくなる!? 新しく創設された「特定親族特別控除」とは
この控除は最大63万円と金額が大きく、対象となっているにもかかわらず年末調整の申告書に記入し忘れると、本来受けられるはずの控除が適用されない可能性があります。
この記事では、新しく創設された「特定親族特別控除」の内容と注意点を年末調整の視点から整理していきます。
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「特定親族特別控除」とは何か
「特定親族特別控除」は、その年の12月31日時点で19歳以上23歳未満であるなど一定の要件を満たした「特定親族」がいる場合に適用できる所得控除です。
国税庁によると、特定親族に該当するためには、納税者と生計を一にしていることに加え、年間の合計所得金額が123万円以下(給与収入のみの場合は188万円以下)である必要があります。要件を満たす特定親族がいる場合、特定親族の合計所得金額に応じて、控除額は3万円から最大63万円まで段階的に設定されています。
なお、この控除は従来からある「扶養控除」とは別の制度として位置づけられています。扶養控除では、控除対象扶養親族の合計所得金額が58万円(給与収入のみの場合123万円)を超えると対象外になりますが、特定親族特別控除では、所得がそれより高くても一定の範囲内であれば控除を受けられる点が特徴です。
例えば、アルバイトで収入が多い学生であっても、所得金額が要件に合致すれば対象となる場合があります。
年末調整では、この新しい特定親族特別控除専用の記載欄が申告書に設けられているため、扶養控除とは切り離して検討し、対象となる親族がいる場合には確実に記入することが求められます。
控除額の判定と年末調整で特に注意したいポイント
前述のとおり、特定親族特別控除の控除額は、特定親族の合計所得金額によって決まります。
特に、合計所得金額が「58万円超85万円以下」の場合には最大の63万円の控除が適用されるため、この所得幅に該当するかどうかの判定は非常に重要です。また、合計所得金額が増えるにつれて控除額は徐々に逓減し、123万円を超えると控除の対象外となります。
そのため、年末調整の際には、特定親族の年間合計所得金額を正確に把握する必要があります。アルバイト収入や給与収入のほか、源泉徴収されていない所得がある場合には、見落としが生じやすい点に注意が必要です。
合計所得金額の見込みを過小または過大に記入した場合、控除が適用されなかったり、後から修正や確定申告が必要になったりする可能性があります。
また、年末調整で提出する「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼給与所得者の特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書」には、新たに特定親族特別控除の項目が設けられています。
この欄を空欄にしてしまうと、制度上は控除対象であっても反映されません。特に、前年まで扶養控除のみで問題なかった家庭ほど、新しい控除欄の存在に気付きにくく、控除の適用漏れにつながりやすいと考えられます。
子どものアルバイト収入が年の途中で増えた場合など、当初の見込みと異なるケースも想定されるため、年末調整前の時点で収入状況を確認しておくことが望ましいといえます。
まとめ:年末調整での申告漏れを防ぐため、対象の有無を早めに確認
特定親族特別控除は2025年度の税制改正から新たに創設された制度であり、要件を満たす特定親族がいる場合には最大63万円の所得控除が適用されます。
特定親族の所得状況に応じて控除額が変動する仕組みであるため、特定親族に該当し得る子どもがいる家庭では、年末調整の段階で対象となるかどうかを丁寧に確認することが大切です。
申告書の記入漏れや所得金額の誤りがあると、本来受けられる控除が適用されない可能性があるため、年末調整前に特定親族の合計所得金額を把握し、該当する申告欄に確実に記入しておくことが重要です。不安がある場合は、会社の担当者や税務署などに確認し、適用漏れを防ぐ対応を取ると安心でしょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問)No.1177 特定親族特別控除
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
