パートをしながらハンドメイドアクセサリーの販売で収入を得ています。パート先で年末調整をしてもらうのですが、確定申告も必要でしょうか?

配信日: 2025.12.12
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パートをしながらハンドメイドアクセサリーの販売で収入を得ています。パート先で年末調整をしてもらうのですが、確定申告も必要でしょうか?
パート勤務を続けながら、ハンドメイドアクセサリーの販売で収入を得る人が増えています。ネットショップやフリマアプリを通じて気軽に販売できる一方で、「パート先で年末調整をしてもらっているから確定申告は不要」と考えている人もいるでしょう。
 
しかし、ハンドメイド販売のように給与以外の収入がある場合には、確定申告が必要になることもあります。本記事では、確定申告の要否を判断するポイントを生活者の視点から解説します。
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年末調整ではカバーしきれない部分がある

年末調整は、勤務先が従業員の給与所得に対して、1年間に源泉徴収した所得税を精算する手続きです。会社員やパートタイマーなどで、勤務先1社のみから給与を受け取っている人は、年末調整によってその年の所得税が確定します。
 
ただし、年末調整で対象となるのは、勤務先が支払った給与所得に限られます。給与以外に、ハンドメイド販売などで得た収入(雑所得や事業所得など)がある場合、その所得は年末調整の対象外となります。したがって、給与以外で一定の所得がある場合には、自分で確定申告を行う必要が生じる可能性があります。
 

ハンドメイド販売は副業収入? 所得の考え方

ハンドメイドアクセサリーの販売収入は、税務上、一般的には「雑所得」に分類されますが、継続的かつ営利的に行っている場合には「事業所得」として扱われることもあります。ここで重要なのは、「収入」と「所得」が税法上では異なる概念であるという点です。
 
「収入」とは売り上げの合計額のことを指し、そこから材料費・梱包資材費・販売手数料・発送費などの経費を差し引いた残りが「所得金額」です。税金は、この「所得金額」に対して課されます。
 
また、給与を1ヶ所から受けている給与所得者が副収入を得ている場合、その給与所得および退職所得以外の所得金額の合計が年間20万円を超えると確定申告が必要になります。これが、いわゆる「20万円ルール」です。
 
ただし、この20万円は「所得金額(収入−経費)」の金額を指し、売り上げが多くても経費が多ければ申告が不要となる場合もあります。
 

あなたのケースで考える確定申告の要否

例えば、パートの給与収入があり、ハンドメイド販売でも年間30万円の売り上げがあったとします。材料費や販売手数料などの経費が15万円かかった場合、所得金額は15万円です。この場合、給与が1ヶ所のみから受け取りで年末調整が済んでいれば、所得金額が20万円以下のため所得税の確定申告は不要とされます。
 
ただし、注意すべきは住民税です。所得税の申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になるケースがあります。パート先で年末調整が行われていても、副収入分の所得金額については自治体への申告が必要となる可能性があるため、念のため確認しておくと安心です。
 
また、パートを掛け持ちして複数の勤務先から給与を受け取っている場合、年末調整は主たる勤務先の1ヶ所でしか行われません。そのため、副業先からの給与が20万円を超える場合には、自分で確定申告をして全体の所得金額を合算する必要があります。
 

お金の面から見る確定申告のメリット

確定申告はについて、「税金を払うための手続き」というイメージを持つ人もいますが、実際には「払い過ぎた税金を取り戻す手続き」でもあります。
 
ハンドメイド販売にかかった費用を正しく経費として計上することで、所得金額を抑え、結果的に税金の負担を軽くできます。また、医療費控除や寄附金控除、住宅ローン控除などの各種控除と併せて申告すれば、払い過ぎた税金の還付を受けられる場合もあります。
 
さらに、収入が増えると所得税や住民税だけでなく、所得金額に応じて決まる国民健康保険料や国民年金保険料などの社会保険料にも影響します。
 
したがって、「売り上げが増えた=手元に残るお金が増えた」と単純に考えるのではなく、経費や税金、保険料まで含めた実際の手取りを把握することが賢いお金の判断につながります。
 

ハンドメイド販売をするときは確定申告を意識しよう

パートをしながらハンドメイド販売を行う場合、まずは年間の収入と経費を整理し、売り上げから経費を差し引いた所得金額が20万円を超えるかを確認することが第一歩です。
 
複数の勤務先がある場合や、住宅ローン控除(初年度)・医療費控除・寄附金控除などの適用を受ける場合は、所得金額が20万円以下でも確定申告が必要になることがあります。
 
副業収入を正しく申告し、経費をきちんと整理することは、自分の収支を把握し、無駄な税負担を防ぐことにもつながります。確定申告を面倒な作業ととらえず、「お金の流れを見直すチャンス」として前向きに取り組むことで、安心して収入を増やしていけるでしょう。
 

出典

国税庁 No.2668 年末調整の対象となる給与
国税庁 No.2665 年末調整の対象となる人
国税庁 No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人
国税庁 No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合
国税庁 No.2011 課税される所得と非課税所得
国税庁 確定申告が必要な方
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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