引っ越しは「12月31日まで」だと、新住所で“住民税”が「1万円安くなる」と聞きました。時期によって“納税額が変わる”って本当ですか? 市町村による差を確認

配信日: 2025.12.29
この記事は約 3 分で読めます。
引っ越しは「12月31日まで」だと、新住所で“住民税”が「1万円安くなる」と聞きました。時期によって“納税額が変わる”って本当ですか? 市町村による差を確認
住む市町村によって税金の高低がある、という話を聞いたことがある人もいるかもしれません。税金が安い自治体から高い自治体へ引っ越す場合、いつの時点で納税地が変わるのか気になるのではないでしょうか。
 
本記事では、納税のタイミングと住民税額が上がる場合について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

引っ越し時期による住民税の差

年内に引っ越しを終えるほうが、年明けに引っ越すより個人住民税が安くなるというのは本当でしょうか? そのように考えられる理由は「課税されるタイミング」にあります。
 
納税の義務が発生するのは、「その年の1月1日時点で住んでいる市町村」です。つまり年内に引っ越しを終えると、引っ越し後も「旧住所」の自治体に個人住民税を納めることになります。
 
「旧住所」の自治体のほうが税金は安い場合、確かに年内に引っ越しを終えるほうがお得になります。
 
しかし、旧住所に納めるほうが新住所に納めるより個人住民税が1万円も高いというのは、本当に起こることでしょうか? 次に金額差について解説します。
 

市町村による住民税の差

個人住民税の税率は総務省によって定められており、自治体ごとに変わるわけではありません。しかし、「税金が高い自治体がある」ことは確かです。なぜなら以下のような税金を住民税に上乗せしている自治体があるからです。
 

【住民税に上乗せされる税金の例】

・環境保全を目的とした市町村税
・認知症対策の市町村税

 
中でも、日本の市町村では一番人口の多い神奈川県横浜市では、県税と市税が課税されており、「税金が高い自治体」として知られています。
 

【神奈川県横浜市】

・神奈川県「水源環境保全税」
 所得割の税率に0.025%、均等割に300円上乗せ
 
・横浜市「横浜みどり税」
 900円を均等割の税率に上乗せ

 
逆に、税金を減免している自治体もあります。名古屋市では地域経済の活性化などを目的として、市民税の減免と森林環境税の免除が可能です。ただし住民全員ではなく各種条件があり、申請した人に対して適用されます。
 

【名古屋市】

・住民税 均等割から200円、所得割から0.3%減免
・森林環境税(国税)1000円を全額減免

 
また、災害を受けた人、生活が困難な人、学生などが、住民税の減免を受けられる自治体もあります。
 

収入による住民税の差

個人住民税は、所得が高くなると税額が上がる仕組みになっています。そのため「住民税の額が上がった」という場合、所得の増加が理由になることが多いです。ここで、住民税とはどのようにして額が決まるのかを解説します。
 
(1)課税所得金額を求める
課税所得金額=所得金額-所得控除額
 
(2)所得割額を求める
所得割額=課税所得金額×税率10%-税額控除額
 
税額控除額は、住宅ローンがある場合や、寄附をした場合に、定められた計算方法によって求める金額です。
 
(3)税額を求める
税額=所得割額+均等割額4000円
 
税率などが市区町村によって変わるわけではありませんから、「引っ越しをしたら住民税が高くなった」というのは誤認で、実際には「前年の所得が多かった」ことが正しいわけです。
 

まとめ

「12月31日までに引っ越しをすれば、住民税が1万円安くなるか」について解説をしました。住民税は、1年間の所得に基づいて、翌年の1月1日に居住する人に課される税です。所得が増えれば翌年の住民税額は上がり、所得が減れば翌年の税額は下がります。
 
「住居地を変えるだけ」でわずかに税金は変わることがありますが、1万円も差が出ることはありません。安心して、お好きなタイミングで引っ越しをしてください。
 

出典

総務省 個人住民税
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問