今年は「年収550万円」の予想が、“ボーナス”が少なく「年収500万円」に…ふるさと納税を「上限6万9000円」までしてしまったけど、いくら“損する”ことになりますか?

配信日: 2025.12.28
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今年は「年収550万円」の予想が、“ボーナス”が少なく「年収500万円」に…ふるさと納税を「上限6万9000円」までしてしまったけど、いくら“損する”ことになりますか?
ふるさと納税は、応援したい自治体に寄附すると、寄附額のうち2000円を越える部分について所得税と住民税から原則として全額が控除されることに加え、「実質的に自己負担2000円で食べ物や日用品など返礼品がもらえるお得な制度」です。
 
年収や家族の扶養状況などによって自己負担が2000円で済む上限額が変わってくるのは、多くの人が知っているのではないでしょうか。前年の年収などから上限額をある程度予測して、計画的に寄附をしている人もいるでしょう。
 
ただし、その上限額はあくまでも年収の見込みを元にした予測に過ぎません。ボーナスや残業時間短縮による手当の減額で、予想より1年間の給与年収が少なくなった─その結果、ふるさと納税の上限額を超えてしまうというケースも考えられます。
 
本記事では、年収550万円だと思い上限ギリギリまで寄附をした人が、実際は500万円になってしまった場合を例に、どれほど損をしてしまうのか解説します。なお、文中の「上限額」とは、ふるさと納税をしたときに自己負担が2000円で済む寄附金額の上限額を指すものとします。
浜崎遥翔

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

年収50万円減でどれほど上限額に影響する?

ふるさと納税の上限額は、その年の「課税所得(税金の計算の基となる金額)」の多い少ないで決まります。課税所得が多いほど、つまり所得が多く、各種控除が少ない人ほど、ふるさと納税の上限額は高くなるのです。
 
課税所得は、年収のほか、扶養親族の数、生命保険やiDeCo支払いによる所得控除の多少によって決まるので一概には言えませんが、例えば、年収550万円で扶養家族がいない人の上限額の目安はおよそ6万9800円となります(社会保険料率を15%とした場合の一例)。
 
前年の年収が550万円なのであれば、これを目安にして早めに6万9800円の寄附をしてしまおうと考える人もいるでしょう。しかし、寄附を済ませたあとにボーナスカットなどで年収が減ってしまうと、ふるさと納税の上限額も下がってしまいます。
 
年収が500万円(そのほかの条件は同様)となったときの上限額は、およそ6万1600円です。6万9000円の寄附をしていたとしたら、上限額を約7400円オーバーしたことになります。
 

オーバーしたときの損はどれくらい?

ふるさと納税の上限額をオーバーしたとしても、超えた金額がまるまる損失となるわけではありません。というのも、ふるさと納税の控除は次の3つから構成されます。
 

・所得税からの控除:(ふるさと納税額-2000円)×所得税率(所得によって変動)
・住民税からの控除(基本分):(ふるさと納税額-2000円)×住民税率(一律10%)
・住民税からの控除(特例分):(ふるさと納税額-2000円)×(100%-10%-所得税の税率)

 
このうち「住民税からの控除(特例分)」については、限度額が定められています。逆に言えば、そのほかの2つの控除には限度額がないため、超えてしまった7400円にも適用されるのです。
 
年収500万円の場合、所得税率は10.21%となることが一般的なので、超えてしまった7400円に対しても所得税から約755円と住民税(基本分)から約740円、合計約1495円分の控除は受けられます。
 
つまり、今回のケースで実際に自己負担となるのは、差額の約5905円です。
 

iDeCoなどの「節税」も上限額を下げる要因になる

ふるさと納税の寄附をし過ぎたとき、上限額を超えた分全額が控除とならないまでも、大部分が損失となってしまいます。したがって、年収が確定するまではある程度寄附を抑え、確定した後の寄附で調整するのが賢明です。
 
なお、上限額が減るのは、年収が下がったときだけではありません。iDeCo(個人型確定拠出年金)による控除や医療費控除などで「課税所得」が減った場合も、同様に上限額は下がります。ふるさと納税の上限額は総務省が年収と家族構成を基にした目安を表で示していますが、iDeCoや生命保険の控除を反映していない場合がほとんどです。
 
こういった控除が大きい人は、少し面倒ではありますが、各ふるさと納税ポータルサイトが提供する、詳細シミュレーションツールなどを使いましょう。それにより、ふるさと納税の限度額を超えて損してしまったという事態を防げるのです。
 

まとめ

年収が下がると、ふるさと納税の上限額が下がってしまいます。年末はどうしても忙しくなることが多く、早めにふるさと納税を済ませておきたいと考える人も多いかもしれませんが、前年の年収などを元にした予想ギリギリを攻めると、年収減により上限を超えてしまうことがあるため注意が必要です。
 
上限より少し少なめの寄附をしつつ、「年収が決定した後で余裕がある場合にギリギリまで寄附をする」くらいでちょうどいいかもしれません。
 

出典

総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ 税金の控除について
国税庁 No.2260 所得税の税率
 
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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