年収の壁がさらに「178万円」に引き上げられると聞きました。パートで月15万円働くと、逆に手取りが減ることはありますか?

配信日: 2026.01.17
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年収の壁がさらに「178万円」に引き上げられると聞きました。パートで月15万円働くと、逆に手取りが減ることはありますか?
近年、パートやアルバイトとして働く人の間で話題になっているのが「年収の壁」でしょう。令和7年度税制改正で、所得税の課税基準となる「年収の壁」は160万円まで引き上げられ、令和7年12月、政府はさらにこれを178万円まで引き上げることを決定しました。
 
この話を聞いて「これなら安心して働ける」と感じた人もいるかもしれません。一方で、「月15万円ほど働くと、逆に手取りが減るのでは」と不安に思う人もいるでしょう。
 
本記事では、「178万円の壁」の意味を整理したうえで、月15万円で働いた場合に手取りがどうなるのかを、住民税や社会保険料の制度も含めて解説します。
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「178万円の壁」とは何を指すのか

いわゆる「年収の壁」とは、主に税金や社会保険料などがかかり始める年収ラインを指します。
 
所得税における「年収の壁」としてこれまで広く知られてきたのは「103万円の壁」でしたが、控除額の見直しにより、令和7年分以後の所得税については「160万円の壁」へと引き上げられました。さらに今後、これを178万円まで引き上げることが決まっています。
 
この引き上げは、基礎控除や給与所得控除の拡充によるもので、年収が178万円以下であれば、原則として所得税がかからない水準になると整理できます。つまり、所得税だけを見れば、「以前より多く働いても税金がかかりにくくなる」方向の改正です。
 

月15万円(年180万円)で働くと所得税はどうなるか

パートで月15万円働くと、年収はおよそ180万円になります。今後「178万円の壁」が適用された場合、この水準は非課税ラインにかなり近く、所得税がほとんどかからない、あるいはかからない可能性が高いと考えられます。
 
ただし、ここで注意したいのは、これは所得税に限った話だという点です。実際の手取り額は、所得税以外の負担も含めて考える必要があります。
 

手取りに影響する「住民税」と「社会保険料」

所得税に関する「年収の壁」が引き上げられ、所得税の負担が軽くなっても、手取りが必ず増えるとは限りません。
 
その理由のひとつが住民税です。住民税は、所得税とは控除の仕組みが異なり、非課税となる年収ラインも所得税より低めに設定されています。住んでいる自治体によって異なりますが、一般的には、年収が110万円を超えると住民税が課税されるケースが多く、年収180万円では住民税がかかる可能性があります。
 
もうひとつ重要なのが社会保険料における「106万円の壁」「130万円の壁」です。現状パートであっても、従業員50人超の企業で週20時間以上働くなど一定の条件を満たすと、健康保険や厚生年金保険への加入が必要になります。
 
社会保険に加入すると、毎月の給与から保険料が天引きされるため、所得税がかからなくても、手取りが減ったように感じる場面が生じます。
 
なお、厚生労働省によれば、令和7年の年金制度改正法により、「年収106万円の壁」における賃金要件については、最低賃金の状況をふまえて、令和7年6月から3年以内に撤廃される見通しということです。
 

月15万円で「逆に手取りが減る」ことはある?

月15万円で働いた場合、仮に「178万円の壁」が適用されて所得税はほとんど発生しなくても、


・住民税が新たに課税される
・社会保険料の負担が発生・増加する

といった要因により、可処分所得が思ったほど増えない、あるいは一時的に減る可能性は考えられます。
 
これは「178万円の壁」が意味を持たないということではなく、「年収の壁」が複数存在することによるものです。所得税における「年収の壁」が引き上げられても、住民税や社会保険料の仕組みは別に存在しており、それぞれが手取りに影響するのです。
 

まとめ

所得税における「年収の壁」が178万円まで引き上げられることで、所得税の負担は軽くなるでしょう。ただし、月15万円(年180万円程度)で働く場合、住民税や社会保険料の負担によって、手取りが期待ほど増えない、あるいは減る可能性も否定できません。
 
働き方を考える際は、所得税だけでなく、住民税や社会保険料を含めた全体の制度をふまえて判断することが重要です。不安がある場合は、勤務先や自治体、年金事務所などの公的窓口で具体的な条件を確認すると安心でしょう。
 

出典

厚生労働省 「年収の壁」への対応
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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