「給付付き税額控除」は本当に実現するんですか?現行の控除制度と比較してどちらがお得になるか解説!
ライター・コラムニスト。2級ファイナンシャル・プランニング技能士、日商簿記2級。
給付付き税額控除の仕組みとは?
給付付き税額控除とは簡単に表現すると、所得のない人や少ない人には給付金を配り、所得が普通から多めの方は所得税を減額する制度です。制度の対象の方は、以下のいずれかの恩恵を受けられます。
・全額を給付金として受け取る
・一部を給付金として受け取り、一部は税額控除される
・全額が税額控除される
たとえば控除額が1人あたり10万円の場合、10万円の給付金を受け取る人、10万円が所得税から減額される人、3万円が給付金・7万円が税額控除になるなどの人がいます。
首相官邸では、中間層・低所得者の支援のため、給付付き税額控除の制度設計に着手するとしています。具体的な制度の詳細や控除額は、これから検討されることとなっています。
現行の”所得控除”とどちらがお得?
所得控除とは、所得金額から一定額を差し引くことで、課税対象となる所得を減らせる制度です。間接的に減税となる制度であり、高所得の人ほど減税効果が大きくなります。
給付付き税額控除では、税額が直接差し引かれるため、所得控除よりも減税効果がわかりやすいです。また、所得がそれほど高くない人でも減税効果が大きくなります。
給付付き税額控除のメリット
この制度の最大のメリットは、公平性があることです。非課税世帯に給付金を配る制度の場合、課税世帯は恩恵を受けられないのが大きな問題でした。
給付付き税額控除であれば、課税世帯も所得税が減税され、手取りが増えることになります。非課税世帯も給付金を受け取れるため、家計支援につながります。
給付付き税額控除のデメリット
一方、課税世帯も非課税世帯も対象になることから、システムが大がかりになります。金融所得を含めた所得をどのように把握するか、マイナンバーをどのように活用するかなど、仕組みを作り上げる必要があり、今すぐに開始できる制度ではありません。
制度が実現して機能するまで、2~3年程度が必要とされています。
給付金と税額控除のどちらが受けられる?
やや多めですが、給付付き税額控除が、仮に1人あたり20万円で実現するとしましょう。所得額の違いによって、どのような恩恵を受けられるのでしょうか?
20万円全額を給付金で受け取る人
全額を給付金で受け取る方は、所得税の納税額が0円の方、つまり非課税世帯の方です。課税所得から、基礎控除・配偶者控除・扶養控除などが差し引かれ、0円以下になった場合は所得税がかかりません。
よって、所得税が0円となるのは収入のない方だけではなく、少し収入を得ている方も含まれます。
20万円全額が税額控除となる人
20万円がすべて税額控除になるのは、中間層や所得の多い方です。たとえば給与が800万円、控除の合計額が250万円の場合、課税所得は550万円となります。
この場合の所得税額は550万×20% -42万7500 = 67万2500円です。20万円が税額控除され、納める所得税は47万2500円に減額されることになります。
一部を給付金、一部が税額控除となる人
こちらのパターンに該当するのは、比較的低所得者の方が多いです。たとえば給与から控除を差し引いた課税所得が200万円の方の場合は、所得税が10万2500円となります。
この場合、10万2500円が税額控除されて納める所得税は0円となり、残り9万7500円が給付されます。
給付付き税額控除の今後に注目しよう
給付付き税額控除は、課税世帯・非課税世帯ともに恩恵を受けられる、公平性のある制度です。物価高に困窮する世帯は多く、実現すれば家計支援につながります。
ただし議論は始まったばかりで、制度が実現するまでは2~3年かかるとされています。制度の精密さも大切ですが、物価高に迅速に対応するため、可能な限り一刻も早い実現が期待されます。
出典
首相官邸 総合経済対策 01生活の安全保障・物価高への対応
国税庁 No.2260 所得税の税率
執筆者 : 安藤真一郎
ライター・コラムニスト。2級ファイナンシャル・プランニング技能士、日商簿記2級。


