「年間所得500万円・通勤手当4万円」の会社員。通勤手当の“非課税枠”が改定されたそうですが、年末調整にどう影響があったのでしょうか? 自動車通勤「片道50km」の場合で試算
本記事では、特に影響の大きい「長距離通勤者」のケースでの試算と、所得税の還付だけでなく、意外と知られていない「住民税」への節税効果まで含めて解説します。
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通勤手当の非課税枠とは?
会社から支給される「通勤手当」には、税金(所得税)がかからない「非課税限度額」が決められています。この限度額を超えた分だけが、給与として課税対象になります。
昨今の燃料価格高騰を受けて、国は通勤手当非課税枠の引き上げを決定しました。今回の改正では、自動車・自転車での通勤距離に応じた非課税限度額が、片道10キロメートル以上の場合は引き上げられました(10キロメートル未満や、電車・バスなど公共交通機関を利用しての通勤手当に変更はありません)。
・片道35キロメートル以上45キロメートル未満:2万5900円(改定前2万4400円)
・片道45キロメートル以上55キロメートル未満:3万2300円(改定前2万8000円)
・片道55キロメートル以上:3万8700円(改定前3万1600円)
ポイントは、単に非課税枠が増えるだけでなく、「2025年4月1日以後に支払われるべき給与」から適用されるという点です。つまり、すでに支給された4月から11月の給与に関しても、新しいルールが適用されるのです。
課税額がいくら変わるか試算
通勤手当からは4月から11月の間、「旧・非課税枠」に基づいて計算された所得税が天引きされていました。しかし「新・非課税枠」に変わったことで、「本来払わなくてよかった税金」を払っていたことになります。この「払いすぎた税金」を精算するのが、今年の年末調整です。
<試算例>
年間所得500万円の会社員Aさんの場合
通勤距離: 片道50キロメートル
会社からの通勤手当: 月額4万円支給
所得税率:20%(課税所得330万円超から695万円以下)
<4月から12月(9ヶ月分)の給与計算の修正>
改正前での 非課税枠は2万8000円で、通勤手当4万円-非課税枠2万8000円=課税所得1万2000円
毎月1万2000円が課税所得として計算されていました。
改正後の非課税枠は3万2300円に拡大されたので、通勤手当4万円-非課税3万2300円=課税所得7700円
課税所得の減少額(9ヶ月分)(1万2000円-7700円)×9ヶ月=3万8700円
Aさんの場合、9ヶ月間での所得3万8700円分が非課税になります。これに所得税率20%を掛けると、約7740円が所得税額から減る試算結果になりました。
所得税だけでなく、住民税にも影響があるの?
今回の通勤手当非課税枠改定による効果は、年末調整の「所得税還付」だけで終わらないという点もポイントです。
会社員の住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年6月から天引きされます。 今回の改正で2025年分の課税所得が下がるということは、2026年6月から支払う「住民税」も安くなることを意味します。
先ほどのAさんの例で言えば、住民税の所得割(税率10%)は年間約3870円安くなります(住民税は所得割、平等割などで構成され、平等割は自治体によって税率などが異なります)。トータルで見ると、家計への支援効果は意外と大きいのです。
今回の改定に伴い、従業員側で特別な手続きが必要なケースはほとんどありません。基本的には、会社の経理・給与担当部門が再計算を行い、12月の給与明細または源泉徴収票にて、年末調整の還付金として調整されます。
摘要欄に「通勤手当非課税枠調整分」などの記載があるか、あるいは還付金額が例年より変化しているかを確認してください。もし2025年の途中で退職して現在再就職していない場合は、自分で確定申告を行って、この差額を取り戻す必要があります。国税庁の確定申告ページ等を参照し、忘れずに申告しましょう。
まとめ
今回の自家用車・自転車などへの通勤手当非課税枠改定は、会社員にとって手続き不要で恩恵を受けられる制度です。年末に配られる「源泉徴収票」や「給与明細」を受け取ったら、「通勤手当」や「通勤手当非課税枠調整分」の欄をチェックしてみてください。
物価高が続く中で、こうした税制改正は家計にとって確実なプラスです。「勤務先が計算してくれるから」と放置せず、給与明細に目を通すことが望ましいでしょう。
出典
国税庁 通勤手当の非課税限度額の改正について
国税庁 No.2260 所得税の税率
東京都主税局 個人住民税
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー


