65歳の母の「医療費60万円」を“代わりに”支払い! 医療費控除は「年収200万円」の母より、「年収800万円」の自分がするほうが得ですか? 節税効果をシミュレーション

配信日: 2026.02.10
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65歳の母の「医療費60万円」を“代わりに”支払い! 医療費控除は「年収200万円」の母より、「年収800万円」の自分がするほうが得ですか? 節税効果をシミュレーション
確定申告の時期が近づいてきました。なかには、年金で一人暮らししている親の医療費や生活費を負担している家庭もあるでしょう。今回は、どのような場合に親のために子が支払った医療費を子の医療費控除の対象にできるのかを解説します。
 
その後、年金200万円の母親と、年収800万円の子のどちらが医療費控除の申告をすると得になるのか、シミュレーションを行います。
金成時葉

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

子の医療費控除の対象にできる「生計を一にする」とは

親と子が生計を一にしている場合は、医療費を支払った子の医療費控除の対象にできます。必ずしも同居している必要はなく、次の場合は「生計を一(いつ)にする」とみなされます。
 

1. 仕事や療養などの事情から該当する親族と同居していないとき

・仕事などの余暇には、該当する親族の元で常に寝食をともにしている場合
・親族間において、常に生活費や療養費などの仕送りが行われている場合
 

2. 該当親族と同居しているとき

・明らかに互いに独立した生活を営んでいると認められない場合
 
今回の場合は同居していませんが、子から親へ医療費の支払いが行われているため、生計を一にしているとみなされ、子の医療費控除の対象にできます。
 

年金200万円の母親か年収800万円の子のどちらで申告したほうがお得?

それでは、年金200万円の母か、年収800万円の子のどちらで医療費控除を申告した方がお得なのか、比較をしてみましょう。
 

医療費控除とは

医療費控除とは、1月1日から12月31日までの間に自分や生計を一にする親族のために医療費を支払った場合、一定額を超えるときに医療費の額を基に計算される金額の控除を受けられる制度です。医療費控除の金額を求める計算式は、次の通りです。
 
医療費控除の金額=(控除を受けようとする年の間に支払った医療費の総額-保険金などで補てんされる金額)-10万円
 
なお、所得の合計額が200万円未満の場合は、10万円の部分が総所得額の5%となります。
 

年金暮らしの母親が医療費控除の申告をした場合

年金200万円の母親が医療費控除の申告をした場合、どうなるのかを見てみましょう。まずは年金の収入から公的年金等控除を差し引き、所得を求めます。
 
200万円-110万円=90万円
 
所得が132万円以下のため、基礎控除額は95万円となり、この時点で課税所得が0円となります。そのため、所得税はかかりません。医療費控除は所得控除であるため、納める税金がないことから、申告しても原則還付はありません。
 
ただし、令和7年度の税制改正によって所得税の基礎控除の見直しが行われ、源泉徴収の対象とならない金額が引き上げられました。12月の支払い時点で清算が行われていますが、清算後にも源泉徴収税額がある場合は、確定申告をすることで、源泉徴収税額分の還付を受けられる可能性があります。
 

年収800万円の子が医療費控除を申告した場合

それでは、年収800万円の子が医療費控除を申告した場合を見てみましょう。家族構成は次のように仮定します。なお、社会保険料控除などは除外して計算します。
 

<家族構成>

・自分:年収800万円
・妻:専業主婦
・子ども:13歳

 
まずは給与収入から給与所得控除を引き、給与所得を求めます。
 
800万円×10%+110万円=190万円
800万円-190万円=610万円

 
次に、基礎控除、配偶者控除、医療費控除を引き、課税所得を求めます。
 
610万円-(63万円+38万円+50万円)=459万円
 
課税所得を求められたため、所得税を計算してみましょう。
 
459万円×20%-42万7500円=49万500円
 
今回の場合、所得税は49万500円となりました。試しに医療費控除を申告しなかった場合を計算してみましょう。
 
610万円-(63万円+38万円)=509万円
509万円×20%-42万7500円=59万500円

 
医療費控除を申告しなかった場合の所得税は59万500円となり、母親の分の医療費控除を申告することで、所得税の負担を10万円抑えられることが分かりました。
 

医療費控除は所得が高い人が申告すると得になる

令和7年度の税制改正により、基礎控除が引き上げられたことから、公的年金においても非課税となる年金額が上がりました。収入が年金のみの場合、医療費控除を申告しても、そもそも課税対象となる所得がないことから、還付を受けられないケースもあるでしょう。
 
しかし、親と同居をしていない場合でも、生計を一にしているとみなされれば、親の医療費として子が支払った分も、子の医療費控除の対象として申告できます。所得が高くて納めなければならない税金が多いほど、医療費控除を申告することで、税金の負担を抑えられます。
 
シミュレーションサイトなどを利用し、どちらのパターンがお得になるのかを比較してみるといいでしょう。
 

出典

国税庁 同居していない母親の医療費を子供が負担した場合
国税庁 No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)
日本年金機構 令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について
 
執筆者 : 金成時葉
2級ファイナンシャル・プランニング技能士

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