年収200万円のシングルマザーです。来年社会人になる娘が「月に3万円なら仕送りできる」と言うのですが、税金は取られますか?
CFP(R)認定者
宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー
蟹山FPオフィス代表
大学卒業後、銀行勤務を経て専業主婦となり、二世帯住宅で夫の両親と同居、2人の子どもを育てる。1997年夫と死別、シングルマザーとなる。以後、自身の資産管理、義父の認知症介護、相続など、自分でプランを立てながら対応。2004年CFP取得。2011年慶應義塾大学経済学部(通信過程)卒業。2015年、日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」相談員。2016年日本FP協会、広報センタースタッフ。子どもの受験は幼稚園から大学まですべて経験。3回の介護と3回の相続を経験。その他、宅地建物取引士、住宅ローンアドバイザー等の資格も保有。
仕送りと税金
Aさんは娘から仕送りしたいという話を聞き、娘の気持ちがうれしくて友人に話したところ、「それって税金がかかるのでは?」と言われて心配になったそうです。税金といっても、所得税や住民税、相続税などいろいろありますが、友人が指摘されたのは贈与税のことではないでしょうか。
誰かからお金をもらったときにかかるのが贈与税です。とはいえ、お金をもらったら必ず贈与税がかかるというわけではありません。贈与税には年110万円の基礎控除がありますから、その年の1月から12月にもらったお金が110万円以下であれば、贈与税はかからないのです。つまり、月3万円、年額にして36万円の贈与ならば、贈与税はかかりません。
そもそも、1年で110万円以上の贈与であっても、贈与税の対象とならないケースもあります。親子や夫婦で、生活費に必要なお金や教育費などを受け取ってもそれは扶養の範囲と考えられるので、基本的に贈与税の対象とはなりません。
ただ、生活費や教育費をもらうときの注意点があります。常識的に必要と考えられる額をその都度もらう場合は贈与税がかかりませんが、まとめてもらったり多めにもらって貯蓄したりすると、贈与税の対象となることがあるのです。
Aさんは年収200万円ということですから、生活は決して楽ではありません。それに、娘さんが就職してもらうお給料はお母さんより多いかもしれません。
娘さんが月3万円をお母さんに仕送りしても、それは扶養の範囲であり、金額的にも贈与税はかからないと考えられます。もちろん、仕送りが所得税や住民税の対象となることもありません。ですから、Aさんは税金の心配をする必要はないのです。
仕送りを約束する前に考えたいこと
仕送りを娘さんが申し出てくれたのは、これまでお母さんが頑張ってくれているのを見ていて、少しでも助けたいと思ってくれたということでしょう。親思いの娘に育ってくれたのですから、母親としてとてもうれしいことですね。ただ、月3万円の仕送りを約束するのはもう少し先でも良いのではないでしょうか。
娘さんはまだ就職していないので、お給料の額は予想できても手取りがいくらになるのかは分かっていないと思われます。入社して始めてもらうお給料からも所得税や雇用保険料、2ヶ月目からは健康保険料や厚生年金保険料が引かれます。
また、2年目の6月からは住民税も引かれます。手取り額は期待したほど多くないかもしれません。一般に税・社会保険料を引くと、手取りは額面の約8割といわれます。
例えば、毎月の手取り額が25万円だったとしましょう。仮に2割引かれると、手取り額は20万円です。Aさんの娘さんは大学在学中に給付奨学金だけでなく貸与奨学金も利用してきたということですから、毎月1万円の返済があるとすれば、手元に残るのは月19万円となります。
就職後も自宅で生活するのであれば、3万円くらいは生活費として家計に入れてほしいところですが、実家を出てアパートを借りて生活することになれば、月3万円を仕送りすると残りは16万円。アパートを借りて一人暮らしをするのは無理ではないかもしれませんが、貯蓄までは難しいのではないでしょうか。
ですから、毎月仕送りするという娘さんの気持ちはありがたく受け取って、金額は就職後の状況を見て相談することをお勧めします。
まとめ
Aさんが娘さんから月3万円の仕送りを受けても税金はかかりません。しかし、仕送りすることで娘さんの生活が苦しくなるのであれば、母親として本望ではないでしょうし、娘さんには将来のために貯蓄もしていってほしいところです。
仕送りの申し出はありがたく受け取り、金額などは実際に娘さんがお給料を受け取って、手取り額がいくらになるか分かってから、無理のない範囲で決めるのではいかがでしょうか。
それでも娘さんがどうしてもお母さんのために3万円ということであれば、ありがたく受け取っておいて、そっと貯めておき、いずれ結婚祝いなどで娘さんに渡す資金にするのもよいでしょう。
執筆者 : 蟹山淳子
CFP(R)認定者
