金価格「2万6000円」の今、親からもらった「金300g」を売りたい! でも取得費不明だと“95%が売却益”になるんですか!? 税金でかなり持っていかれるでしょうか? 金額を試算

配信日: 2026.02.20
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金価格「2万6000円」の今、親からもらった「金300g」を売りたい! でも取得費不明だと“95%が売却益”になるんですか!? 税金でかなり持っていかれるでしょうか? 金額を試算
金価格が高騰を続ける今、親から譲り受けた金を売りたいものの、「取得費が不明だと税金で大損する」といううわさに不安を感じている人はいませんか?実は、購入額が分からなくても、長期保有の控除などを活用すれば手元には十分な現金が残ります。
 
本記事では、取得費不明時の税金の仕組みと、売却後に実際にいくら残るのかをシミュレーションしました。税金を正しく理解し、歴史的な高値圏である今、賢く資産を売却しましょう。
高柳政道

FP1級、CFP、DCプランナー2級

過去4年間の金価格の推移とは

ニュースでも連日報じられている通り、金価格は歴史的な高騰を続けており、市場の注目を集めています。特に2023年から2025年にかけては、円安の進行や不安定な世界情勢を背景に、安全資産としての需要が急拡大しました。
 
田中貴金属工業が公表しているデータをもとに、直近4年間の金価格(参考小売価格)の平均推移を見てみましょう。
 
図表1


筆者作成
 
図表からも分かるとおり、ここ数年で価格は一気に跳ね上がっています。2024年には一時、1グラムあたり1万5000円を超える過去最高値を記録する場面もありました。
 
2025年には1グラムあたり2万円も突破し、2026年に入ってからは3万円近くまで上昇し、その後も2月は2万6000~2万8000円で推移しており、歴史的な急騰は続いています。
 
かつては「1グラム数千円」で取引されていた金ですが、現在では当時の数倍近い価値が付くケースも珍しくありません。購入した時期によっては、資産価値が3倍、4倍に膨れ上がっている可能性も十分に考えられます。
 

取得費が不明だと95%が売却益になる?

親族から相続した金や、数十年前に購入した金製品においては、「いくらで購入したか記憶にない」という事態が頻繁に起こります。購入時の伝票や証明書を紛失している場合、税金の計算において正確な取得費を証明できません。
 
証拠書類等がないケースでは、税法の規定により「売却価格の5%」を取得費とみなす「概算取得費」という制度が適用されます。言い換えると、売却額の残り95%は全て「利益(譲渡所得)」として扱われるわけです。
 
例えば、金が100万円で売れたと仮定すると、95万円が利益とみなされます。「税金でほとんど持っていかれるのでは」と不安を感じるのも無理はありません。
 
しかし、即座に売却を諦める必要はありません。「利益=課税額」ではなく、利益からさらに各種控除が差し引かれるため、実際に納める税金は利益より低く抑えられるからです。次項で、具体的な数値を用いた試算を行います。
 

取得費が不明の場合、今の価格で売れたらどうなる? 損する?

では、過去に「1グラム2000円」で購入した金300グラム(当時の購入額60万円)があり、これを現在の相場で売却する場合を試算してみましょう。
 
仮に現在1グラム2万7000円で売却できたとすると、手元に入る売却総額は810万円に達します。このとき購入時の書類がないと、実際の購入額(60万円)ではなく、売却額の5%である「40万5000円」が取得費(概算取得費)として適用されます。本来の取得費より計算上の利益は増え、差し引き769万5000円が帳簿上の利益となります。
 
ここで重要となるのが、金の保有期間が5年を超えている場合に適用される「長期譲渡所得」という区分です。長期譲渡所得に該当すれば、利益から「特別控除50万円」を差し引けます。
 
さらに、控除後の金額を「2分の1」にした額のみが、課税対象所得として計上されます。計算式に当てはめると、(769万5000円-50万円)÷2=約360万円が税額計算の基礎となる金額です。
 
実際の購入額より取得費が低く見積もられたとしても、特別控除などの優遇措置があるため、手元に残るお金の大半が税金で消えるわけではありません。取得費不明を理由に売りどきを逃すよりも、歴史的高値の恩恵を受けて利益を確定させる判断が合理的と言えるでしょう。
 

まとめ

金価格は歴史的な高値圏にあり、売却を検討するには適したタイミングの可能性があります。購入額が不明な場合は「概算取得費」として売却額の5%が取得費になりますが、保有期間が5年超であれば税負担は軽減されます。
 
特別控除50万円と課税対象額の2分の1圧縮が適用されるため、税引き後でも十分な現金が手元に残る計算です。
 
複雑に思える税金の仕組みですが、正しく理解すれば恐れる必要はありません。まずは専門業者に査定を依頼し、現在の価値を把握するところから始めてみてはいかがでしょうか。
 

出典

田中貴金属工業株式会社 金価格推移
国税庁 No.3161 金地金の譲渡による所得
 
執筆者 : 高柳政道
FP1級、CFP、DCプランナー2級

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