更新日: 2023.09.13 その他税金

不動産所得について(1) ~概要と計算方法~

不動産所得について(1) ~概要と計算方法~
不動産の貸付を行い、不動産所得を得ている方も多いと思います。今回は不動産所得の概要について説明したいと思います。
浦上登

執筆者:浦上登(うらかみ のぼる)

サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

東京の築地生まれ。魚市場や築地本願寺のある下町で育つ。

現在、サマーアロー・コンサルティングの代表。

ファイナンシャル・プランナーの上位資格であるCFP(日本FP協会認定)を最速で取得。証券外務員第一種(日本証券業協会認定)。

FPとしてのアドバイスの範囲は、住宅購入、子供の教育費などのライフプラン全般、定年後の働き方や年金・資産運用・相続などの老後対策等、幅広い分野をカバーし、これから人生の礎を築いていく若い人とともに、同年代の高齢者層から絶大な信頼を集めている。

2023年7月PHP研究所より「70歳の現役FPが教える60歳からの「働き方」と「お金」の正解」を出版し、好評販売中。

現在、出版を記念して、サマーアロー・コンサルティングHPで無料FP相談を受け付け中。

早稲田大学卒業後、大手重工業メーカーに勤務、海外向けプラント輸出ビジネスに携わる。今までに訪れた国は35か国を超え、海外の話題にも明るい。

サマーアロー・コンサルティングHPアドレス:https://briansummer.wixsite.com/summerarrow

不動産所得の範囲

不動産所得とされるのは、次の3種類に分けられます。
 
1.不動産の貸付
家賃・地代等の収入が代表的な不動産所得になります。具体的には次の通りです。
 
・アパート等の家賃
・広告等のために土地、家屋の屋上・側面・塀等を使用させる際の賃料
(下宿等のように食事を提供する場合やホテルのように役務を提供する場合は事業所得または雑所得になります)
 
2.不動産の上に存する権利の貸付
地上権・永小作権・借地権などの貸付・設定による収入
 
3.航空機や船舶の貸付

不動産所得の計算

不動産所得の計算式:不動産所得=総収入額-必要経費
 
●総収入金額に算入されるもの
家賃、地代、権利金、名義書き換え料、更新料、礼金、保証金償却分等
 
●必要経費に算入されるもの
租税公課、管理費、修繕費、損害保険料、減価償却費、借入金利子等
 
必要経費の中で、特に重要なものを以下に列挙します。

減価償却費

減価償却費は支出を伴わない経費です。建物等の減価償却資産はときの経過に伴いその価値が減少してゆきます。原価計算上はその価値の減少を経費として織り込むことになります。それが減価償却費と呼ばれるものです。
 
実際の支出がないにもかかわらず必要経費として認定されるので、節税対策に大きく貢献することになり、税務上は重要なものになっています。
 
減価償却の方法には、定額法または旧定額法と、定率法または旧定率法の計4種類があります。法定の償却方法は、一般的には定額法または旧定額法で、定率法または旧定率法を採用する場合は届け出が必要です。
 
1998年(平成10年)4月1日以降に取得した建物については、定額法または旧定額法のみとなっています。定額法または旧定額法、定率法または旧定率法の内容と適用時期については国税庁ホームページをご確認ください。
 
減価償却資産ごとに法定耐用年数が定められており、法定耐用年数に基づき減価償却をします。例えば、木造家屋と鉄筋コンクリートのマンションでは法定耐用年数が大きく違うので注意が必要です。
 
<主な法定耐用年数>
鉄骨鉄筋コンクリート:47年
れんが造り:38年
木造:22年
建物設備:15年

住宅ローン借入金利子

業務用の借入金(この場合は住宅ローン)の利子は必要経費になりますが、元金の返済分は必要経費にはなりません。
 
不動産の購入に多額の住宅ローンを使った場合、住宅ローンの利子が必要経費の大きな部分を占めることになり、不動産所得において節税効果を生むことになります。

まとめ

今回の記事では、不動産所得における収入、経費の項目とそのうち重要なものについての解説をしました。その2では損益通算について説明したいと思います。
 
[参考]
国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)」
国税庁「No.2105 旧定額法と旧定率法による減価償却(平成19年3月31日以前に取得した場合)」
国税庁「No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)」
 
執筆者:浦上登
サマーアロー・コンサルティング代表 CFP ファイナンシャルプランナー

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