更新日: 2020.03.14 確定申告
確定申告をしたけれど、内容が間違っていた!確定申告書の再提出はできるの?
納付期限も併せて延長され、振替納税の振替日も延長されることとされていますので、詳しくは国税庁のウェブサイトや最寄りの税務署で確認をしてみてください。
なお、確定申告書をe-Taxではなく書面で提出する場合、混雑している税務署に行かなくても、郵送で提出できます。郵送による場合は、必ず控用の書類と切手を貼付した返信用封筒を同封し、所轄税務署へ送付してください。
さて今回は、「確定申告書を提出したものの、内容を間違えていたため、提出しなおしたい」といった場合に、どのような取り扱いになるかというお話です。大きくわけて3つのケースがありますので、ケースごとに見ていきましょう。
執筆者:星田直太(ほしだ なおた)
税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))
一般企業勤務を経て、30代から税務会計の世界に入り、税理士とCFPの資格を取得。
税理士法人勤務時には法人税務顧問、ベンチャー支援、事業再生、相続・事業承継といった多様な業務に従事。公的機関での勤務も経験した後、2014年に独立。現在は西新宿に税理士事務所を開業している。
中小企業向けの講演多数。他の専門家とも多く提携しており、ワンストップでお客様のお悩みに対応できる体制を構築している。
目次
ケース1:申告期限内に再提出する場合
申告期限よりも前に余裕をもって確定申告書を提出したところ、売上の計上もれや経費の計上もれといった誤りに気がつくことがあるかもしれません。
本来の確定申告期限が到来するまでであれば、改めて正しい申告書を作成し、所轄税務署へ提出すれば問題ありません。実務上、後から提出した申告書が有効なものとして取り扱われます。
なお、この申告期限内に申告書を再提出することを「訂正申告」ということがありますが、この用語は法令上の用語ではありません。「修正申告」という用語はありますが、これは後に述べるとおり、まったく別の手続きになりますので、混同しないようにしましょう。
ケース2−1:申告期限後に再提出する場合1(当初申告の納税額が過少だった場合等)
申告期限が過ぎてから、すでに提出した申告書に誤りがあることに気がついた場合、それを正しいものに改める手続きには2種類があります。当初の申告における納税額が過少だったか、あるいは過大だったかによって、手続きが異なります。まずは、当初の申告における納税額が過少だった場合について説明します。
当初の申告における納税額が過少だった場合とは、例えば売上の計上がもれていた、経費の計上が多すぎたといった場合です。正しく申告すると納税額が増えることになります。こういった場合は、「修正申告」という手続きによって申告内容を改め、不足していた税額を追加的に納付するという手続きを行います。
修正申告を行う場合は、「確定申告書Bの第一表」と「修正申告書(第五表)」を用います。修正前の金額を第五表(修正申告用の別表です。)に記入し、修正申告額を第一表に記載します。その他、第五表には「修正申告によって異動した事項」等を記載します。
納付に関する注意点がいくつかあります。まず、修正申告によって追加的に生ずる税額は、修正申告書を提出する日が納期限ですので、この日までに納付をする必要があるという点です。
さらに、この納付税額には、法定納期限の翌日から納付日までの間に延滞税(利息のようなものです。)がかかります。冒頭で触れたとおり、令和元年分の確定申告に関しては法定納期限が4月16日(木)になるとのことですので、4月17日(金)が延滞税計算の起算日です。
延滞税の割合は、(1)納期限の翌日から2月を経過する日までと、(2)納期限の翌日から2月を経過した日以後とで異なります。現在(平成30年1月1日~令和2年12月31日)の割合は、(1)で年2.6%、(2)で年8.9%とされています。
計算がやや複雑なので、不明な方は税務署へ確認するのが良いでしょう。特に、「納期限」と「法定納期限」は異なる用語ですので、注意してください。
ケース2-2:申告期限後に再提出する場合2(当初申告の納税額が過大だった場合等)
当初の申告における納税額が過大だった場合、つまり誤って多く納付しすぎた税額を返してもらう場合は、修正申告ではなく「更正の請求」という手続きをとります。例えば、誤って売上を二重計上してしまった、経費の計上がもれていたという場合です。
「更正の請求」を行う場合は、「更正の請求書」という用紙を使います。この用紙に当初の申告額と正しい額(請求額)等の必要事項を記載し、所轄税務署長宛てに提出します。なお、更正の請求には期限があり、法定申告期限から5年以内と定められていますので、注意してください。
なお、この更正の請求を行った場合は、無条件で税金が還付されるわけではない点に注意が必要です。更正の請求があった場合は、税務署でその請求内容が正しいか調査をすることとされていますので、税務署から何らかの接触があることが想定されます。
そのため、更正の請求書を作成した根拠となる書類を準備しておき、更正の請求書の提出時に添付書類としてこれを併せて提出することや、税務署に対して十分に説明できるようにしておくことが必要です。
ケース3:更正の請求によって還付を受けられない場合
更正の請求によっても還付が受けられない場合があります。それは、当初の申告で特例の適用を受けていなければいけないと定められているもので、所得税における代表的な規定は、居住用財産を譲渡した場合の3000万円特別控除や住宅ローン控除です。
このような特例の適用については、当初の申告で適用をまったく受けていないのであれば、原則として更正の請求によって新たに適用を受けて還付を受けることはできませんので、注意してください。
執筆者:星田直太
税理士、ファイナンシャル・プランナー(CFP(R))