更新日: 2020.03.15 その他税金
土地を所有しているとかかる「固定資産税」どうやって計算されているの?
購入検討の際には、住宅ローンの期間や借入額を気にするあまり、諸費用の内訳や翌年以降の負担には、目も意識も向かないことがあります。当時の資金計画表に記載がありますし、説明もなされているはずです。
住宅関連費用のひとつ、所有する固定資産に対して課せられる税金「固定資産税」について、今一度、確認してみましょう。
執筆者:大竹麻佐子(おおたけまさこ)
CFP🄬認定者・相続診断士
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表
証券会社、銀行、保険会社など金融機関での業務を経て現在に至る。家計管理に役立つのでは、との思いからAFP取得(2000年)、日本FP協会東京支部主催地域イベントへの参加をきっかけにFP活動開始(2011年)、日本FP協会 「くらしとお金のFP相談室」相談員(2016年)。
「目の前にいるその人が、より豊かに、よりよくなるために、今できること」を考え、サポートし続ける。
従業員向け「50代からのライフデザイン」セミナーや個人相談、生活するの観点から学ぶ「お金の基礎知識」講座など開催。
2人の男子(高3と小6)の母。品川区在住
ゆめプランニング笑顔相続・FP事務所 代表 https://fp-yumeplan.com/
目次
固定資産税って? どういう人がどういうときにかかるの?
固定資産税は土地や家屋などの固定資産に対して課される税金で、毎年1月1日時点でのその所有者(固定資産税課税台帳に登録されている人)が納税義務者となります。
固定資産課税台帳には、登記されている土地・家屋の所有者の氏名や住所、属性(例:宅地)、評価額、税額などが記載されています。
固定資産の価格を基に税額が算出され、固定資産のある市町村(東京都23区内は、特例で都)が課税します。市町村は、納税義務者に納税額を通知し、納税者はそれに基づき税額を納付します。
一般的に、年度の途中で土地や家屋が売買や相続等により譲渡された場合には、前の所有者が納めたうえで、日割計算等によって後の所有者と按分します。
固定資産税の納付は、どんな方法があるの?
自治体によりますが、1月1日時点で所有権が登記されている人に、納税通知書が送られてきます(おおむね、4~6月頃)。
納税通知書を使用して、金融機関、都税事務所等の窓口、コンビニで納めます。
最近では、ペイジーを利用することで金融機関ATMやインターネット(モバイル)バンキング、またクレジットカードでの支払いも可能となり、時間や場所を気にせず納付できるようになりました。ただし、クレジットカードの場合には、決済手数料がかかります。
※ペイジー(Pay-easy)…パソコンやスマートフォン・携帯電話、ATMから税金や公共料金、各種料金などの支払いを数字入力するだけの簡単操作で、金融機関の窓口やコンビニのレジに並ぶことなく完了できるサービス(詳細は、各金融機関にてご確認ください)。
一括払いまたは年4回分納のいずれかを選べます(納付額は変わりません)。
納付書に記載されている納付期限までに納めなくてはなりません。未納のまま経過した場合には、地方税法の規定により延滞金が加算されることになりますので注意が必要です。すぐに納付できない事情がある場合は、各市町村の窓口に相談しましょう。状況によっては、軽減や免除を受けられることもあります。
支払わずに放置していた場合には、預金や給与、不動産などの財産を差し押さえられる可能性があります。
どうやって計算されているの?
固定資産税額は、所有する固定資産の評価額に標準税率をかけて計算されます。
固定資産税=課税標準額×標準税率(1.4%)
土地は、一物四価とも言われ、一つの土地(一筆という単位で表現します)に対して、目的や計算方法により複数の価格(評価価値)があります。
1)時価(実勢価格)は、実際に取引される価格(実際の売買や近隣の取引事例より算出)
2)公示地価(公示価格)は、国土交通省が毎年1月1日時点の土地を算定した価格
3)相続税評価額(路線価)は、国税庁が毎年7月に公表する相続税算出の基となる価格
4)固定資産税評価額は、固定資産税の算定の基礎となる土地価格
固定資産税評価額は、土地や家屋などをそれぞれどう評価するかを定めた「固定資産評価基準」に基づいて、各市町村が個別に決める価格です。
時価の70%が目安と言われますが、そのほかに、土地がどんな場所にあるか、面積や形状はどうか、道路にどのように接しているかなどによって、評価額は違ってきます。
公示地価を基に各自治体が個別に算定しており、3年ごとに見直され、その時点の地価に応じて金額が決まります。そのため、地価が安い時期や安い地域は固定資産税も安く、地価が高騰している時期や地域では固定資産税も高くなります。
実際の税額算定基準となる課税標準額は、住宅用地と新築住宅の建物に対し、軽減の特例が設けられています。その地域の固定資産税評価額から負担調整の特例により急激に固定資産税の負担が増える地域は一定の率の増加に抑えられています。
なお、固定資産税の計算に使われる「固定資産税評価額」は、都市計画法による市街化区域内に土地や家を持っている人に課税される「都市計画税」、家や土地を取得したときに1回限り課税される「不動産取得税」、登記にかかわる「登録免許税」でも、計算の根拠となります。
家屋(建物)の固定資産税評価額を知りたい!
建物の場合は、新築時は工事金額の約50~60%が目安と言われています。
構造、建材や設備の質などで税額は変わり、同じ床面積の家でも、木造よりも建築コストの高い鉄筋コンクリート造(RC造)の方が高くなります。また、同じ床面積、同じ構造の家でも、設備の品質や大きさ、数なども固定資産税評価額に影響するようです。
家屋に対する固定資産税評価額は、登記後にどんな家なのかを自治体の担当者が訪問し、確認したうえで決めています。
毎年4月1日から最初の納期限までの間、固定資産税の納税者が自分の土地や家だけでなく、他の納税者の土地や家屋の固定資産税評価額を見ることができる「縦覧制度」が設けられており、固定資産縦覧帳簿(台帳)で確認できます。
同じエリアのほかの土地や家屋と比較し、あまりに大きな違いがある場合には、自分の土地や家屋が適正に評価されているかの審査の申し出をすることが可能です。
金額にかかわらず、評価額を知り、納付額の資金計画を
固定資産税は土地や家屋などの固定資産を所有する限り、毎年納付することになります。自宅購入のほか、不動産投資や相続等で所有することになった場合も負担が生じますので、維持費用として資金計画が必要です。
毎年送られてくる固定資産税の納税通知書の別紙「課税明細書」を見ることで、現在所有している土地や家の評価額を知ることができます。次回、ご自宅に納税通知書が届いた際には、確認してみてください。
執筆者:大竹麻佐子
CFP🄬認定者・相続診断士