大学生のアルバイト、お金に関して注意することは?
配信日: 2020.05.13
大学生になると、交友関係も広がり、高校生の時と比べて日々の生活にもお金がかかるようになります。「遊ぶお金は自分で稼ぎなさい」という保護者もいるでしょう。「おっしゃる通り!」なのですが、ちょっと待って。バイトしすぎるのも良くない面があります。
「稼げるだけ稼いだ方が良いよね」と、可能な限りバイトをすることのデメリットについて考えてみます。
執筆者:黒澤佳子(くろさわよしこ)
CFP(R)認定者、中小企業診断士
アットハーモニーマネジメントオフィス代表
栃木県出身。横浜国立大学卒業後、銀行、IT企業、監査法人を経て独立。個別相談、セミナー講師、本やコラムの執筆等を行う。
自身の子育て経験を踏まえて、明日の子どもたちが希望を持って暮らせる社会の実現を願い、金融経済教育に取り組んでいる。
また女性の起業,事業承継を中心に経営サポートを行い、大学では経営学や消費生活論の講義を担当している。
バイト収入にも税金がかかる
学生の場合、バイト収入が130万円を超えると税金がかかります。所得税は、基礎控除38万円と給与所得控除65万円に加え、勤労学生控除としてさらに27万円の控除が受けられると、130万円までは税金がかかりません。
住民税は自治体にもよりますが、126万円までは税金がかからないことが多いです。したがって、1カ月あたり10万円程度の収入であれば税金はかからないのですが、実際にバイト代を受け取る際には、所得税が源泉徴収されています。
バイト先で年末調整をしてもらえれば、払いすぎた所得税は戻ってきますが、年末調整がなければ、確定申告をすることで、税金の還付を受けることが可能です。
なお、2つ以上のバイトをかけもちすると、確定申告が必要になるケースが多いので注意が必要です。主たるバイト先で年末調整があり、年末調整しない方の所得が20万円を超えないケースでは、確定申告が不要とされています。
親にも影響する子のバイト収入
親の扶養になっている子に103万円以上の給与収入があると、税制上の扶養から外れることになります。一般の扶養控除は38万円ですが、大学生など特定扶養親族(19歳以上23歳未満)にあたると、控除額は63万円になります。
これが使えなくなるだけでなく、社会保険上も扶養でなくなるので、本人が国民健康保険に加入することになり、保険料の負担が増えます。
税金や社会保険だけでなく、会社などで家族手当がある場合も、子に収入があることで扶養家族でなくなり、家族手当が減ってしまうケースもありますので要注意です。
ただし、これは世帯収入の話。自分で使うお金を自分で稼ぐ子に、「世帯収入が減るから収入を抑えなさい」と言うのが良いのかどうかは難しい問題です。子からすれば、収入を抑えた分、お小遣いがもらえるなら良いかもしれませんが(笑)。
バイト収入の限界をよく知っておこう
そもそもバイト収入で稼げる限界を知っておきましょう。
時給1000円とすると、週3日1日4時間バイトして、1カ月4万8000円です。1カ月10万円稼ぐとなると、その倍以上働くことになります。1日4時間週6日働く、1日8時間週3日働く、どちらにしても大きな時間が割かれることになります。
バイトに熱心な学生によくみられるのが、大学の授業に出られず、単位を落とすことです。
授業のある時間にバイトを入れるのはいけないとして、授業が終わってからバイトをしていても、過労と睡眠不足で翌日授業どころではなくなります。最初は今日だけ、とサボっているうちに、繰り返すようになるのが常です。
今は大学も出席を重視するようになっていますので、単位がとれず卒業できない、就職できないということは、残念ながらよくあることなのです。実は、バイトにあけくれないようにと、奨学金で学生の生活費を補うことは可能です。
日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は、有利子の第二種奨学金であれば、月12万円まで借りることができます(収入要件等あり)。
しかし、奨学金は学生本人が借りて返済する立派なローンです。いくら返すことになるのか、返せなくなったらどうなるのか、借りすぎには十分注意しなくてはなりません。
「社会人になって月2~3万円程度の返済なら可能だろう」と安易に考えるのは危険です。大卒初任給の平均額は20万円程度、手取りにすると16万円程度です。実家から通ううちはなんとかなるかもしれませんが、自立して生活する場合は、月2~3万円の返済が重くのしかかることになるので注意が必要です。
※2020年4月現在、新型コロナウイルスの影響で、大学の入学時期が遅れたり、店舗が営業を自粛したりして思うように働けない方もいらっしゃるかもしれません。この記事は、新型コロナウイルスが収束に向かい、日常を取り戻した際の参考になりますと幸いです。
執筆者:黒澤佳子
CFP(R)認定者、中小企業診断士