更新日: 2020.12.05 その他税金
子どものアルバイト。扶養から外れるのはいくらから?
つまり、親の手取り収入が減ってしまうことになります。また、子どもの収入によっては、子ども自身に納税や社会保険加入の義務が生じます。
今回は、事前に知っておいてほしい子どものアルバイト収入と親の扶養控除について考えてみたいと思います。
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー
立命館大学卒業後、13年間大手小売業の販売業務に従事した後、保険会社に転職。1 年間保険会社に勤務後、保険代理店に6 年間勤務。
その後、コンサルティング料だけで活動している独立系ファイナンシャルプランナーと出会い「本当の意味で顧客本位の仕事ができ、大きな価値が提供できる仕事はこれだ」と思い、独立する。
現在は、日本FP協会佐賀支部の副支部長として、消費者向けのイベントや個別相談などで活動している。また、佐賀県金融広報アドバイザーとして消費者トラブルや金融教育など啓発活動にも従事している。
子どものアルバイトでも「103万円の壁」に注意
子どもを扶養親族の対象とすると親の収入から「扶養控除」が受けられます。子どもの場合、控除額は年齢によって2とおりに分かれます。
1)16歳以上18歳以下 (控除額1人当たり38万円)
2)19歳以上23歳未満 (控除額1人当たり63万円)
例えば、20歳の大学生の子どもが扶養親族で親の所得税率10%場合、6万3000円の所得税が軽減されます。
ただし、このような扶養親族として控除を受けるためには条件があります。その1つとして、子どもの収入(年収)が挙げられます。その基準となる子どもの収入額(年収)が103万円です。子どもの収入(年収)が103万円を超えると親の扶養の対象外となります。つまり、親の手取り収入が減ってしまうことになります。
知っておきたい「勤労学生控除」
では、子どもの方はどうなのでしょうか。知っておきたいのが、勤労学生のための「勤労学生控除」制度です。子ども自身が稼いだ収入から勤労学生控除として27万円の控除を受けることができます。
アルバイトをして収入を得る学生の場合は、以下の控除を受けることができます。
給与所得控除 55万円 + 基礎控除 48万円 + 勤労学生控除 27万円 =130万円(令和2年分以降)
よって、130万円までは子どもに所得税は課税されません。
親の扶養を外れると社会保険にも影響が
親の扶養から外れる場合、税金の問題だけでなく社会保険にも影響が出てきます。子どもは、親の扶養に入っている間は、保険料を負担しなくても健康保険に加入できます。
しかし、子どもの収入(年収)が130万円を超える場合、親が加入する健康保険の被扶養者から外れて、アルバイト先の健康保険に加入するか自分で国民健康保険に加入しなければなりません。
また、収入の額によっては、国民年金の保険料負担に影響が出てくる場合があります。20歳以上の学生は、在学中、保険料を猶予できる「学生納付特例制度」があります。しかし、子ども本人の前年の所得が118万円(給与収入180万円)を超えると当該制度を受けられなくなります。
まとめ
子どもが、学業に支障のない程度に働き収入を得ることは、お金をもらいながら社会勉強できるいい機会だと思います。一方で、働きすぎによって親の扶養控除から外れることにより、思わぬ親の収入の減少は避けなければなりません。
以下の点に注意してお子さまと話し合ってみましょう。
・親の扶養控除は、税金面と社会保険の両方に影響があること
・子どもの収入(年収)が、103万円を超えると親の扶養から外れ、親の手取り収入が減ってしまうこと
・子どもの収入(年収)が、130万円を超えると親が加入する健康保険に子どもが加入できなくなること
・子どもの収入によっては、国民年金の保険料の猶予が受けられなくなること
参考
国税庁 No.1180 扶養控除
国税庁 No.1175 勤労学生控除
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度
執筆者:廣重啓二郎
佐賀FPオフィス 代表、ファイナンシャルプランナー、一般社団法人日本相続支援士会理事、佐賀県金融広報アドバイザー、DCアドバイザー