更新日: 2021.01.07 税金

ふるさと納税でもらった返礼品。どう見ても払った金額の3割以上の価格のようだけど、大丈夫なの?

執筆者 : 上野慎一

ふるさと納税でもらった返礼品。どう見ても払った金額の3割以上の価格のようだけど、大丈夫なの?
ふるさと納税制度が2008年4月に始まってから12年以上が経過しました。返礼品の過剰な“サービス合戦”にブレーキをかけて適正な運用をはかるため、2019年6月に制度の見直しがされています。
 
その結果、返礼品は払った金額の3割以下に抑えられているはず。でも、それ以上の価格水準のような返礼品があちこちで見られます。これって、大丈夫なのでしょうか。
 
上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

上野慎一

執筆者:

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

ふるさと納税制度のおさらい

ふるさと納税は菅総理が総務大臣のときに肝いりで始めた制度ですが、まずはその要点についておさらいをしましょう。
 
<実は、納税ではなくて寄付>
◇「納税」と呼ばれますが、実は自治体への寄付です。
 
◇自分の出身地や応援したい自治体に寄付をすると、寄付額から2000円を差し引いた額が所得税や住民税から控除(特例控除)される制度です(控除額には上限があり、住民税額のおおむね2割程度といわれています)。
 
<制度の見直しもされてきました>
◇2015年4月から、控除額上限の引き上げや確定申告不要なワンストップ特例(要件あり)が導入されました。
 
◇2019年6月から、総務大臣が次の基準に適合した自治体を指定し、指定を受けたところだけが制度の対象となりました。
(1)寄付金の募集を適正に実施する自治体
(2)返礼品を送付する場合には、返礼割合を3割以下とし、かつ地場産品とする
 
◇高過ぎる返礼割合やギフト券上乗せなど過剰なサービスが問題視された一部の自治体には、指定除外や指定期間短縮の措置が取られました。
 
◇しかし、問題の動きは基準設定前のものだったため、指定除外された自治体が提訴。事後的に決めた基準をもとに指定を受けられないのは違法との判決が確定して、こうした一部自治体も現在は指定を受けています。
 
<金額や件数は急増>
◇上限内であれば実質2000円の負担でグルメや名産の品などが手に入るおトク感もあって、利用される金額や件数は急増しています。
 
◇初導入の2008年度[81.4億円/5.4万件]から、2018年度には[5127.1億円/2322.4万件]へと急拡大。先述の指定制度導入の影響があった2019年度も[4875.4億円/2333.6万件]と、件数では過去最高です(※)。
 

「期間限定の増量キャンペーン」は、どうなの

こうした経過があって、今の返礼品は寄付金額の3割以下の地場産品のはず。ところが、ふるさと納税を扱う各サイトなどで見かける「期間限定の増量キャンペーン」では例えば、通常400グラムの牛肉が600グラム、通常2本のウナギ蒲焼きが3本といった具合で提供されています。
 
例示したものが通常の量で返礼割合3割だとすれば、増量後では4割5分という計算になってしまい、基準に違反しているような印象を受けます。
 
先述の指定制度導入時に、関連する地方税法も改正されました。その中には「……返礼品等の調達に要する費用の額として……(中略)……寄附金の額の百分の三十に相当する金額以下であること。」(地方税法第37条の二 2項一号)とあります。
 
つまり、返礼割合の3割以下という規制は、実は「販売価格」ではなく「仕入価格」に対するものなのです。
 
商品の価格は、市況や需給関係で大きく変わる場合があります。コロナ禍で飲食店が仕入れをやめて行き場を失った肉・魚介類・果物などの高級食材が代表例でしょう。これらも仕入価格が安くなれば、返礼割合の規制をクリアできるわけです。
 
上記のような事情のほかにも、仕入(卸売)価格をダンピングできる状況や大義名分は、いろいろと想定できるようです。
 
ふるさと納税の各自治体の返礼品を還元(返礼)率の高い順にランキングしているようなサイトも見かけます。寄付金額に対して、一般的に想定される販売価格の割合の表示ですが、中には100%前後のものもかなりありました。
 

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まとめ

コロナ禍で大打撃を受けた産業に対する消費喚起の支援策「Go Toキャンペーン事業」では、トラベルやイートで混乱が続いています。
 
急ごしらえで練り上げ不足な制度のスキマや盲点をついた商品企画や利用方法が、たびたび話題になっています。そして、モグラたたきのように後からあわてて規制措置が取られていくさまは、見ていて気持ちのよいものではありません。
 
いろいろと問題は出ていますが、Go Toキャンペーン事業は時限的な制度です。しかし、ふるさと納税はこれからも続いていくと思われます。
 
返礼品の相当価格の“おトク度競争”がまた過激化したり、そのために仕入価格がたたかれて地場産業が結局苦しめられたり。そんな本末転倒なヒートアップの事態にならないことを願っています。
 
[出典]
(※)総務省「ふるさと納税ポータルサイト」~「ふるさと納税に関する現況調査結果(令和2年度実施)」(該当箇所は2ページ)
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士