菅新内閣誕生! 確定拠出年金やつみたてNISAはどのように考えればいいの?

配信日: 2020.10.24

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菅新内閣誕生! 確定拠出年金やつみたてNISAはどのように考えればいいの?
この記事は2020年9月15日に執筆していますが、2020年9月14日、菅義偉氏が自民党の総裁に選出され、次の総理大臣に任命されることがほぼ確定しました。
 
一般的に、何らかの資産運用を行っている場合、菅さんが総理大臣になったらマーケットはどうなるかについて考えるようになりますが、これも立派なファンダメンタルズ分析といえます。
重定賢治

執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)

明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。

子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。

2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai

菅新内閣誕生と投資スタンスの関係性

「ファンダメンタルズ」は日本語にすると「経済の基礎的条件」と訳されますが、内閣総理大臣が新しくなるといった政治的な事柄においては、その内閣でどのような経済政策が実行されるかに注目していきます。
 
資産運用を行う場合、(1)「投資の目的」、(2)「期間の分散」、(3)「資金の分散」、(4)「運用スタンスのチェック・見直し」の4つが重要です。
確定拠出年金制度やつみたてNISAを活用されている方の場合、上記4点と新内閣誕生をどのように絡めて考えていけばいいのでしょうか。
 
まず(1)「投資の目的」ですが、確定拠出年金制度やつみたてNISAを活用するのは「老後のお金を貯める・増やすこと」が目的です。新内閣が誕生したとしても、ファンダメンタルズ分析としては目的は変わらないため、それほど考えなくてもいいでしょう。
 
次に(2)「期間の分散」ですが、これは投資の期間をどれぐらいにするかという「期間分散」の考え方です。通常、投資期間は「短期」・「中期」・「長期」とある程度区切って運用を行うものですが、確定拠出年金制度やつみたてNISAを活用する場合、例えば20年間といった長期の投資期間にならざるを得ません。
 
このため、新内閣誕生といった政治的なイベントが発生した場合、少なくとも10年後ぐらいまでの間で新政権がどのような経済政策を実行し、日本経済にどのような影響を与えていくかを想像しておく必要があります。
 
そして、(3)「資金の分散」ですが、仮にリスクを取る場合、確定拠出年金制度にしろ、つみたてNISAにしろ、運用商品は投資信託になります。このとき、株式型・債券型・バランス型・その他の投資信託のうち、国内・海外の区別も含め、どのように分散投資をしていくかを考える必要があります。
 
老後のお金を貯める・増やすことを目的に確定拠出年金制度やつみたてNISAの下で投資信託を運用するわけですから、新政権になった場合、どの金融商品(投資信託)がふさわしいか、どのようにリスクヘッジしていく必要があるかを考えていきましょう。
 
最後に(4)「運用スタンスのチェック・見直し」ですが、新政権が誕生するといった大きなイベントが発生するタイミングでは、それまでの運用スタンスや売買ポジションを変更する良い機会といえます。このため、最低でもそれまで行ってきた運用状況のチェックはしておいた方がいいかもしれません。
 

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菅政権の経済政策は?

菅さんが新たに総理大臣になった後、どのような経済政策を打つかが各メディアを通じて報じられています。
それらを見ていると、おおよそ次のようにまとめられるでしょう。
 
 〇アベノミクスの踏襲
 〇新型コロナウイルス感染症に伴う景気後退に対する支援の継続
 〇携帯電話料金の値下げ
 〇将来的な消費税の引き上げ

 
「アベノミクスの踏襲」については、要するに金融・財政政策ですが、金融緩和を継続する反面、積極的な財政出動は行わない可能性が高いように思われます。
 
「新型コロナウイルス感染症に伴う景気後退に対する支援の継続」については、第2次補正で準備された10兆円の予備費の使い道と、仮に決定されるなら、第3次補正予算案で何が出てくるかがポイントになるでしょう。
 
「携帯電話料金の値下げ」に関しては、家計にとってはプラスに働く可能性がありますが、すでに携帯電話料金を見直しているご家庭にとってはあまり意味がないため、どこまで効果が出てくるかが注目されます。
 
「将来的な消費税の引き上げ」については、当面10年間は消費税を上げないと言い直しましたが、アナウンス効果としては、「消費税はやっぱり上げるんだ」と受け止められてしまったため、特に、コロナ禍が収束した後の消費喚起がどこまで図れるかがポイントになるのではないでしょうか。
 
この4つを見ただけでも、新政権がどのような経済政策のスタンスになるかがある程度見えてきますが、正直な感想をいうと、コロナ禍による景気後退からの回復は期待できるが、中・長期的に見ると、消費は一定の水準までしか回復しないかもしれないと思ってしまいます。
 

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新政権誕生後の運用スタンス

このような前提で、確定拠出年金制度やつみたてNISAを活用し、投資信託で運用する場合、どのような投資スタンスが必要になるかを考えていきます。投資の目的は「老後のお金を貯める・増やすこと」です。投資期間の分散は図れず、長期投資しか選択できません。
 
資金の配分、つまり、分散投資ですが、新政権が誕生するわけですから、マーケットでは期待値が上がりやすくなることが考えられます。いわゆる「ご祝儀相場」です。このため、短期的、例えば1年間ぐらいは国内株式型の投資信託への比重を高め、国内債券型の投資信託は減らしておくといった配分を選択していくことも考えられるでしょう。
 
あくまでも一例ですが、このようなイメージで運用状況のチェック・見直しを図っていくことになります。
 
ただし、新政権の行う経済政策への期待が剥落していくため、中・長期的に見る場合は注意が必要です。このとき、実体経済を軸に考えると、消費性向の低下と貯蓄性向の上昇といった傾向が予測されるため、中・長期的にはどこかのタイミングでスウィッチングを行う必要があるといえます。
 

まとめ

ファンダメンタルズ分析は専門的に行うと非常に手間がかかります。このため、一般の方が行う場合、前述のように大ざっぱなイメージで情報を組み立てる程度でかまいません。
 
また、確定拠出年金制度においては銘柄の入れ替え(スウィッチング)は可能ですが、つみたてNISAの場合、非課税枠が余っていなければ銘柄の入れ替えを行ったとしても税の優遇というメリットを享受できないことから、不確実性(リスク)とうまく付き合うことが難しくなる可能性があります。
 
この場合、ドルコスト平均法の下での運用状況をよく観察し、また、他の金融資産も含め、総合的なポートフォリオを組みながら長期的な運用を心掛けていくようにしましょう。
 
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)


 

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