不動産を売却したときの「税金」はどう計算するのでしょうか? 控除・特例を使って「安く」なることはありますか?
配信日: 2025.03.29

この記事では、不動産売却時の税金の計算方法、節税に役立つ控除や特例、確定申告の流れについて詳しく解説していきます。

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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不動産売却時の税金の計算方法
不動産を売却した際の譲渡所得は、次の計算式で求められます。
譲渡所得=売却価格-(取得費+譲渡費用)
取得費とは、不動産会社に支払った仲介手数料や登録免許税などの取得にかかった費用のことです。建物の場合は、購入価格から減価償却費を差し引いて計算します。
一方の譲渡費用には、売却時にかかった仲介手数料、測量費、建物の解体費用(更地にして売却する場合)などが含まれます。
譲渡所得にかかる税率は表1の通りです。
表1
所有期間 | 所得税 (復興特別所得税) |
住民税 | 税率 |
---|---|---|---|
5年以下(短期譲渡) | 30%(0.63%) | 9% | 39.63% |
5年超(長期譲渡) | 15%(0.315%) | 5% | 20.315% |
出典:国税庁「土地や建物を売ったとき」を基に筆者作成
所有期間は、売却した年の1月1日時点で判断します。例えば、2019年4月1日に取得した不動産を2024年10月1日に売却した場合、実際の所有期間は5年6ヶ月です。しかし、2024年1月1日時点では4年9ヶ月(短期譲渡)となることに注意してください。
税額の計算シミュレーション
以下の条件で売却した場合を考えてみましょう。
売却価格:5000万円
取得費(購入時の価格+諸経費):3500万円
譲渡費用(仲介手数料など):200万円
このケースでの譲渡所得および税額は以下のようになります。
譲渡所得:5000万円-(3500万円+200万円)=1300万円
税額(短期譲渡):1300万円×39.63%=約515万円
税額(長期譲渡):1300万円×20.315%=約264万円
このように、同じ条件でも所有期間により税額に大きな差が生じるため、売却のタイミングに注意しましょう。
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税負担を軽減するための控除や特例
不動産売却では、一定の要件を満たしていると特別控除などの特例を利用できます。
マイホームを売ったときの特例
マイホームの売却時に一定の要件を満たせば、譲渡所得から最大で3000万円を控除できます。主な要件は以下の通りです。
● 売却した不動産が自分の居住用であること
● 住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに売却すること
● 更地の場合は家屋を解体してから1年以内に譲渡契約を締結し、住まなくなってから3年を経過する年の12月31日までに売却すること
● 売却した相手が親族や配偶者ではないこと
先ほどのシミュレーションで得た譲渡所得(1300万円)にこの控除を適用すると、課税譲渡所得は0円となり、税金は発生しません。
マイホームを売ったときの軽減税率
10年以上所有していたマイホームを売却した場合、通常の長期譲渡所得の税率よりも低い表2の税率が適用されます。
表2
所得税 (復興特別所得税) |
住民税 | 税率 | |
---|---|---|---|
6000万円以下の部分 | 10%(0.21%) | 4% | 14.21% |
6000万円超の部分 | 15%(0.315%) | 5% | 20.315% |
出典:国税庁「マイホームを売ったときの軽減税率の特例」を基に筆者作成
この軽減税率では、3000万円の特別控除との併用が可能です。
確定申告の流れ
不動産売却によって所得を得た場合には、確定申告が必要です。控除や特例の適用を受けるためにも、確定申告を忘れずに行ってください。ここからは、確定申告の流れについて解説します。
必要書類の準備
まずは必要書類を準備します。
● 売買契約書
● 確定申告書第一表・第二表
● 確定申告書第三表(分離課税用)
● 譲渡所得の内訳書
● 取得費や譲渡費用を証明する書類(領収書など)
● 登記事項証明書
● 本人確認書類
3000万円控除などの特例を適用する場合は、適用要件を満たしていることを証明する書類を提出してください。
確定申告書の提出
確定申告書は、不動産を売却した翌年2月16日〜3月15日に提出します。なお、所得税の納付期限も翌年3月15日です。税務署の窓口のほか、郵送やe-Tax(国税電子申告・納税システム)でも提出できます。
不動産売却時の税金を賢く節約しよう
不動産を売却した際には所得税や住民税などの税金が発生しますが、適切な控除や特例を活用すれば大幅に節税できます。マイホーム売却時の3000万円特別控除や10年超所有の軽減税率などを利用すれば、税金をゼロにすることも可能です。
ただし、これらの特例を利用するには確定申告が必須となるため、事前に必要書類を準備し、申告漏れがないように注意しましょう。
出典
国税庁 土地や建物を売ったとき
国税庁 No.3302 マイホームを売ったときの特例
国税庁 No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例
国税庁 令和6年分譲渡所得の申告のしかた
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
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