祖母の土地を「1000万円」で孫が購入。“時価より安い価格”で売ると、税金はどうなる?
本記事では、時価より安く土地を売却した際の税金の扱いと、注意すべきポイントについて具体的に解説します。
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目次
「時価より安い価格で売却」は、税務上は“贈与”扱いになることも
不動産の売買は「売買契約があれば問題ない」と思われがちですが、税務署はその価格が「時価」かどうかを非常に重視します。たとえば、時価1500万円の土地を孫に1000万円で売却した場合、差額の500万円について「贈与」とみなされる可能性が高いのです。
このように、「実際にお金を受け取ったから贈与ではない」と思っていても、時価との差額が不自然に大きい場合、税金の対象になるのは“売却益”だけでなく“贈与分”も含まれる可能性があるのです。
実際に想定される課税の仕組みと例
不動産の売却に伴って発生する税金は、売主と買主で異なります。今回のケースのように、時価1500万円の土地を1000万円で売却する場合、それぞれ表1のような課税が発生します。
表1
| 当事者 | 税の種類 | 内容 |
|---|---|---|
| 売主(祖母) | 譲渡所得税 | 実際の譲渡価格1000万円に基づき課税される |
| 買主(孫) | 贈与税(みなし贈与) | 差額500万円が贈与とみなされ、課税対象になる可能性あり |
※筆者作成
孫が受ける贈与については、110万円の基礎控除があるため、差額500万円−110万円=390万円が贈与税の課税対象となります。表2はその際の税率の例です。
表2
| 贈与額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 400万円以下 | 30% | 65万円 |
※筆者作成
この場合、約390万円×30%−65万円=税額は約52万円となり、孫は贈与税として52万円を納める義務が生じる可能性があります。
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「売買」なのに贈与税がかかる? よくある誤解
「契約書を交わして、売買として登記もしているのに、なぜ贈与扱いになるの?」と疑問に思う方も少なくありません。ポイントは、税務署が“形式”ではなく“実態”を見るという点です。
とくに親族間の売買では、市場価格を無視した取引は「税逃れ」と判断されやすく、価格設定が不自然であれば、形式上の売買契約があっても“贈与”として課税される可能性があるのです。
つまり、「売ったつもり」「買ったつもり」であっても、税務署からすれば「それは実質的に贈与です」と認定されるケースがあるということです。
適正価格での売買ならトラブルは避けられる
こうした課税リスクを避けるためには、不動産業者の査定書や公示価格・路線価などを参考にして“時価に近い価格”で取引することが最も重要です。また、売買代金の授受が明確に確認できるよう、銀行振込の履歴や領収書、契約書の保管も忘れてはいけません。
仮に時価より安く譲りたい場合は、「贈与」として申告したうえで、贈与税を正しく納める方が後々のリスクを回避できます。たとえば「贈与+売買」のような複合的な形式を取ることも可能ですが、専門家のアドバイスのもと慎重に進める必要があります。
まとめ
祖母の土地を1000万円で孫が購入した場合、それが時価より明らかに安い金額であれば、税務上は“贈与”とみなされる可能性が非常に高くなります。この場合、孫は贈与税の申告・納付が必要となり、想定外の税負担が発生することになります。
家族間であっても不動産の取引には厳密な価格設定と、適正な手続きを踏むことが大切です。「売買契約を交わせば問題ない」という思い込みは危険であり、税金の知識と準備がトラブル回避のカギとなります。
取引前には必ず不動産業者や税理士に相談し、税務リスクを最小限に抑えることをおすすめします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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