地方の実家を「空き家バンク」で1円譲渡しましたが、あとから“固定資産税の滞納30万円”が発覚。これって誰が払うの?
この記事では、空き家を1円で譲渡した場合に発覚する「過去の固定資産税の未納分」は誰が支払うべきか、法律上の考え方や注意点を解説します。
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1円譲渡でも「売買契約」には変わりない。税金の負担も原則通り
まず大前提として、空き家を「1円で譲渡した」としても、それは無償の贈与ではなく、「売買契約」とみなされます。たとえ極端に価格が低くても、登記上は「売却」として処理されることが多く、売買契約のルールが適用されます。
その上で、固定資産税の支払い義務は表1の通りです。
表1
| 負担者 | 法的な原則 |
|---|---|
| 1月1日時点の所有者 | その年の固定資産税は、前所有者(元の持主)が納税義務者 |
| 滞納があった場合 | 滞納分は、原則としてその納税義務者(前の所有者)の責任 |
※筆者作成
つまり、「滞納されていた固定資産税30万円」が前所有者の名義の時期のものであれば、原則としてその支払い責任は前所有者(売主)にあります。
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買主にも「請求」が来る可能性がある? その理由と回避策
本来の納税義務者が支払わなかった場合、市町村は新しい所有者(買主)に納付の協力を求めることがあります。これには次のような背景があります。
・滞納があると、税務署や市町村が新所有者に対して「問い合わせ」や「支払交渉」をしてくる場合がある
・一部の自治体では、売買契約の際に滞納分を新所有者が引き継ぐよう契約されていることもある
・土地や建物に対して「差押え登記」や「公売」が設定されることがあり、実質的に新所有者にも影響が及ぶ可能性がある
特に売買契約書に「固定資産税の未納がある場合、買主がこれを支払う」といった記載がある場合には、買主が負担する義務が生じるため、譲渡契約時には必ず内容を確認することが大切です。
空き家バンクで譲渡する際に確認すべき重要ポイント
空き家バンクは、地方自治体が主体となって空き家の流通を促進する制度ですが、「格安で引き渡される物件」には維持管理コストや未納税金の問題が付きものです。
空き家バンクを利用する際には、次の点を確認しておきましょう。
・固定資産税や都市計画税に滞納がないか、自治体や売主から事前に確認する
・公共料金(上下水道・電気・ガス)の未納がないか
・建物に解体が必要な場合、その費用の見積もりと負担者を明確にする
・売買契約書の中に「税金や未納費用は買主が負担する」条項がないか確認する
さらに、自治体によっては滞納情報を事前に開示してくれるところもありますが、売主が個人の場合は情報が不透明なまま引き渡されるリスクもあるため、注意が必要です。
まとめ
たとえ空き家を「1円」で譲渡しても、固定資産税の滞納があると、その支払い義務がどちらにあるかを巡ってトラブルになる可能性があります。原則としては、滞納期間中の所有者に納税義務がありますが、売買契約の内容や実務上の取り扱いによっては、新所有者が対応を求められることもあります。
空き家バンクで物件を譲渡・購入する場合は、価格の安さだけで判断せず、「その土地建物にまつわる費用リスク」を事前に洗い出しておくことが非常に重要です。契約書・登記・自治体情報をよく確認し、納得のうえで手続きを進めましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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