親が「土地をあげる」というので3200万円の家を建てたら「住宅ローン控除」の対象外に!“登記が親名義のまま”のリスクについて解説
本記事では、「土地が親名義のまま家を建てること」の税務上・法務上のリスクについて分かりやすく解説します。
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目次
親名義の土地に家を建てた場合、住宅ローン控除は原則使えない
住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、以下の条件を満たした場合に適用される制度です。
・自分が居住する住宅であること
・住宅の取得に住宅ローンを利用していること
・住宅および敷地の「所有権」が本人にあること
つまり、住宅の建物部分だけでなく、その敷地(土地)についても本人が所有していなければ、控除の対象とはならないのです。
親名義の土地に自分名義の建物を建てた場合、「土地の所有権がない」と判断され、住宅ローン控除の要件を満たさないことになります。
住宅ローン控除を受けるには「土地の名義」も必須
建物の名義が自分でも、土地が親の名義のままでは、表1のようなリスクがあります。
表1
| 条件 | 結果 |
|---|---|
| 土地:親名義/建物:子名義 | 住宅ローン控除は原則対象外 |
| 土地:子名義に変更済/建物:子名義 | 住宅ローン控除の対象になる可能性あり |
| 土地を借りている形(借地権) | 特定条件下では控除対象になることもあるが複雑 |
※筆者作成
国税庁のガイドラインでは、「敷地が自己所有であるか、借地権など適切な権利関係が成立している必要がある」と明示されており、親の土地を無償で使っているだけでは対象にはならないのです。
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「登記を親のまま」にしておくと、将来的な税務リスクも
住宅ローン控除が受けられないだけでなく、登記が親名義のままであることによって、以下のような税務・法務上のトラブルも発生します。
・贈与税の対象になる可能性
後から土地を子名義に変更した場合、「その時点で土地を無償で贈与した」とみなされ、贈与税が発生する可能性があります。
・相続時にトラブルになる
土地が親名義のままだと、親が亡くなったときにその土地は遺産となり、他の相続人との間で共有や分割のトラブルに発展することが多いです。
・家の資産価値が下がる
登記の不整合があると、不動産を売却する際に手続きが煩雑になり、買い手がつきにくくなるケースもあります。
名義の整合性を保っておけば控除もリスクも回避できる
住宅ローン控除を確実に受けたい、かつ後々のトラブルを防ぎたいなら、次のような対応が必要です。
・家を建てる前に、土地の所有権を正式に子へ移転する(贈与または売買)
・贈与する場合は「住宅取得等資金の贈与特例」を活用して非課税枠を利用する
・費用や手続きは司法書士や税理士に相談して、適正な名義変更を行う
こうした準備をしておくことで、控除を受けられるだけでなく、後から発生しうる贈与税や相続のリスクを避けることができます。
まとめ
親の好意で土地を使わせてもらえることはありがたい話ですが、登記名義が親のままの土地に家を建てると、住宅ローン控除が受けられなくなるという重大なデメリットがあります。
さらに、税務署から「無償の使用は贈与」とみなされたり、相続時の揉めごとの火種になる可能性も否定できません。家を建てる前の段階で、土地と建物の名義をしっかり整理しておくことが、控除の適用と税務リスク回避のカギになります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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