更新日: 2019.12.26 クレカ

成人年齢が20歳→18歳に引き下げによる想定できるクレジットカードリスクとは

成人年齢が20歳→18歳に引き下げによる想定できるクレジットカードリスクとは
成人年齢を20歳から18歳に引き下げる民法改正の法案は、2022年4月の施行を目指しています。成立すれば、140年ぶりに成人年齢の見直しとなります。
 
飲酒や喫煙などは、健康への影響を考慮して現在の20歳以上のままですが、クレジットカードを作ったり、携帯電話や各種ローンなどの契約を交わしたりすることは、18、19歳も1人でできるようになります。
 
若年層の社会参画が進むことを期待する一方で、新たに成人となる18、19歳を狙った悪質商法などが増えることも懸念されます。
 
今回は、成人年齢引き下げに伴う、クレジットカードの現状と注意点を整理してみます。
 
岩永真理

執筆者:岩永真理(いわなが まり)

一級ファイナンシャル・プランニング技能士

CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表
横浜市出身、早稲田大学卒業。大手金融機関に入行後、ルクセンブルグ赴任等を含め10年超勤務。結婚後は夫の転勤に伴い、ロンドン・上海・ニューヨーク・シンガポールに通算15年以上在住。ロンドンでは、現地の小学生に日本文化を伝えるボランティア活動を展開。
CFP®として独立後は、個別相談・セミナー講師・執筆などを行う。
幅広い世代のライフプランに基づく資産運用、リタイアメントプラン、国際結婚のカップルの相談など多数。グローバルな視点からの柔軟な提案を心掛けている。
3キン(金融・年金・税金)の知識の有無が人生の岐路を左右すると考え、学校教育でこれらの知識が身につく社会になることを提唱している。
ホームページ:http://www.iwanaga-mari-fp.jp/

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18歳、19歳で信用力は十分にあるのか?

クレジットカードや各種ローンは、契約にあたり契約者の信用力が問題となります。
 
カード会社やお金を貸す人にとって最も重要なことは、契約者にお金を払う能力があるのかどうか、返済に見合うだけの収入があるかどうか、ということです。
 
文部科学省のH29年度高校基本調査(下図)によると、高校卒業者のうち、54.8%の人が大学・短大へ進学し、16.2%の人が専門学校へ進学しています。
 
実に7割以上の人が進学していることがわかります。一方、就職している人は17.7%と2割に満たないのが現状です。
 

文部科学省 平成29年度 学校基本調査より
 
18歳、19歳の人が、民法上ではクレジットカードや各種ローンを単独で組めるようになったとしても、実際に返済できる可能性のある人は、その年代の人のうちの就職している2割未満の人なのかもしれません。
 
ほとんどの人がまだ学生であれば、単独では信用力不足ということで、審査が通らない可能性もあります。
 

22歳以下のクレジットカード契約者数は全体の1.4%

日本クレジット協会の統計(2015年版)によると、2013年から比較すると年々増加はしているものの、22歳以下のクレジットカード契約者数は、全体の1.4%(2015年12月時点)と割合的には少なくなっています。
 
2015年も高校卒業者の就職者率は2割で、7割以上の人が進学している状況ですので、22歳以下のクレジットカード契約者の割合が少ない原因は、そもそもクレジットカードを申し込む人が少ない、あるいはクレジットカードの審査に通る人が少ない、などが考えられるでしょう。
 
こうした状況を勘案すると、成人年齢の引き下げにより18歳、19歳の人が1人でクレジットカードを作れるようになったとしても、一定の収入がない学生では支払いが難しく、審査段階ではじかれる可能性もあり、影響は懸念するほど大きくならない可能性もあります。
 
しかしながら、今後キャッシュレスの時代がますます加速することを考えると、学生だからといって、いつまでもカードを作れない状況のままではない可能性もあります。
 
そのような事態に対処するために、備えておきたい事項は以下のとおりです。
 

クレジットカードのメリットと注意点

クレジットカードには、利点もあります。
 
・ネット決済が便利にできる
・現金を持ち歩かなくてすむ
・いざという時はキャッシング(ATMで現金引き出し)もできる
・海外では、カード利用で両替の手間が省ける
 
加えて、下記のようなサービスがあるものもあります。

・旅行保険
・ポイントがたまる
・購入した商品が壊れたり、盗まれたりしたときの保険がある、など
 
一方で、下記の点には注意が必要です。

・リボルビング払いを選択すると、実質的には借入となり、高い利息がつく場合も多く、返済までに時間とお金(利息)がかかる。
・指定日までに振替口座に残高がないと引落としができず、別途カード会社が指定する口座に振込をしなければ決済されず、延滞扱いとなり利息が発生する。
・決済しないまま一定期間が経過するとブラックリストに載り、その後、住宅ローンや自動車ローンを借りたい時の審査に支障をきたす場合がある。
 
こうしたことを踏まえたうえで、民法改正後の新成人が上手にクレジットカードと付き合ってくれること、そしてそれを親や周囲の大人がしっかり導くことが望まれます。
 
Text:岩永 真理(いわなが まり)
一級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®
ロングステイ・アドバイザー、住宅ローンアドバイザー、一般財団法人女性労働協会 認定講師。IFPコンフォート代表

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