会社の経費を自分のクレジットカードで支払って「ポイント」を得る行為は違法ですか?

配信日: 2023.11.30

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会社の経費を自分のクレジットカードで支払って「ポイント」を得る行為は違法ですか?
会社の備品を購入する際、自身のクレジットカードを使って支払い、カードのポイントを貯めることの是非がときどき話題になります。
 
個人のクレジットカードで経費を立て替えてポイントを貯めつつ、あとで経費精算をする行為は違法となるのでしょうか。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

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基本は会社の規則に従うこと

会社の経費を自身のクレジットカードで支払い、ポイントを得る行為が直ちに違法となるとは限りません。基本的には会社ごとの規則に従って、ポイントの使い方を決める必要があるからです。
 
例えば、就業規則において「自身のクレジットカードで経費の支払いをしてはならない」とあれば、そもそも規則として許可されていないことであり、会社から懲戒処分を受ける可能性もあります。
 
会社側が経費の支払いに個人のクレジットカードの使用を認めており、貯まったポイントの使い方にも個人の裁量に任せているような場合は、違法でもなければ懲戒処分を受けることもないでしょう。
 

会社に規則がないような場合は判断が難しい

問題となるのは、会社の規則として経費の支払いでの個人のクレジットカードの使用や、経費の立て替えで得たポイントの扱いが明確にされていない場合です。
 
例えば、出張が毎月ある方が交通費や宿泊費、飲食代など出張時の経費として月10万円を自身のクレジットカードで支払っていたとします。ポイント還元率が0.5%のカードの場合、貯まるポイントは月500ポイント、年間では6000ポイントとなり、仮に1ポイント1円で利用できるとすれば6000円の収入を得ている計算です。
 
この点については、従業員がポイントの貯まる方法で経費を一時的に支払っただけであって、会社に損害を与えたわけではないと考えれば違法ではないでしょう。
 
逆に考えれば、従業員がクレジットカードで支払った分の金額は最終的に経費として精算し、会社が負担しているにもかかわらず、年間で6000円相当のポイントを得ていることになります。経費の支払いで生じたポイントを会社の利益ととらえるのであれば、横領などに該当して違法といえそうです。
 
正直なところ、この問題は一概にどちらが正解とも言い切れないのが現実です。ルールが明確ではない場合、経費を自身のクレジットカードで支払うことやポイントの扱いについて事前に会社に確認して、その指示に従うべきだといえます。
 

税務的な観点から考えた場合は?

もう1つ、クレジットカードの使用で得たポイントについては、会社ごとのルールとは別の観点からの問題として、税務的な取り扱いがあります。例えば、会社の経費の支払いで貯まったカードのポイントは、会社からの給与扱いとなり、課税されるのではないかという点です。
 
この点についてはもろもろの議論がされる部分ではありますが、可能性としては課税されるケースもあり得るかもしれません。
 
国税庁のホームページでは、経済的利益の一例として「物品その他の資産の譲渡を無償又は低い対価で受けた場合におけるその資産のその時における価額又はその価額とその対価の額との差額に相当する利益」と記載されています。
 
クレジットカードのポイントは本来会社に帰属するものであり、それを受け取ったとして会社からの給与などと扱われることで、課税対象になるという見解が成り立つ場合もあります。これが月500ポイント、現金で500円相当といった程度ならさほど問題にならないかもしれません。しかし、そのポイントが大きな金額に相当すると税金面に影響する可能性もあります。
 

まとめ

会社の経費を自分のクレジットカードで支払ってポイントを得る前に、まずは就業規則を確認してみてください。基本的には会社のルールに従うべきであり、違法ではなくても、個人のクレジットカードの使用が認められていないケースでは懲戒処分となることもあります。
 
会社でルールが明確化されていないときは、経費を自身のクレジットカードで支払うのは避けておく方が無難でしょう。
 

出典

国税庁 No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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