被災で離職した場合、職業訓練を支援してくれる「ハロートレーニング」制度とは?
配信日: 2019.12.25 更新日: 2024.10.10
具体的には、雇用保険制度における公共職業訓練ですが、これは、必ずしも事業所の被災による離職が要件ではありません。
離職し、再就職を目指している人や学校を卒業した人、また障害を持つ人に対して実施されている職業訓練制度です。
執筆者:重定賢治(しげさだ けんじ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP)
明治大学法学部法律学科を卒業後、金融機関にて資産運用業務に従事。
ファイナンシャル・プランナー(FP)の上級資格である「CFP®資格」を取得後、2007年に開業。
子育て世帯や退職準備世帯を中心に「暮らしとお金」の相談業務を行う。
また、全国商工会連合会の「エキスパートバンク」にCFP®資格保持者として登録。
法人向け福利厚生制度「ワーク・ライフ・バランス相談室」を提案し、企業にお勤めの役員・従業員が抱えている「暮らしとお金」についてのお悩み相談も行う。
2017年、独立行政法人日本学生支援機構の「スカラシップ・アドバイザー」に認定され、高等学校やPTA向けに奨学金のセミナー・相談会を通じ、国の事業として教育の格差など社会問題の解決にも取り組む。
https://fpofficekaientai.wixsite.com/fp-office-kaientai
ハロートレーニングのイメージ
ハロートレーニングは、図で示すと、次のようなチャートで整理できます。
○ハロートレーニング、生産性向上支援訓練のチャート図
※厚生労働省「ハロートレーニング」より
ハロートレーニングの目的は大きく分けて3つあります。
(1)求職中であり、訓練を受けてから就職したい。
(2)高度なものづくりを支える人材になりたい。
(3)従業員のスキルアップを図りたい。
ここでは、中でも、より一般的なものとして、(1)のうち、「雇用保険を受給できる」場合の「離職者訓練」と、「雇用保険を受給できない」場合の「求職者支援訓練」を取り上げていきます。
ハロートレーニング(離職者訓練)
主に雇用保険を受給している求職者を対象に、就職に必要な職業スキルや知識を習得するための訓練を無料で実施しています。ただし、テキスト代などは自己負担となっています。
訓練期間は3ヶ月~1年で、施設内訓練(テクニカルオペレーション科・電気設備技術科など)と委託訓練(介護サービス科・情報処理科など)の2つのコースがあります。
都道府県ごとに、ハロートレーニングで実施されているコース情報は検索できるようになっています。受講したいという方は、「ハロートレーニング コース情報検索」をご活用ください。
ハロートレーニング(求職者支援訓練)
ハロートレーニング(離職者訓練)では、雇用保険を受給している求職者が対象ですが、ハロートレーニング(求職者支援訓練)では、主に雇用保険を受給できない求職者の方を対象にしています。
特徴は、無料の職業訓練(テキスト代などは自己負担)を実施し、収入や資産要件などの支給要件を満たすと、職業訓練受講給付金が支給されることです。
職業訓練受講給付金は、雇用保険を受給できない求職者が、ハローワークの支援指示により職業訓練を受講する場合、職業訓練期間中の生活を支援するための給付を受けることができる制度です。
支給要件や支給額については、厚生労働省・都道府県労働局・ハローワークの発行している「求職者支援制度があります!」をご参照ください。
まとめ
雇用保険制度では、自然災害により被災し、お勤めの会社が休業し、離職した場合に、手当や給付金が支給されるようになっています。
中でも、ハロートレーニングは、離職を余儀なくされ、これから再就職に向けて前向きにチャレンジしていきたいという方を支援するための制度といえます。
このような制度は、長い目で見た家計収入を助ける制度といえます。被災後の生活再建で重要な支援策といえるのではないでしょうか?
【出典】
厚生労働省「ハロートレーニング」
厚生労働省「求職者支援制度があります!」
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「ハロートレーニング コース情報検索」
執筆者:重定賢治
ファイナンシャル・プランナー(CFP)