更新日: 2019.07.22 その他相続

実家が空き家になってしまったら?困らないためにしっておきたいしくみとは

実家が空き家になってしまったら?困らないためにしっておきたいしくみとは
自分の実家が空き家になることを考えたことがありますか? 両親が亡くなり同居する親族もいない場合は、実家が空き家になってしまいますが、親が認知症になって施設へ入った場合も同様です。
 
人生100年時代と言われて寿命が延びていますが、認知症の有病率は、65~69歳で1.5%、以後増加し続け、85歳ではなんと27%に達します。まだまだ大丈夫と思っていても、親が認知症になることも想定しないといけません。
 
今回は、突然、実家が空き家になっても困らないために「民事信託」という仕組みについて紹介したいと思います。
 
堀江佳久

執筆者:堀江佳久(ほりえ よしひさ)

ファイナンシャル・プランナー

中小企業診断士
早稲田大学理工学部卒業。副業OKの会社に勤務する現役の理科系サラリーマン部長。趣味が貯金であり、株・FX・仮想通貨を運用し、毎年利益を上げている。サラリーマンの立場でお金に関することをアドバイスすることをライフワークにしている。

「民事信託」とは?

民事信託とは、委託者の財産を受託者が管理し、受益者に得た利益を供与する仕組みです。実家のケースで言えば、委託者は親であり、受託者は子供、受益者は親となります。
 
親が認知症になる前に、自分の財産(不動産・預貯金・有価証券など)をどのような目的で、誰に、いつ渡すのか契約しておき、その契約に基づき、子供が親の財産を管理・処分することができます。
 

<メリット>

(1)認知症を発症する前に対応しておけば、親が認知症で財産の処分などに関し判断ができなくなっても、親が保有している財産を子供が処分することができます。
 
(2)子供が親の財産を売却したり、賃貸したりするなどして得た金銭を親の介護などの費用に充てることができます。
 
(3)民事信託という仕組みを使い親と話しあうことで、親の意向を確認することができ、親の意向に従って財産を管理・処分をすることができます。
 
(4)成年後見制度を活用する場合と比較して、費用が安くすむ可能性があります。親が認知症になって、成年後見の審判を受け成年後見人が選任されると、その後見人に対して、管理する財産の価格に応じて月額2万円から6万円程度の基本報酬が必要になります。
 
これに加えて、成年後見監督人の報酬も必要となりますし、成年後見人等の後見事務において、身上監護等に特別困難な事情があった場合には、付加報酬が発生することがあります。
 
認知症の期間が長引くほどその負担は重くのしかかってきます。仮に月5万円の報酬を2年間払い続けるとなると、5万円/月×24ヶ月=120万円の費用が発生します。
 
一方、民事信託の費用としては、公正証書の作成費用、不動産登記のための登録免許税、弁護士・司法書士・税理士など専門家への相談・依頼料などがあります。
 
それぞれ、委託者の事情や資産価格により異なります。成年後見人制度を活用する場合の費用と比較して検討するのも良いと思います。
 

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「民事信託」の手続きとは?

民事信託を正確に活用するには、司法書士や弁護士、税理士などの専門家へ相談・依頼することが必要です。知り合いの専門家がいない場合は、民事信託に関する無料相談やメールでの相談を行っている機関もありますので、まずは相談することから始める方法もあります。
 

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まとめ

「民事信託」は、実家に住む親が認知症になり介護施設に入居することになっても、一定の条件のもとに、その子供が親の資産(不動産・預貯金・有価証券)を管理・処分することができるのが「民事信託」という仕組みです。
 
この仕組みを使えば、親が認知症で判断ができなくなっても、実家を処分したり、貸し出したりすることができます。
 
しかし、民事信託が利用できるようになってからの歴史が浅く、活用事例が少ないなどのデメリットもありますので、ご自分でネットや書籍で得た知識だけで判断せずに、専門家に相談するのが良いでしょう。
 
いずれにしても、親が認知症となった際のリスクを早いうちから軽減し、いざとなった場合にそなえておくことが必要です。
 
(参考資料)
1.認知症:厚生労働省ホームページ
2.都道府県の人口:総務省統計局
3.一般社団法人民事信託協会ホームページ
 
執筆者:堀江佳久
ファイナンシャル・プランナー
 

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